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DX 2025.08.18

製造業設備管理の未来を切り拓く――デジタルツイン活用による現場変革「ZeugMa」

NSW サービスソリューション事業本部 小林宏充

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はじめに

近年、社会インフラの老朽化と技術者不足という二大課題が、公共・民間を問わず深刻化しています。現場の安全性と効率を両立させながら持続可能なインフラ運用を実現するためには、従来の手法に代わる新しいアプローチが必要です。
NSWが提供する「ZeugMa(ジーグマ)」は、3DデジタルツインとIoTセンサー監視技術を組み合わせることで、これらの課題を解決する革新的なサービスです。本稿では、その開発背景、技術的な特徴、導入事例、そして今後の展望についてご紹介します。

 

1. 開発の背景

日本全国のインフラ施設は、高度経済成長期に建設されたものが多く、今まさに更新期を迎えています。しかし、慢性的な人手不足と熟練技術者の引退によって、現場の点検・保守業務は年々困難になっています。また、頻発する自然災害に備えた迅速な現場対応も求められています。こうした現実に直面し、我々は「現場に行かずに現場を知る」ための新たなソリューションとしてZeugMaを企画・開発しました。
単なるIoTセンサーの可視化ツールではない、リアルな状況把握による現場解像度向上による効果を目指しました。

 

 

2. ZeugMaとは

ZeugMaは、Matterport社の3Dスキャンカメラを用いて取得した高精度な空間データに、各種監視データやセンサー情報を連携させることで、リアルタイムに状況を可視化できるデジタルツインプラットフォームです。Webブラウザ上での閲覧・操作が可能で、遠隔地からでも現場の状況を詳細に把握できます。
特徴は以下の通りです:

●    高精度3D空間の構築と履歴管理(短時間スキャンで正確な3D空間を再現)
●    温度・湿度・振動・気圧・照度などの各種センサーデータの統合表示
●    閾値設定アラート機能付きの監視システムにより異常検知の精度を向上
●    WebベースのUIにより、どこからでも閲覧可能
●    点検履歴・コメント・図面・手順書などの情報を空間上にタグとして一元管理
●    クラウド連携により、複数拠点の情報を統合して一括管理
●    異常時に即座に3D画面上でアラート箇所を表示し、関係者間で即時共有

 

 

 

3. 技術的な工夫と優位性

ZeugMaは、既存のIoT環境やクラウド基盤と柔軟に連携できる設計思想のもとで開発されています。従来のCGモデリングはコストや専門スキルが必要でしたが、ZeugMaでは誰でも短時間で3D空間の取得が可能。アナログメータをデジタル化するカメラとの連携など多様な追加オプション機能があり、課題に合わせた柔軟なアレンジと、段階的な拡張も容易です。また、複数の閲覧者が同時に同じ3D空間上でコミュニケーションできるコラボレーション機能も備えており、現場と本社、技術者と経営層といった、立場を超えた議論の場を提供します。

 

4. ユースケース

◆製造業工場施設

複数の工場を保有しており、これまでは定期点検のたびに数人が現地を訪問していました。ZeugMaを導入したことで、スキャンによる空間データの取得と常時監視の組み合わせにより、点検作業の時間が1/3に短縮され、報告作業も大幅に効率化。現場を訪れる頻度を減らすことができ、安全性向上にも貢献しています。

 

◆製造業プラント設備

熱を扱うプラントにおいては、温度異常や部品の摩耗をいち早く察知する必要があります。ZeugMaでは熱画像と3Dデータを重ねて管理することで、点検箇所の位置情報と異常の傾向を一目で把握。異常の兆候を見逃すリスクが減少し、「若手でも直感的に異常箇所を見つける」ことが可能になりました。

 

◆商業施設・大型建物の空調・照明管理

ショッピングモールやオフィスビルなどの商業施設では、空調や照明、設備の稼働状況を一元的に管理するためにZeugMaを導入。現場担当者と管理者が同じ画面を見ながら設備の状態やアラートを確認できるようになり、問い合わせや出動回数の削減に貢献しています。

 

 

 

5. お客様の声

「まるでその場にいるかのような臨場感で、設備の状態が手に取るようにわかる」

「新人でも点検報告がスムーズにでき、ベテランの暗黙知がデータで共有できる」

「社外からの監査対応も3D空間で説明できるようになり、信頼性が高まった」

「点検が終わるたびに現場に行っていたのが、今ではパソコン上で済むようになり、年間の出張コストが30%削減できた」

「災害時、避難経路の確認が事前に3Dで行えたことで混乱が少なくて済んだ」

 

6. 今後の展望

ZeugMaは今後、AI画像解析による自動異常検知、自動制御、作業履歴との連携による設備ライフサイクル管理、さらに人員配置最適化など、多様な進化を計画しています。
また、幅広い業種・業界との連携をさらに進め、全国の施設管理・防災・建設分野での普及を目指しています。将来的には、各種ロボットサービスとの連携や、海外展開も視野に入れており、グローバルに通用するインフラメンテナンスの一翼を担うことを目指しています。

 

7. 社会へのインパクト

ZeugMaは単なるツールではなく、インフラ維持管理の考え方そのものを変える存在です。「熟練者が減る中で、どうやって安心・安全を維持するか」という問いに、デジタルと現場感覚の融合という形で答えを提示しています。地域を超えてノウハウが伝播し、障害時にも柔軟に対応できる体制づくりを支援することが、私たちの使命です。また、「点検の民主化=誰でもアクセスでき、正しく判断できる環境」を整えることが、社会全体のレジリエンス向上に貢献すると信じています。

 

おわりに

現場の声に寄り添いながら、日々進化を遂げるZeugMa。今後も「デジタルの力で、現場を多角的につなげる」社会の実現に向けて、技術と情熱で取り組んでまいります。

NSW サービスソリューション事業本部 小林宏充
https://dx.nsw.co.jp/solution/smart-factory/zeugma/
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