製造現場では、製品や部品の品番、数量、工程、作業指示などを伝えるために、今も紙の「かんばん」やラベルが多く使われています。
紙は電源を必要とせず、低コストで扱いやすいというメリットがあります。一方で、情報を更新するたびに印刷や貼り替えが必要になるほか、かんばんの仕分けや回収、取り付けといった作業も発生します。
こうした紙を使った情報伝達をデジタル化する手段として注目されているのが、電子ペーパータグです。
弊社の「電子ペーパータグ EP-11」は、NFCによる通信と給電を利用して表示を書き換える、バッテリーレス型の電子ペーパータグです。電池を搭載していないため、電池交換や充電を必要としない運用が可能です。
EP-11の大きな特徴は、バッテリーを内蔵していないことです。
NFC対応のリーダライタなどをタグに近づけると、リーダライタから発せられる電波で通信と同時に電力が供給され、その電力を利用して電子ペーパーの表示を書き換えます。
13.56MHzのNFC規格に準拠した製品でスマートフォンとの通信も可能です。
一度表示を書き換えると、表示を維持するために電力を供給し続ける必要がありません。
つまり、「表示を書き換えるときだけNFC規格のリーダライタから通信時に無線で電力を受け取り、書き換え後は電源なしで表示を保持する」という仕組みです。
この特性によって、バッテリーレスでありながら電子表示を実現しています。
製造現場で電子タグを大量に使用する場合、バッテリーの有無は運用負荷に大きく影響します。
例えば、電池式の電子タグを多数導入すると、電池残量の管理や交換、充電といった作業が必要になります。タグの数が増えるほど、こうしたメンテナンス負担も大きくなります。
EP-11はバッテリーを搭載していないため、電池交換や充電という作業工数がかかりません。
これは、長期間にわたって多数のタグを利用する製造ラインや倉庫において、大きなメリットになります。
また、本体サイズは91.1×40.7×3.3mm、重量は21gと薄型・軽量。2.9インチ、128×296ドットのモノクロ電子ペーパーを搭載しています。
活用方法として考えられるのが、製造現場における「電子かんばん」です。
例えば部品箱に電子ペーパータグを取り付け、品番、部品名称、数量、次工程、作業指示などを表示します。
製造する製品や数量が変更された場合でも、紙のラベルを新しく印刷して貼り替えるのではなく、NFCを利用して電子ペーパーの表示を書き換えることができます。
弊社のホームページにおいても、自動車部品の製造現場で電子ペーパータグをかんばんとして活用した事例を公開しています。紙のかんばんを電子化することで、かんばんの仕分け作業や、取り付けミスによる手直し作業の削減につながったと、お客様より嬉しいお言葉をいただきました。
これは単純に紙を電子化するだけでなく、現場の情報伝達そのものを効率化する取り組みといえるでしょう。
電子ペーパータグの導入効果は、紙の使用量を減らすことだけではありません。
例えば生産管理システムと連携し、製造指示や工程情報を電子ペーパータグに反映できれば、現場に掲示されている情報を最新の状態に保ちやすくなります。
また、紙のかんばんを扱う作業そのものを見直すこともできます。
EP-11のようなNFC型電子ペーパータグは、次のような用途との相性が考えられます。
・電子かんばん:品番、数量、工程、作業指示などを表示
・部品・仕掛品管理:箱や台車などに取り付けて内容を表示
・倉庫管理:保管場所や在庫情報を表示
・検査工程:検査対象や検査内容を表示
・物流管理:搬送物の情報や行き先を表示
・作業指示:製品ごとに異なる作業情報を表示
特に「情報が頻繁に変わる」「同じラベルを何度も使う」「紙の貼り替え作業が多い」といった現場では、電子ペーパー化による効果を検討しやすいでしょう。
EP-11は、文字情報だけでなくバーコードやQRコード、画像なども表示が可能です。
例えば製品番号や数量を表示すると同時に、QRコードから作業手順書や製品情報、生産管理システム上の情報へアクセスするといった活用方法も考えられます。
製造現場だけでなく、部品や仕掛品の管理、倉庫でのロケーション表示、検査工程、物流など、情報を繰り返し更新するさまざまな用途で活用できます。
EP-11は、製造現場や倉庫・物流現場など、さまざまな環境で使用されることが想定されています。
特に現場では、照明や外光などによって画面に光が反射すると、表示内容が見えにくくなる場合があります。EP-11は、こうした光の影響を抑えるためにノングレア加工を採用しています。
ノングレア加工の特長は、画面表面での光の反射を低減し、周囲の照明などが映り込むことを抑えられる点です。そのため、表示されている文字や情報を確認する際に、画面そのものを見やすくする効果が期待できます。
一方で、EP-11はNFC型の電子ペーパータグであるため、利用環境については事前に検討する必要があります。
推奨書き換え距離は10mm以下ですので、遠距離から多数のタグを一斉に更新する用途よりも、対象となるタグにリーダライタを近づけて情報を書き換える運用に適しています。
そのため導入時には、タグをどこに設置するのか、どの程度の頻度で情報を書き換えるのか、誰がどのように更新するのかを確認することが重要です。
製造業におけるDXでは、大規模なシステムを導入するだけでなく、現場に残っている小さな作業を見直すことも重要です。
紙のかんばんやラベルは、一枚一枚を見ると単純なものですが、印刷、仕分け、交換、回収といった作業が毎日繰り返されることで、大きな工数につながります。
EP-11は、そうした紙の運用をデジタル化するための選択肢の一つです。
このシンプルな仕組みによって、紙の扱いやすさを残しながら、情報を柔軟に更新できるようになります。
電子ペーパータグの導入を検討する際には、単に「紙を電子化する」という視点だけでなく、現在のかんばん運用や情報更新の工程まで含めて見直すことが重要です。
紙の貼り替えや仕分けに課題を感じている製造現場にとって、バッテリーレス型電子ペーパータグは、身近な業務から始められる製造DXの一つの手段といえるでしょう。
