2024年7月11日(木)〜12日(金)、グランフロント大阪 北館にて、AIやIoTをはじめとするエッジテクノロジーにフォーカスした展示会「EdgeTech+(プラス)West」が開催される。
同展にはインターネットに接続される端末側における技術(エッジテクノロジー)に関わる生成AI,画像処理AI、IoT、組込みハード/ソフト、開発支援、ワイヤレスといった各分野の最先端の製品・サービスが集結する。来場者は6000名が見込まれる。入場は無料。来場者登録制の本展は、公式サイトから来場登録を行える。
本記事では、企画の株式会社ナノオプト・メディアへの独自取材やプレスリリースをもとに、同展示会の見どころについて紹介する。
目次
■「EdgeTech+ West 2024」概要
■ 生成AI、画像認識AI関連の出展企業・ブース
■ 注目のセミナー
■ 大阪展独自企画:ヒートアップセッション
■「EdgeTech+ West 2024」の来場事前登録はこちらから
同展はエッジテクノロジーの最新技術共有の場「ET & IoT」として1986年にスタートした。2022年の横浜開催からは新名称「 EdgeTech+ 」のもと、エッジテクノロジーと事業変革のためのキーワードを結び付け、応用産業分野への実装推進、そして顧客起点の価値創出を実現するための情報を発信するイベントへとコンセプトを進化させた。
今年のテーマは「AI/生成AI で加速する事業変革と産業DX(デジタルトランスフォーメーション)」であり、2023年から急速に実用度の高まった生成AIをはじめとするAI技術の応用産業への応用がブース、カンファレンスともにキーワードとなっている。
来場者の職種傾向については「製造業および研究開発部門」の割合が大きい。会場となるグランフロント大阪はJR大阪駅に直結しており、特に関西各方面からの来場者への利便性が高い。
2024年展からは新たに「生成AI」ゾーンがスタートする。同展のテーマである「AI / 生成AI で加速する事業変革と産業DX」にあわせて、生成AI、画像認識AI関連の出展に注目したい。以下関連する出展企業・ブースを紹介する。
株式会社エムニは、製造業を中心に生成AIの開発・導入支援を手掛ける京都大学発かつ東大松尾研発のスタートアップ企業だ。同ブースではAIを活用した、原因特定サポートチャットボット、東京都庁と実施した設計書の確認作業効率化プロジェクト、独自の生成AIを使った特許翻訳及び調査業務の効率化などを紹介する。
AIsmiley(アイスマイリー)はAIを活用した最新のDX事例・プロダクト情報に特化したポータルメディアだ。画像認識、需要予測、音声認識、感情認識、OCR、チャットボットなど多岐にわたるAI技術について、同サイトでは導入事例や活用事例を参考に、AI製品の資料請求や導入相談が行える。相談にあたってはディープラーニングG検定(AI資格)保有のコンサルタントによるサポートが受けられる。
同社は外観検査AI、棚卸し効率化AI、物体検知AIといったAIを活用し「使いやすさ」を徹底的に追求したファクトリーオートメーションを提供する。「誰もが使えるAI」をモットーに自動外観検査などのソフトウェア開発だけでなく、カメラ、照明、ロボットアームなどハードウェアのシステムインテグレーションにも対応する。
グレープシステムは組み込み系、プリント系、新たに加わった音声コードUni-Voiceの分野でソフトウェア製品の開発、販売、受託開発を行っている。同ブースではサイバーセキュリティ対策に有用なツールや、IoT、エッジAI、RTOSなどが展示される。4社のコラボレーションプロジェクトであるオールラウンドIoTプラットフォーム「RaCOTA+(ラコタプラス)」、オープンソースの脆弱性対策に有効なOSS管理ツール「FossID」その他を紹介する。
スキルシステムズ株式会社は経済産業省のGoTech事業として、大阪国際がんセンターとの共同研究で、白血病リンパ腫の一種である成人T細胞白血病・リンパ種を発見可能なAIを開発した実績を持つ。同ブースでは2024年度新サービスとして、疾患に関わる情報を学習したスキルシステムズオリジナルの生成AIが疾患に関する質疑応答を行う医療DX支援システムを展示する。
DTSインサイトは、車載分野・組込み分野のシステム開発支援プロダクト、ハードウェア・ファームウェア・ソフトウェア開発、医療分野における計測制御システム開発、各分野における受託開発を行う。同ブースではシステム全体の動きを可視化する動的テストツールであるシステムマクロトレースやソフトウェアテストのスタンダードとなりつつある”RAMモニタ"手法その他を紹介する。
日本ヒューレット・パッカードは同社が提供するクラウドネイティブ基盤HPE Ezmeral Unified Analyticsと、AIモデル開発を効率化するHPE Machine Learning Development Environmentを中心に、HPEが提供する最先端のAIソリューションを紹介する。また、クラウド型の管理サービスHPE GreenLake for Compute Ops Management(COM)を利用するHPE ProLiant Gen11サーバーを紹介する。
伯東株式会社は工場排水の環境問題や泡による設備汚染の問題解決、人の介在削減による作業効率の改善に伴う生産性向上や危険環境下での作業の自動化を目的としたシステムの実現を目指す。同ブースではAIモデルの推論により泡状態を判別し、泡消し薬剤を自動投入するシステムのデモを行う。また、脱炭素社会への取り組みとして、温湿度センサを組み合わせた環境センサシステムボードを紹介する。
矢崎総業AI・デジタル室は主に自動車用電線(ワイヤーハーネス)を製造・販売する矢崎グループの中でAI・IT技術活用のため新たに発足した組織だ。近年、AI開発においてアノテーションの重要性が高まっている。同社は製造業で培った品質管理の実績が約束する、信頼性の高いアノテーションサービスを提供し、画像認識AI開発やアノテーションに対する問題解決を行う。
会期中は約40の講演・セミナー・カンファレンスが行われ、気鋭のビジネスリーダーや産学官の有識者が登壇する。以下、生成AI、画像認識AI関連のセミナーを紹介するが、全体的な傾向として、2023年におけるインパクトを引き継ぎつつも、AIに対しては安全性や、具体的な応用・開発手段についてより語られるようになっている。
世界を席巻する生成AIブーム。社会実装における課題と解決のために抑えるべきポイント、キーワード、ビジネス上の可能性などについてNTTコミュニケーションズ(株)エバンジェリスト島田 健一郎氏がが語る。またNTTコミュニケーションズによる大規模言語モデル「Tsuzumi」を中心に同社の生成AI関連の最新の取り組みについて紹介する。
「人手不足」「生産性」「品質」などの課題に対する、AIによるイノベーションの可能性についてマルチクラウドの実績が豊富なアイレットの生成AI開発事例や、製造業向けのAI画像解析事例を通じて紹介する。講演者はアイレット(株)DX開発事業部 石川 天行氏(事業部長)、同アジャイル事業部データ分析基盤セクション 玉衛 淳輝氏(開発エンジニア兼スクラムマスター)。
レガシーなAI/MLだけでなく生成AIを含め、オンデバイスAI(エッジAI)の重要性が高まっている。本講演ではクアルコムがAI動向をどのように捉え、オンデバイスAI・ハイブリッドAIをどのように実現しようとしているのか・どのようなHW/SWを提供しているのかを、クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズ 泉 宏志氏(マーケティング統括本部長)が説明する。
AIについては、世界各国でAIの安全性の確保に向けた専門機関の設置などの具体的な取り組みが進みつつある。日本においても、2024年2月にAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が設立され、AIセーフティに関する取り組みが始まった。各国のAISIと連携しながら検討を加速している我が国のAISIの現状と、今後の取り組みなどについて(独)情報処理推進機構(IPA)AIセーフティ・インスティテュート 寺岡 秀礼 副所長が語る。
日本マイクロソフト(株)西脇 資哲氏(業務執行役員、エバンジェリスト)が進化し続ける生成AIの最新の動きについて、ChatGPT、Copilot、Copilot for Microsoft365 のデモンストレーションや、実際の事例を交えながらわかりやすく解説する。その活用の具体例やその効果、さらには今後の課題についても説明する。
AIの有効活用のためには、ビッグデータ分析やAI学習・推論インフラの検討が不可欠だ。同セッションでは、現場のIT部門、データサイエンティスト、AI開発者が知っておくべき最先端GPUサーバーシステムとAI基盤ソリューションを解説する。講演者は日本ヒューレット・パッカード(合)デジタルセールス・コンピュート事業統括本部 コンピュート技術部 古賀 政純氏(米国HPE公式AIアンバサダー、オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト)
2027年までに、エンタープライズ ソフトウェア エンジニアの50%がAIを活用したコーディングツールを使用するようになるという予測がある。AIが生成したコードを使うことで開発効率の向上が期待される一方で、開発したアプリケーションに脆弱性がないことの確認が求められる。同講演では、ソフトウェア開発においてAIを活用する上での課題を整理し、ツールを使った対処方法を解説する。講演者は日本シノプシス(同)ソフトウェア・インテグリティ・グループ 藤本豊己氏(シニア・セールス・エンジニア)。
ヒートアップセッションは毎回気鋭の技術者がそれぞれホットなテーマをピックアップし、聴講者とともに盛り上げる大阪展独自のセッション企画だ。その中でも生成AI、画像認識AIに関連するセッションをピックアップした。
同セッションでは、アジャイル開発に興味があるエンジニアを対象に、悩み事や課題のシェアを通じて共同で問題の解決を目指す。パネリストによる、アジャイルに取り組むきっかけ、初めてみて感じた課題、進めていく中での悩み、今感じている課題の提示に始まり、オーディエンスからの悩みの提供・意見交換を行いながら解決に向けてディスカッションする。
デジタルと品質について、「モノづくりからコトづくりへ」「顧客満足とは?」「ワクワクへの挑戦」を切り口に講演と対談を行う。スピーカーに(一社)中部品質管理協会 経営企画部 主査 / 2030年の質価値創造研究会 専務理事 細見 純子氏、モデレーターに京都大学経営管理大学院 客員教授/元オムロン(株)イノベーション推進本部 シニアアドバイザー 竹林 一氏を迎える。
変化や効果が見えづらいDXやIoTに取り組む事案について、これまで同分野の事案を実際に提案、推進してきた経験者が、現状報告とこれからの取り組みを語り合う。前半はパネラーが提案、推進してきた事案についてのプレゼン形式で発表を行う。後半は、登壇者全員で各々の発表内容を受けて、DX、IoTの取り組みを意味のあるものにするための方策について、パネルディスカッション形式で議論していく。
わずか10%程度と言われている日本企業のDX成功率。明確なビジョンの欠如、業務改革の分析不足、受動的な推進チーム、経営層と現場の意識のずれなどさまざまな課題が指摘されるが、それらの解消だけで導入成功と言えるかといえば疑問の余地がある。同セッションでは、業務コンサルタントやアジャイルコンサルなど多方面のエキスパートが集い、DXを成功に導くために不可欠な初期ステップや、障壁を乗り越えるための具体的なアプローチを議論する。
生成AIがWebやアプリケーションで注目を集める一方、組込み製品にもその波が押し寄せている。同セッションでは、製品開発や新規ビジネス創造の経験豊富なエキスパートたちが、生成AIの技術が組込み製品やシステムにどのように統合され、新たな価値を生み出すのかを探り、参加者が組込み製品で生成AIを活用するための具体的な方法と成功の秘訣を伝授する。
5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指し、技術教育の機会を提供するETロボコンは今年で23年目を迎える。本セッションでは、セミナールームに今年の競技コースを用意し、実際にロボットが走行する様子を見ることができる。また、ETロボコンはソフトウェア開発にあたり、モデル生成を重要視している。実際にどのようにモデル開発を進めるか、その一部を紹介する。
全来場者登録制の本展は、公式サイトから来場事前登録を行うことで、当日のスムーズな入場ができる
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