2025年5月21日(水)〜23日(金)、パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」が開催された。
同展は、自動車技術に関する国内最大級の専門展示会であり、自動車メーカー、部品サプライヤー、素材・装置メーカー、IT企業などが集い、自動車のこれからを体感できる場として高い注目を集める。出展企業は約500社を超え、来場者数も年々増加。EV化、自動運転、次世代電池、軽量化技術、カーボンニュートラル対応技術など、自動車産業の変革を支える最新の開発成果が披露された。
「基板の窓口」では、同展における注目企業のブースを訪問し、技術者や開発担当者へのインタビューを通じて、最新の製品や技術の魅力を深掘り。自動車業界の今と未来をレポートする。
【公式サイト】
https://aee.expo-info.jsae.or.jp/ja/
【次回開催予定】
人とくるまのテクノロジー展 2025 NAGOYA
日時:2025年7月16日(水)〜18日(金)
場所:Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
人とくるまのテクノロジー展は、自動車技術を核に、エネルギー、IT、素材、製造、電子部品など幅広い産業が交差する技術交流の場である。自動車の電動化、ソフトウェア化、カーボンニュートラルといった大きなテーマのもとで、次世代モビリティの実現を支える技術革新が求められており、同展はその最前線を知る貴重な機会となっている。
2025年展では、EV用パワーエレクトロニクス、高効率モーター、次世代バッテリー技術、デジタル開発環境などが注目を集め、今後の技術動向を占う上でも非常に示唆に富む内容となった。
自動車業界の技術者・研究者・開発責任者のみならず、異業種からの来場も増加しており、業界を越えたコラボレーションの場としても期待が高まっている。
高性能ポリマー「ザレック™」
https://www.youtube.com/watch?v=SMv4AQwqAgY
出光興産株式会社は、今回の展示会で高性能ポリマー「ザレック™(ZAREC™)」を展示。ザレック™は、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)をベースにした独自の高機能樹脂であり、「軽量」「耐熱」「耐薬品性」という3つの特長を兼ね備える。
同製品は、同じ形状の部品を従来素材より軽量に仕上げられる点が特長で、自動車の電装部品などに用いることで、車両の軽量化にも貢献。さらに、高温環境や薬品にさらされる使用条件下でも優れた耐久性を発揮するため、幅広い産業用途での活用が期待される。
パワー半導体用NTCサーミスタ「FTIシリーズ」
https://youtu.be/QhMdm63nMy4
株式会社村田製作所は、コンデンサを中心とした電子部品の開発・製造を手がける世界最大手メーカーである。
今回の展示では、新たにリリースしたFTIシリーズのサーミスタを紹介した。
このFTIシリーズは、従来の製品とは異なり、発熱体のそばで実装して発熱体の温度に追随した形で測定できることが特長だ。発熱体のパフォーマンスをより正確かつハイパフォーマンスで実現できる。
新時代の計測 マルチデバイス生体計測システム
https://youtu.be/5vPyWp1lCPw
島津製作所は、2025年4月に新たに発売した「マルチデバイス生体計測システム」を展示。本製品は、表情筋の動きを捉える筋電(EMG)や心電(ECG)、脳波(EEG)といった生体情報を、簡易的かつ非侵襲で計測できるシステムだ。
計測データはカメラ映像と同期され、タイムラインでの振り返りが可能。従来のアンケートでは拾いきれなかった「微細な不満」や「好印象の瞬間」を定量的に可視化でき、商品開発やUX評価に活用される。
高精度測定可能なレーザートラッカー式三次元測定機
https://youtu.be/yeMSQcbTi7A
東京貿易ホールディングス株式会社は、スイス・ライカ社製の高精度三次元測定機「レーザートラッカー」を展示した。
本製品は大型構造物の精密測定を可能とし、従来の測定器では対応が難しかった航空機・重工業分野において高い導入実績を誇る。すでに試作工程の効率化や量産時の品質検査など、多数の現場で活用されており、グローバルでもトップシェアを有する信頼性の高い測定ソリューションだ。
車開発の経験を活かした社会課題の解決
https://youtu.be/1qXXvvdnW1g
自動車開発の現場を40年以上支えてきたオートテクニックジャパンは、これまでに培った試験技術や知見を社会課題の解決へと応用する取り組みを進める。
今回の展示では、視覚障がい者の移動を支援する「盲導犬ロボット」の開発事例を紹介。ユーザー視点で必要な機能や使いやすさを追求し、実証とフィードバックを重ねながら改良を進める。
また、高齢者や視覚障がい者の移動サポートをはじめ、人に優しいテクノロジーの実装に注力。自動車開発で培った「人中心設計」の知見を社会全体に広げていく。
デジタルツインと高精度シミュレーションで描く自動運転サービス
https://youtu.be/ZJkID6hWZ5g
三菱プレシジョン株式会社は、自動運転分野に向けたシミュレーション技術を展示。
センサー視点で危険回避を再現する「DIVP」と、運転支援の快適性を検証できる「D3SIM」を紹介した。
DIVPは、ミリ波レーダーやLiDARを用いたリアルなセンサーシミュレーションを実現。
一方、D3SIMはヒューマンマシンインターフェース(HMI)評価に特化し、安全な誘導設計を支援する。
両製品はOEMや車載センサーメーカーを中心に活用されており、自動運転の安全性向上に貢献する。
水素エンジンの新技術「デュアルインジェクションシステム」
https://youtu.be/4lAc0DkuQyA
株式会社アネブルは、水素エンジンの新たな可能性となる「デュアルインジェクションシステム」を出展。現行のエンジンを水素エンジンへとコンバージョンするサービスを展開し、走行中の既存車両でもCO₂削減を図る取り組みを進める。
同社が開発した独自の噴射系技術により、水素エンジン特有の課題である異常燃焼の抑制が可能となり、従来は70%程度に留まっていた出力を90%まで引き上げた。実証車両による公道走行でも問題なく安定稼働しており、実用化が進む。
検証・デザインレビューのお悩みは遠隔支援メタバースで解決
https://www.youtube.com/watch?v=IWH1rBQppek
株式会社ダッドは、製造ラインの設計・検証における課題を解決する「遠隔支援メタバース」サービスを展示した。
このソリューションは、3D仮想空間上で製造ラインの事前検討やデザインレビューを実施できる点が特徴で、実機が完成してから発覚しがちな「通路の狭さ」「配管の干渉」などレイアウト面のトラブルを未然に防ぐことが可能だ。
メタバース上での検討により、出張・移動といった交通費の削減にもつながる。
現時点での導入実績はないものの、新工場の立ち上げやライン新設を検討する製造業の顧客を中心に、今後の展開が期待される。
塗装代替3次元加飾ハードコートフィルム
https://youtu.be/uYNQNalhWoc
アイカ工業株式会社は、メラミン化粧板や接着剤製造を手がける化成品・建装建材メーカーである。
今回の展示では、3次元加飾ハードコートフィルムを紹介した。
この製品は硬くて伸びる特性を持ち、自動車外装スペックの高い硬度と様々な部材形状への対応を両立する。
塗装代替として提案しており、従来の重ね塗り塗装に比べて真空成形1回で完成できるため、CO2排出削減と工程短縮を実現できる。
現在は自動車メーカーの外装スペックに合格し、秋頃からの量産開始を見込む。
「ハイスピードカメラ」「アイトラッカー」映像計測システムをご紹介
https://youtu.be/LpjsOKShoVw
株式会社ナックイメージテクノロジーは、ハイスピードカメラや視線計測装置を中心とした映像解析・映像計測技術を提供する。
事故時の車内の動きや、溶接時の金属の変化、人の視線の動きなど、人の目では捉えられない現象を「見える化」することで、研究開発や品質向上に貢献する。
国内の自動車メーカーや部品サプライヤー向けに多数の導入実績があり、研究用途を中心に活用が広がる。