人手不足が叫ばれるようになって久しい現在、運搬などの自動化による省力化、省人化に関して、待ったなしの状況となってきています。
この課題に対し、今ある工場を建て直し、完全自動化された工場を構築することが可能な大企業などであれば、選択肢がある状況だと思います。
しかし、そこまで大規模投資ができる中小企業は少ないと想像されますし、大企業でも多品種少量生産の時代で、生産ラインが短期間で変化するため自動化が困難というケースもあるかもしれません。様々な理由で選択肢を見つけられない企業に対して、一つの選択肢となるDoog製品「サウザー」について、本稿で紹介いたします。

展示会へ出展させていただいた際などに、必ずと言って良いほど受ける質問が2つあります。
Q.「追従するロボットですか?」
A.追従機能(Doog用語で“自動追従”と言います:以後、自動追従)は搭載されていますが、自動追従以外にも、AGV・AMRに相当するような自動走行機能も実装されているため、正確にお答えすると、「追従“も”可能なロボットです」となります。
Q.「AGV・AMRみたいなものですか?」
A.少し長くなってしまいます。
前述した、自動追従以外の自動走行機能として、以下2つの機能が搭載されています。
・ライントレース
・メモリトレース
Doogのライントレース機能は、再帰反射テープを床面に貼付いただくことで走行路を作っていただけます。この部分のみに焦点を当てれば、「環境から指示を受け取って走行するロボット」という範疇(はんちゅう)となり、AGVと言えると思います。しかし、ライントレース以外の機能も搭載されているという点で、一般的なAGVとも断定できません。
メモリトレースは、ロボット自身に搭載されているレーザセンサ(LiDAR)で自分の位置を確認しながら走行します。この部分に焦点を当てると、AMRと考えたくなる気持ちも良く分かります。
しかし、サウザーのメモリトレース機能は、いわゆる地図作成(SLAM)をしないため、PCなどの画面上で地図の表示や、経路や走行可能エリアを設定することはできません。これは、ロボット操作者による、地図作成が正しくできているかの確認や、PCで設定作業をする手間が不要というメリットでもあります。
メモリトレースは、簡単さと複雑な運用を両立できるようにとの思想のもと、地図作成ではなく、実際に走行させ記憶するという直感的な操作を伴うティーチングプレイバック方式を採用しています。
以上より、Doogでは世間一般に考えられているAMRにもサウザーは属さないと考えています。
これらをまとめると、「AGV・AMRみたいなものですか?」に対して正確、かつ、端的にお答えするには……、と今でもなんとお答えすれば良いか迷うのが実際のところです。
それでは、Doogではどのように表現しているかと言えば、2025年10月29日~31日にポートメッセなごやで開催された名古屋ロボデックスより、Doog製品の新しいブランドコンセプトとして【KAIZEN Mobile Robot】と位置付けてプロモーションを始動いたしました。
AGVやAMRのような曖昧なカテゴリではなく、Doog独自の【KAIZEN Mobile Robot】が浸透し、理解していただけるように、努めていきたいと考えております。
最大の特長は、様々な運用条件・環境条件において対応可能な範囲が広いということです。
それは、例えば路面状況や天候への対応であったり、積載や牽引内容に合わせたハードのカスタマイズ性であったり、走行機能の多様性であったり、制御のためのシステムの汎用性であったりといったものになります。
しかも、対応可能な範囲が広いにもかかわらず、現場の方だけで設定、導入が簡単な操作方法で実現できてしまうところも特長の一つです。
具体的に説明します。
1.路面状況や天候への対応
・屋外走行可能
・牽引ではなく積載に限られますが、サウザー本体は3cmの段差をクリアできる
・雨天時や夜間でも走行可能な機種が充実
2.ハードのカスタマイズ性
・搬送内容に合わせて、荷台形状や牽引金具も自由にカスタマイズ可能
・カスタマイズされることを前提としたアルミフレームによる筐体(きょうたい)
(例:「荷台上に囲いを作っていただく」「棚を設置していただく」や「自社の台車やカートに合わせて牽引金具を設計していただく」など)
3.走行機能の多様性
・自動追従:ボタン一つで動作可能であり、先導者はビーコン等なにも持つ必要がない
・メモリトレース:運用したい経路を一度走行させるだけで、経路を記憶、2回目以降はガイドレスで自動走行が可能
・ライントレース:再帰反射テープを貼付していただくだけで、リーズナブルながら昼夜を問わず安定して走行できる経路設計が可能
・さらに、上記メモリトレースとライントレースを組み合わせて経路設計可能
・手動操縦:ちょっとしたロボットの移動に使える直感的なスティック操作
4.システムの汎用性
・上位システムが不要で、サウザーのみ、スタンドアローンで機能可能
・環境整備をしていただければ、上位システムを構築することも可能
(例:「遠隔からの指示、監視」や「複数台同時制御」など)
5.簡単な操作性
・メモリトレースは、ボタン操作のみで経路設計が可能なため、地図作成など専門スタッフに来社してもらう必要がない
上記サウザーの特長を組み合わせることで可能となる一つの例として、建屋間搬送(建屋内はライントレース、屋外はメモリトレース)が挙げられます。1.路面状況や天候への対応と3.走行機能の多様性、4.システムの汎用性:スタンドアローンで機能、5.簡単な操作性を組み合わせることで、既存設備のまま、かつ、現場の方だけで導入・運用ができてしまうのです。これは、導入ハードルが低いことを意味しています。
さらに、上記1~5の機体性能自体の特長に加え、サポート体制も充実しています。
6.サポート体制
・機体に5年保証が付帯している(定期点検も可能)
・自社でソリューション構築されるエンドユーザであれば、オンラインサポートで直接Doogのエンジニアのサポートが受けられる
・周辺機器等を整備している
・ウェブサイトに取扱説明書や技術資料、作業手順書等を公開している
・基本性能の向上は常に図るが、世代間を通じて共通化を図っている
前述の1~5の機体性能自体の特長に加え、上記サポート体制が加わることにより
→ 運用内容に併せてパズルを組むようにして自社ソリューション構築できる
→ 自社でカスタマイズ可能か検討・判断できる
→ Doogのエンジニアのサポートを受けながら、自社で配線、取付け等のカスタマイズができる
→ 運用開始後であっても、必要な機能が出てきたら、後からでも追加カスタマイズができる
→ ソフトウェアやファームウェアのバージョンアップが可能であり、結果、導入後に開発された周辺機器の増設も可能
上記特長から、導入時点で全ての仕様が全て確定していなくても、スモールスタートが可能であり、検討段階から、運用に至るまで、多くの選択肢や手厚いサポートが得られるということが理解していただけると思います。
そしてこれらの特長の先にあるものとして、現場改善の起爆剤となりえる製品であると言えます。
7.KAIZENにつながる
・経路の変更や、固定設備でもないため運用場所の変更が簡単
・ある現場でうまくマッチしなかった時でも別の現場でも簡単に試せる
・ちょっとしたアイデアもすぐにお試し、実行可能
サウザーの大きな特長の一つとして、カスタマイズ性が広いということを説明させていただきました。ですがこれは逆に言うと、自由度が高すぎて迷ってしまうエンドユーザも出てくる可能性を示唆しております。
これに対しDoogでは、下記のような2つの導入サポート体制を準備しております。ソリューション構築を社外に頼りたいエンドユーザには、Doogが提携しているインテグレータ販売事業者をご紹介することが可能です。インテグレータ販売事業者は、エンドユーザに寄り添い、それぞれのニーズや条件に合わせたソリューション構築を行います。

・導入のハードルが低い
とあるエンドユーザ様とウェブ会議を実施しました。当初はインテグレータ販売事業者様を頼る想定をされていましたが、サウザーの特長をご説明しているうちに、自分たちで実施可能と考え始めたらしく、運用の試行錯誤や検証、カスタマイズを自社でやりたいと同会議内でおっしゃり、導入サポート体制が変化したケースがありました。
・後からでも追加カスタマイズ可能・Doogのサポート体制
サウザーは2025年10月で、発売から10周年を迎えました。このため、導入から数年経った機体も増加しており、定期点検を機に、エンドユーザ様が「積載で運用してきたが、牽引も検討したい」や「新機能を試したい」とおっしゃったケースがありました。
どちらのケースでも対応が可能だったことがサウザーの強みとなっています。
近年、省力化や省人化を目的としたロボット導入は珍しくありません。しかし、その一方で多くの方が次のような不安を抱いているのも事実です。
・「操作が難しく、使いこなせないのではないか」
・「導入に莫大な費用がかかるのではないか」
・「自分の仕事が奪われてしまうのではないか」
・「専門業者に頼り切りになり、社内で調整ができないのではないか」
こうした不安が壁となり、導入が進まない——。Doogは、この常識を打ち破りたいと考えています。 私たちが目指してきたのは、現場の方々が自ら使いこなし、導入後のニーズや環境の変化にも柔軟に適応できるロボットです。
・ロボット導入のために現場を造り替える莫大なコストを強いるのではなく、ロボット側が既存の現場に対応すること。
・仕事を奪う「敵」ではなく、共に働き、共に成長していける「仲間」として受け入れられること。
・変化のたびに専門家を呼んだり、機体を買い直したりする必要がなく、現場の知恵で柔軟に対応し続けられること。
さらに、操作の簡便さと高い対応力を活かし、それぞれの現場改善を加速させる存在でありたいと願っています。
サウザーと共に働く中で、「ここでも使えるのではないか」「こう調整すればもっと効率的になるはずだ」といったアイデアが次々と生まれる。そんな時、「でもロボットは難しそうだから」とブレーキをかけるのではなく、現場の積極性を後押しできる存在でありたいのです。
かつてソニーの「ウォークマン」が「音楽を持ち歩く」という新しい文化を創り出したように、私たちは【KAIZEN Mobile Robot】という言葉を通じて、人と共に働き、共に成長するパートナーとしての新しい価値観を創造していきます。
今回の記事でご興味をお持ちいただければ、下記URLのDoogウェブサイトをご参照いただき、さらなる情報を取得していただければ幸いです。エピソードページには「様々な導入事例」や「社員が日々考えていること」が紹介されており、サポートページからは実践的なロボットの応用のための情報がどなたでも参照できるようになっております。