特集記事

  • HOME
  • 特集記事
  • 【市場価値と需給】激変する製造業の賃金相場と「選ばれる企業」の条件
2026.03.01

【市場価値と需給】激変する製造業の賃金相場と「選ばれる企業」の条件

基板の窓口編集部

プリント基板関連ピックアップ記事 【市場価値と需給】激変する製造業の賃金相場と「選ばれる企業」の条件

統計と求人票から読み解く「製造業の最新賃金レンジ」

経済産業省が公表した「2025年版ものづくり白書」によれば、日本の製造業就業者数は約 1,050万 人規模で推移しており、製造業就業者数は長期的には減少傾向にある。特に若年層の就業者比率の低下と技能人材の不足が課題として指摘されている。また、厚生労働省の「労働経済動向調査」では、製造業において技術者を中心に人手不足が継続しており、未充足求人の割合が高止まりしていると示された。これらの影響を受け、大企業を中心に初任給や中途採用時の提示年収の引き上げが進んでいる。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、製造業の技術職の平均年収は、25 ~ 29 歳で概ね 400万 ~ 480万 円、30 ~ 34 歳で概ね 450万 ~ 550万 円、35 ~ 39 歳で概ね 500万 ~ 650万 円の水準となっている。さらに、生産技術、設備保全、デジタルトランスフォーメーション(DX)関連業務などの専門性を持つ人材や、大手企業・成長企業の求人では、30 代で年収 500万 ~ 700万 円程度の提示が見られるケースも増加している。

転職希望者は、基本給だけでなく、賞与支給月数や昇給実績も確認することが重要である。製造業は他産業と比較して賞与支給月数が多い傾向があり、厚生労働省の統計では年間 4.5 ~ 5.5 か月程度の支給が一般的である。
 

 

人事が見る「評価されるスキル」と、転職者がアピールすべき「実績」

内閣府の「年次経済財政報告(経済財政白書)」では、企業による人的資本投資が労働生産性の向上と賃金上昇に関連していることが指摘されている。現在の製造業において評価されるスキルは、単なる作業熟練だけでなく、IT ツールを活用した工程改善、生産管理システムの運用や改善、データ分析による品質向上、自動化や省人化プロジェクトへの参画など、生産性向上に寄与する能力である。特に、経済産業省が推進する DX 認定制度に関連する取り組みや、データ活用による改善実績は、転職市場において評価される傾向がある。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した IT スキル標準(ITSS)などの指標は、IT 関連スキルの客観的評価基準として活用されている。 転職活動においては、転職希望者は自身の経験を定量的な実績として示すことが重要である。例えば、生産性を何 % 改善したか、不良率をどれだけ低減したか、工数をどれだけ削減したか、コスト削減にどの程度貢献したかといった具体的な数値は、企業側が即戦力として評価する重要な材料となる。

 

賃金以外の「トータル・リワード(総報酬)」という考え方

厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、製造業は退職給付制度の導入率や福利厚生の充実度が比較的高い業種である。具体的には、社宅・独身寮制度、退職金制度、住宅手当、食事補助、家族手当などの制度が広く導入されている。これらの福利厚生は実質的な可処分所得の向上に寄与し、金銭換算で年間数十万円規模の価値を持つ場合がある。

また、経済産業省が推進するリスキリング政策の影響を受け、企業では資格取得支援制度、社内研修制度、外部教育機関の受講補助、社内公募制度などの教育支援制度の整備も進んでいる。これらの制度は、従業員のスキル向上と将来的な市場価値の向上につながる重要な要素である。

転職先を検討する際には、転職希望者は短期的な年収だけでなく、昇給実績、教育投資、キャリア形成支援、福利厚生などを含めた総合的な観点から判断することが重要だ。製造業においては、人材不足を背景に賃金水準の改善が進んでいる一方で、企業ごとの差も依然として大きいため、転職希望者は公的統計や制度の整備状況を参考にしながら、自身のキャリア形成に適した環境を見極める必要がある。
 

【参照】

• 経済産業省:『ものづくり白書』 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2025/index.html • 厚生労働省:『労働経済の分析(労働経済白書)』 https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/24/index.html • 厚生労働省:『賃金構造基本統計調査』 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html • 厚生労働省:『労働経済動向調査』 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/43-1.html • 厚生労働省:『就労条件総合調査』 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html • 総務省統計局:『労働力調査』 https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html • 内閣府:『令和7年度年次経済財政報告(経済財政白書)』 https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je25/index.html
• 独立行政法人情報処理推進機構(IPA):『IT スキル標準(ITSS)』 https://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/index.html • 独立行政法人経済産業研究所(RIETI) https://www.rieti.go.jp/jp/index.html 

基板の窓口編集部

基板の窓口の独自取材コンテンツのほか、プレスリリース、投稿記事をご紹介します。記事の掲載に関するお問い合わせはお気軽にお声がけ下さい。

https://jpcb.jp/?m=inquiry
基板関連工場の
無料登録 のご案内
貴社の設計、製造、実装の仕様、製造実績の登録をお願いします。