奥野製薬工業株式会社は、次世代半導体パッケージ分野で採用が進むガラス基板向けに、前処理から銅めっき充填までをカバーするめっき技術・製品の提供を強化している。主力になるのは、高密着めっき技術「TORIZING(トライジング)プロセス」と、硫酸銅めっき添加剤「トップルチナGCSシリーズ」を組み合わせたトータルソリューション。2026年1月21日~23日開催の展示会「半導体・センサ パッケージング展」にて技術「TORIZINGプロセス」「トップルチナGCSシリーズ」を訴求した。

近年のガラス基板の普及は、インテルが2023年9月に最先端パッケージ向けにガラス基板を開発したことが始まり。ガラス基板は大型化への対応に加え、高い寸法安定性・平滑性や低誘電率といった特性から高速・高周波信号に適した先端半導体パッケージ材料として期待が集まる。ガラス基板の形状は四角であり、丸型のシリコンウエハーに比べて半導体や高密度配線を形成する際に設計レイアウトが無駄なく収まり、歩留まりが高まる。その一方、金属との密着性は低く、安定した配線形成が難しいことが課題とされている。
同社総合技術研究部基板・半導体領域の吉川純二領域長は「金属酸化物をガラスの上に形成して密着層とするのがポイント。当社は約20年前からガラスの上に酸化亜鉛膜を形成する技術を持っていた。その技術をガラス基板用に最適化した」と説明する。
「TORIZINGプロセス」は、ガラス表面に酸化亜鉛を析出させて密着中間層を形成し、無電解銅めっきを施す。酸化亜鉛を単なる“薄膜”ではなく、厚みと構造を持つ“層”として形成するのがポイント。酸化亜鉛は熱を加えるとガラスに浸透し、強固な結合を実現する。同社は酸化亜鉛層形成用、触媒付与用、無電解銅めっき用などの薬品をトータルで提供する。
この表面処理により、ガラス基板上に微細な銅配線の形成が可能で、優れた耐マイグレーション性を発揮する。また、深さに対して径が小さい高アスペクト比のスルーホールに対しても良好なめっきを実現する。
一方、ガラス基板はレーザーとエッチングによる穴あけ工法のため、小径かつ高アスペクト比となり、スルーホールの中央部も細くなる。そのため、めっきに加え材料充填も難しい。
「トップルチナGCSシリーズ」は、ガラスコア基板向けのスルーホール充填用添加剤となる。ラインアップとして、ホール内の銅ブリッジ形成に適したPRパルス電解用硫酸銅めっき添加剤「トップルチナGCS PR」と、ボイド(空隙)抑制に貢献する直流電解用硫酸銅めっき添加剤「トップルチナGCS TF」の2種類を用意する。用途や工程に応じて併用することで、ボイドフリーかつスルーホールフィリングを短時間で実現。信頼性の高い電気接続や熱・機械的耐性の向上に寄与する。
板厚800μm・穴径80μmのスルーホールフィリングに必要なめっき時間は「トップルチナGCSシリーズ」を使用すれば、7時間程度で完了。これは従来の直流電解めっきに比べて3分の1程度となる。板厚500μm・穴径50μmや板厚1000μm・穴径90μmなどの基板スペックにおいてもボイドフリーを確認している。吉川領域長は「高性能なチップを数多く載せるためには、ガラス基板を使いたいというのが業界の流れ。ガラス基板は歩留まりの向上、コストダウンが図れるため、エンドユーザーのメリットにつながる」と説明する。
同社は今後、半導体メーカーや基板メーカーとの連携を通じてガラス基板実装技術の普及と次世代パッケージ基板市場での採用拡大を目指す。