2026年6月10日(水)から12日(金)にかけて東京ビッグサイト東展示棟において開催された半導体産業展は、半導体の設計・製造から検査・測定、材料、部品、工場設備、物流、人材サービスに至るまで、半導体産業を支える幅広い技術とソリューションが集結する専門展示会である。
開催期間中、共催の「電子機器トータルソリューション展 2026」と合わせて49,206人が来場した。
近年、半導体はあらゆる産業の競争力を左右する重要な基盤技術となっている。経済安全保障の観点からも半導体サプライチェーンの強靱化や国内生産基盤の整備が求められており、日本国内でも大規模な投資や研究開発が活発化している。会場には半導体メーカーをはじめ、製造装置、材料、検査・測定、実装、関連サービス企業などが多数出展し、業界関係者による活発な商談や情報交換が行われた。
基板の窓口では、会場で注目を集めた企業・団体のブースを取材し、担当者へのインタビューを交えながら、最新技術や製品の特徴、活用事例、今後の展望について詳しくレポートしていく。
【公式サイト】
https://k-semi.jp/jpca/
【次回開催予定】
第1回[東京]半導体産業展
日時:2027年6月2日(水)〜4日(金)
場所:東京ビッグサイト
ボンディング品質を支える光学検査技術
https://youtu.be/xTL-eMh4Mf4
清和光学製作所は、創業70年を超えるレンズ専業メーカーとして培ってきた光学技術を活用し、半導体、フラットパネルディスプレイ、電池分野向けの製造・検査装置を展開しています。近年は医療分野にも進出し、レーザー関連装置などの開発にも取り組んでいます。
今回の展示では、SWIR(短波長赤外線)を活用した半導体向け内部検査装置を紹介しました。SWIRはシリコンを透過する特性を持つため、シリコン内部の構造確認や、ボンディング後のウェハーの位置ずれ検査などに活用されています。同社では独自の高性能レンズ技術を組み合わせることで、高精度な内部観察を実現しているとのことです。
近年の半導体製造では、ウェハーボンディングや表裏両面へのパターニング工程が増加しており、わずかな位置ずれがデバイス性能に大きく影響します。同社の検査装置は、こうしたずれを高精度に検出し、その結果を製造装置へフィードバックすることで、製造精度の向上に貢献しています。
すでにパワーデバイスメーカーやCMOSメーカー、メモリメーカーなど約20社への導入実績があり、近年需要が高まるチップレットや先端パッケージング分野への展開も進めています。
高耐熱ポリイミド材料ソリューション
https://youtu.be/gZTENsaE0Q8
鈴幸商事株式会社は、グループ会社が製造する高機能材料・加工製品を紹介しました。今回展示されたのは、ポリイミド成形材「セプラ(Cepla)」、ダイヤモンド粒子を複合した研磨シート「ポリモンド」、そしてダイヤモンドを使用したカッティングホイールの3製品です。
「セプラ」は、樹脂材料の中でも最高クラスの耐熱性を持つポリイミドを採用した高機能プラスチック材料で、従来の樹脂では対応が難しかった高温環境下での使用を可能にしています。また、「ポリモンド」はポリイミドをベースにダイヤモンド粒子を組み込んだ一体型の研磨シートで、高い耐久性と安定した研磨性能を実現している点が特徴です。交換頻度の低減や研磨品質の向上に貢献できる製品として提案されていました。
さらに、ダイヤモンドブレードを採用したカッティングホイールは、基板などの精密切断用途に使用されており、国内生産による安定供給や価格面での優位性も強みとしています。
これらの製品は半導体業界で豊富な実績を持つほか、航空宇宙分野も視野に入れた展開を行っています。
半導体ウェハー向けUV照射装置
https://youtu.be/EJ6Njc7mlZo
株式会社フクシマは、半導体製造工程向けのUV照射装置を紹介しました。同社が展示した装置は、半導体ウェハーの切削を行うダイシング工程で使用されるUV照射機で、ウェハーを固定するためのUV剥離テープに紫外線を照射し、加工後にテープを効率よく剥離することができます。
本製品の大きな特徴は、上下2段のワークを同時に照射できる構造を採用している点です。一般的な装置では1枚ずつ処理を行うのに対し、本装置は2枚のワークを同時に処理できるため、生産性の向上に貢献します。また、4インチから12インチまで幅広いサイズのウェハーを処理可能で、1台で多様な製造ニーズに応えられます。
光源にはLEDを採用しているため、発熱が少なく、ワークへの熱影響を抑えられることも特徴です。熱による変形や品質低下のリスクを低減しながら安定した処理を実現します。現在は主に半導体メーカーの開発部門で導入が進んでいますが、同社では今後、量産工程や前工程分野での活用拡大も期待しているとのことです。
産業向けレーザーマーキングソリューション
https://youtu.be/N2ENHq_VFcU
エルテック株式会社は、レーザー加工を専門とする受託加工メーカーとして、多様な産業分野に向けたマーキング技術を紹介しました。同社は半導体関連をはじめ、医療機器、自動車、通信機器など幅広い業界にレーザーマーキング加工を提供しています。
レーザーマーキングによりインクや塗料を使用しないダイレクトパーツマーキングを実現します。これにより環境負荷の低減に貢献できるだけでなく、インクの剥離や異物混入といった製造現場でのリスクを抑制できるため、品質管理が重視される分野で高い評価を得ています。
製品の識別やトレーサビリティ確保のためのマーキング工程は、半導体業界をはじめ多くの製造業において欠かせない工程となっています。同社では、こうしたニーズに応えるため、長年培ってきたレーザー加工技術を活用し、製品への付加価値向上を支援しています。
高速3Dレーザープロファイラー
https://youtu.be/A1A7Yjtzpfc
株式会社エーディーエステックは、高速3D計測を実現するレーザープロファイラー「Z-Trak(Zトラック)」を紹介しました。同製品は、対象物の形状を三次元で高精度に計測・検査できる3Dセンサーであり、スキャン速度の高さを大きな特長としています。
一般的な3Dセンサーと比較して高速なデータ取得が可能なため、検査工程においてボトルネックとなりやすい計測時間を短縮し、生産性向上や検査効率の改善に貢献します。近年、半導体や電子基板分野では高精度かつ高速な検査ニーズが高まっていますが、同製品はそうした要求に応えるソリューションとして注目されています。
検査や計測に必要な3Dアプリケーションソフトウェアが標準で付属しているため、導入後すぐに運用を開始できます。現在は半導体関連や基板製造分野を中心に導入が進んでおり、品質管理や自動検査工程で活用されています。
同社では、今後もラインアップの拡充を予定しており、より広い視野角を持つモデルやコストパフォーマンスに優れたモデルなど、新たな製品展開を進める計画です。
電動マイクロマニピュレーターシステム
https://youtu.be/NF9acrNPp3U
株式会社マイクロサポートは、微細な作業や分析前処理を支援する高倍率観察装置「アクシスプロ」を紹介しました。同製品は、中央に配置されたマイクロスコープと左右の電動マイクロマニピュレーターを組み合わせたシステムで、観察から精密操作までを一体的に行えることが特徴です。
装置で捉えた映像はモニターに表示され、オペレーターはマウス操作によって電動マイクロマニピュレーターを制御できます。これにより、人の手では困難な微細領域での作業を高精度に実施可能です。主な用途としては、分析装置にかける前の試料前処理や、生産工程で発生した異物の除去・回収作業などが挙げられます。特に、回収した異物を分析するための前処理工程において、高い有効性を発揮します。
同社は比較的小規模な企業ながら、半導体製造装置メーカーや防衛関連企業、精密機器分野の企業をはじめ、官公庁や大学、研究機関などへの導入実績を有しています。
今回の展示会では、半導体業界へのさらなる認知拡大を目指し、同装置の活用可能性を積極的に提案していました。