電子部品実装機メーカーの株式会社FUJIは、スマートファクトリー用プラットフォームの高機能実装機「NXTR」において、016008M(0.16×0.08mm)サイズの極小電子部品を基板に実装することに世界で初めて成功した。

同社は、電子機器・半導体・プリント基板(PCB)製造に関する専門展示会「インターネプコンジャパン」(会期=2026年1月21~23日)に出展し、この技術をPRした。

016008Mは今後の標準規格として注目を集めている。従来の最小規格である0201M(0.25×0.125mm)サイズを大きく下回る微小サイズへの対応は、次世代実装技術の一つの到達点を示す。ロボットソリューション事業本部営業企画部プロダクトマーケティング課の武野祐丸マーケティングアドバイザーは「量産で使用できる要素技術は確立できた」と自信を見せる。

近年、AI(人工知能)処理を端末側で行うエッジAIの普及により、電子機器にはさらなる高機能化と小型化の両立が求められている。限られた基板面積により多くの回路を集積するため、電子部品の微細化と高密度実装は不可欠だ。016008Mは、部品重量の極端な軽さから、静電気や気流の影響を受けやすく、吸着・搬送・搭載の各工程で従来とは異なる制御精度が要求される。
今回の016008Mサイズの実装では、搭載速度30,000CPH(1時間当たりの搭載チップ数)、搭載精度±10μmの制御で対応を実現した。「NXTR」は次世代を見据えた最新機であり、今回の実装のためにノズルは専用開発に着手した一方で、カメラは将来の微細化を見据えて先行開発を進めてきた高解像度カメラを活用しており、ノズルとカメラ以外は標準装備で対応した。
同本部営業企画部の増田泰章部長は「『NXTR』を開発する際に、すでに0201Mサイズは世の中にあった。さらに微細化することを予測して、サーボ技術や画像処理技術を搭載していた。先を見据えた取り組みが奏功した」と説明する。
進化させた主要制御技術は4つ。まず「部品ハンドリング姿勢認識」で極小部品の姿勢や傾きをリアルタイムに検出する。次に、「高精度ピックアップ制御」で吸着ずれや静電気の影響を抑え、部品を安定的に取り上げる。さらに「搭載荷重スーパーファイン制御」によって極小部品にダメージを与えない圧力での搭載が可能。「超高精度搭載位置決め制御」によりサブミクロンレベルでの位置補正を行う。これらの制御技術を総合的に組み合わせ、016008Mという極小サイズでの安定した実装速度・精度を達成した。
016008Mサイズの実装プロセスでは、実装機に加え、PCBやはんだ材料、印刷機など、パートナー各社の協力が必要になる。例えば、今回のはんだ材料では粒径で約2~11μmのType7を使用した。Type7は国際標準のIPC規格では最小クラスであり、製造が難しく、はんだ付け関連材料メーカーの株式会社弘輝が協力している。
ノズルとカメラは現在も開発中であり、完成した際にはすでに販売された「NXTR」に後付けが可能。同社は既存顧客に016008Mサイズ実装の必要性が発生した際には、相談や要望に応える構え。2026年6月開催の展示会「JISSO PROTEC(実装プロセステクノロジー展)」で完成したノズルとカメラを標準搭載した「NXTR」によるデモを披露できればとの考えだ。
FUJIは従来から「実装不良ゼロ」「オペレーターゼロ」「機械停止ゼロ」を掲げてきた。2025年1月のインターネプコン出展の際には3つの「ゼロ」に「実装限界ゼロ」を加え、「Target ZERO」として製造現場の課題解決に挑む姿勢を見せている。
016008Mサイズの実装は「実装限界ゼロ」の第1弾に当たる。次世代の微細部品実装では、装置性能に加え、基板設計やはんだ材料、ステンシル、リフロー条件、検査技術など、プロセス全体の最適化が不可欠。FUJIは今後、装置技術の高度化と並行し、材料・プロセスを含めたトータルソリューションの構築を進め、パートナー企業との連携を強化する方針だ。