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2026.03.08

【人的資本経営】持続可能な製造現場を実現する条件

基板の窓口編集部

プリント基板関連ピックアップ記事 【人的資本経営】持続可能な製造現場を実現する条件

多様化する労働力:シニア・外国人・女性の活躍

総務省が公表した労働力調査(2025年11月分)によれば、日本の労働力人口は7か月連続で7,000万人を超え、年平均でも過去最高を更新する見通しである。この数値は、人口減少下で労働市場に参入し続ける女性、シニア、および外国人材によって下支えされている。日本政策金融公庫の調査(2025年5月発行)によれば、外国人を雇用している中小製造業が「日本人などの人手が足りない」ことを理由に挙げており、外部人材への依存が生存条件となっている。

そのため、国内製造業は、多言語対応の作業マニュアル整備やアシストスーツの導入など、多様な背景を持つ人々が働きやすい環境を整備する必要がある。現場では、言語や体格の差異を前提とした工程設計が不可欠であり、属人的な技能を標準化する取り組みが求められる。

 

 

サプライチェーンの断絶リスクと地域経済

2025年版中小企業白書によれば、深刻な人手不足を背景に、地方の小規模なサプライヤーにおいて倒産や事業撤退のリスクが顕在化している。帝国データバンクの調査(2025年上半期)では、製造業の約4,800社が「高リスク企業」に分類されており、連鎖倒産への警戒が高まっている。

企業が撤退することは、周辺の雇用機会を喪失させるだけでなく、地域経済のコミュニティ崩壊を招く要因となる。そのため、企業の人事部門は、自社の採用枠を埋めるだけでなく、地域内での人材シェアリングや共同研修を通じた雇用維持に取り組む必要がある。

 

人的資本経営の具体策:ウェルビーイングの重要性

2025年版ものづくり白書によれば、製造業の約6割の事業所が「指導する人材の不足」を課題として挙げている。経済産業省が示す指針では、製造業分野における特定技能外国人の受入れ見込数が約17万人に引き上げられており、人的資本の確保が経営の最優先事項となっている。

限られた人材を過度な負荷によって損失させることは、企業にとって致命的な資産の喪失を意味する。各企業は、福利厚生の拡充やストレスチェックの徹底といった「心身の健康への投資(ウェルビーイング)」を経営戦略の核心に据える必要がある。従業員が心身ともに健康で働きがいを感じる環境は、結果として離職率の低下と生産性の向上をもたらす。人材を「コスト」ではなく「資本」と捉え直し、限られたリソースで最大価値を生むための人的資本経営を徹底しなければならない。これが結果として企業の持続可能性を担保する唯一の道となる。

 

〈参照〉

• 総務省統計局「労働力調査(基本集計)」 https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html • 経済産業省・中小企業庁「2025年版 中小企業白書」
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html • 経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2025年版 ものづくり白書」 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/index.html • 経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/index.html • 株式会社日本政策金融公庫「中小企業・農林水産業者における外国人雇用の実態」 https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tyousa_gttupou_2505.pdf • 株式会社帝国データバンク「全国企業倒産集計」 https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250818-highrisk/

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