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基板材料・副資材 2026.03.06

ガラスコア基板向け高アスペクト比スルーホールフィリング用硫酸銅めっき添加剤

「トップルチナGCSシリーズ」

奥野製薬工業株式会社
デジタル戦略統括部 マーケティング戦略室
堀川 誠

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はじめに

これまでの半導体はムーアの法則に従い、配線の微細化とそれに伴う高集積化により目覚ましい発展を遂げてきた。一方で、コスト面や量産性の面から微細化の限界が近づくにつれ、チップレット技術による高集積化に関心が移っている。チップレット技術の発展のためには、土台となるパッケージ基板の大型化と大型化に対応した材料の選定が必須である。

 

ガラスが選ばれる理由

5G(第5世代移動通信システム)の需要拡大に伴い、高周波数帯を利用することになり、高周波になるほど伝送損失を抑制することが重要となる。
ガラスは平滑な表面形状、熱的安定性、電気絶縁性、透明性などの特性を有しており、高性能化を求める電子基板材料として適している。この基材をインターポーザやコア材に導入することで、以下のメリットが挙げられる。

①    シリコンに近い熱膨張率を持つことから、温度変化による基板のゆがみが有機基板と比較して少なく、基板の面積を大きくできることから生産性が向上する。
②    平坦性が極めて高く、配線やビアのさらなる微細化や高密度化が実現する。また、コアを貫通する電極を有機基板よりも高密度に形成することができる。
③    有機基板と比べて伝送損失が少ないので、より高い周波数で半導体を動作させることができる。
④    高温下でも物性が安定しているので、給電および信号配線の設計を容易化し、さらなる高速・低消費電力化に貢献できる。
 

 

ガラス基板に求められる課題

ガラス基板は電気特性上、厚さが必要であることと、レーザーとエッチングによる穴あけ工法のため小径仕上がりとなる。そのため、小径かつ高アスペクト比のスルーホール内に銅を充填するめっき工法が求められる。

 

小径高アスペクト比スルーホールフィリングへのアプローチ

ガラス基板は電気特性上、厚さが必要であることと、レーザーとエッチングによる穴あけ工法のため小径仕上がりとなる。そのため、小径かつ高アスペクト比のスルーホール内に銅を充填するめっき工法が求められる。
当社は2種類のめっき液による2段階のめっきによって実現を目指し、1段階目めっき用としてPRパルス電解用硫酸銅めっき添加剤の「トップルチナGCS PR」、2段階目めっき用として直流電解用硫酸銅めっき添加剤の「トップルチナGCS TF」を開発した。

 

PRパルス電解用硫酸銅めっき添加剤「トップルチナGCS PR」

高アスペクト比のスルーホールをボイドフリーでフィリングするためには、ホール内にブリッジを形成することが重要である。当社はスルーホール内を高効率でめっき成長させる手法として、周期的に電流を反転させるPRパルス電解法を用いて制御することに着目した。溶解電流を印加した時に発生するCu+を捕捉する添加剤「トップルチナGCS PR」の作用により、Cu+からの電析を可能とした。また、めっき外観の改善や皮膜物性の低下を抑制することに成功し、短時間での理想的なホール内形状を実現した。

直流電解用硫酸銅めっき添加剤「トップルチナGCS TF」

次に、ホール内のブリッジ形成後に行う銅充填では、ホール開口部が優先的に電析することで発生する空隙(ボイド)の発生が懸念される。ホール開口部近傍は撹拌の影響を強く受けることから、拡散律速の強い添加剤が求められる。「トップルチナGCS TF」は窒素系有機化合物の最適化を検討し、表層近傍とホール内部との吸着量の差をさらに際立たせることで、ホール内に銅が優先的にめっきが成長し、銅が充填されるまで開口部を閉じることなく、ボイドフリーを実現した。

 

トップルチナGCSシリーズによるめっきの実施例

近年のガラスコア基板は200μm以下のピッチでスルーホールを設計されることが多い。トップルチナGCSシリーズの実施例を示す。板厚0.8mm, 直径80μmのTGV基板のスルーホールフィリングに必要なめっき時間は、直流電解と比べて3分の1に短縮できる。また、板厚1.0mm, 直径90μmのTGV基板でめっきを施したところ、ボイドフリーでフィリングできることを確認した。

 

 

今後の展望

次世代半導体パッケージ基板のコア材料として注目されるガラス基板へのスルーホールフィリング用硫酸銅めっきとして「トップルチナGCSシリーズ」を用いることで、小径かつ高アスペクト比のスルーホールをボイドフリーかつ高速でフィリングすることが可能になった。

今後、ガラスコアが要求されるような高度なチップレット実装領域において展開が期待される。

奥野製薬工業株式会社
デジタル戦略統括部 マーケティング戦略室
堀川 誠
https://www.okuno.co.jp/
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