現在、日本の製造業は「人手不足」という大問題に直面している。資源や土地の限られた日本はいわずもがな「工業立国」であり製造業の衰退はすなわち日本の衰退を意味すると言っても過言ではない。
経産省のものづくり白書2023年版によれば、国内の製造業就業者数は、2002年の1,202万人から2022年の1,044万人に減少しており、全産業に占める製造業就業者の割合も2002年の19.0%から2019年の15.5%に減少している。少子高齢化による人口減ももちろんだが、その少なくなっている働き手自体が製造業を選びにくくなっているのだ。日本全体で見ればこの20年間、毎月6583人の従業員が消えていなくなり続けている。

また海外競合メーカーとの価格競争も激化している。それに打ち勝ち生き残るためには、最小の費用と工数で最大の付加価値を上げる強靭な企業体質を作り、維持していく事が求められる。
これら過酷な状況下で日本のメーカーは、省人化、省力化、無駄の削減を模索し続けている。すでに日本の製造業においてロボットの導入、無人化、完全自動ライン化が一層すすんではいるが、それらは莫大な投資を伴うし、技術的、物理的なハードルも高く完全に無人化ができている工場は少ない。そして製品の種類や特性、作業内容によってはそもそも無人化が困難な業務もかなりの割合で残っている。
その中でも、二重作業やいちいち作業者が手と目を止めて行わなければいけない単純作業を少しでもなくしたいというのが作業者、管理者、経営者の思いである。
さて突然だがここで、「AI音声認識」に話題は移る。「人の介在が不可避な作業の効率化」に光明を差すかもしれない技術の一つに「AI音声認識」がある。
「AI音声認識」とは「人の声」を学習させたコンピュータを使って、世の中にあふれる様々な音の中から「人の声」を聴き分け、声・言葉の情報として取得する技術である。取得した「人の声」を「文字(テキスト)」にする事で、人の発した言葉を記録したり、その言葉で機械に様々な操作をしたりする事ができる。
弊社、株式会社アドバンスト・メディアは1997年から世に先駆けてAI音声認識技術を独自開発し、オリジナルのAI音声認識エンジンで様々な業界にソリューションを提供しAI音声認識ビジネス一本で事業を展開してきた。
弊社の強みの一つはAI音声認識を「ビジネス」と「各業界」に特化して開発し拡販してきた点にある。各業界の専門用語を学習した辞書を構築して言語モデルを作る事で、それぞれの業界で使われる言葉に対しての高い認識率を実現。医療業界では電子カルテへの音声での診断結果入力、全国の自治体では会議の議事録書き起こし、コールセンターでは通話やり取りの書き起こし記録など、すでに多数の実績をいただき今日も日本中で弊社のAI音声認識エンジンが活躍している。
結果、ありがたい事に国内ビジネス向け音声認識市場ではシェアNo.1を頂戴し、AI音声認識のパイオニアであると自負している。
(出展:合同会社ecarlate「音声認識市場動向2025」)
「製造業」は人類の歴史の中でも最も早くから自動化、機械化を進めてきた仕事の一つでもある。モノを作るための機械を作り、その機械を人が操作する事で、高いレベルで一定に保たれた品質の製品を、短時間で大量に製造できる。
だがそんな ”自動化に早くから注力してきた製造業界” が実は現在、最もAI音声認識技術の導入が遅れている業界の一つかもしれない。逆にいうと日本の製造業をさらに一段階上のレベルに押し上げる力にAI音声認識がなりうる大きな余地があるかもしれない。
AI音声認識技術の製造業での利用シーンとしては様々な可能性があるが、例えば即効性のある用途に「製品検査と帳票入力」がある。多品種少ロット、形状が品種ごとに大きく違う、搬送が困難、単価が安く大きな予算がかけづらい、まだ試作段階、人の感覚でしか評価できない、など様々な理由から自動化できず人手で検査している製品はいまだ無限に存在する。
これらの製品の検査フローは下記通り。
1. ノギスやゲージ、専用の検具など検査ツールを手に取り、ワークを手に持って検査をする
2. その結果を目視で読み取り、ツールとワークを置いて、ペンと紙を持ち直して測定結果を書き込む
3. その後ペンと紙を置いて再度ツールとワークを持ち直して…を繰り返す
4. 完成した帳票を事務所に持ち帰りパソコンに入力し直す
これらはワークの形状、測定の難易度、測定箇所の数、使うツールの種類と数によっては膨大な時間と集中力を要する作業となる。また検査作業者の熟練度も要求されるため属人化していたり、本来は別の仕事をすべき人間(設計、開発、品質保証など)が自らやらなければならなかったりする。あるいは検査→記入が複雑すぎたり、ワークが大きすぎたりすると1人では出来ず、検査者と記入者の二名タッグで行われていたりする作業も多い。
言うまでもなくこれら「人の活動」は全て企業の経費であり、これらを減らす事はすなわち会社の利益や従業員の給料に直結する。
上記作業の悪い所はそれだけではない。これらの工程を経て紙に記された文字を、今度は事務所でパソコンに向かいExcelや専用フォーマットに入力し直す。慣れていれば作業時間は短いだろうが、明らかな二重仕事だし、キーボードを打ち慣れていない人には入力そのものも負担で時間もかかる。字が乱れていれば読み取れない事もあるかも知れず、その場合には検査からやり直しだ。
弊社が製造業向けに開発したソフトがこれら諸問題を解決してくれる。
『Amivoice Keyboard』名前の通り、声でキーボード操作を代替するソフトである。

お手持ちの一般的なPCにAmivoice Keyboardをインストールし、Amivoice Keyboardには事前に既存の帳票に合わせた単語やルールを登録しておく。検査開始前にPC上で帳票と一緒にAmivoice Keyboardを立ち上げるとすぐに使用できる。
作業者はワークとツールを持って測定をしたら、即、目視した数値を声で読み上げるだけでいい。するとPC上のセルに読み上げた数値が入力される。ツールとワークを置いてペンと紙に持ち変える動作がなくなり、手がフリーになって作業時間は大幅に短縮される。検査箇所が多く、複雑であるほど効果は大きくなり、もし検査者と記入者との二名タッグでやっていた検査であれば1名で完結する事で丸々1名分の人工賃が削減できる。一回で短縮できる時間は数秒でも頻度の多い作業であれば年間では大きな効果を発揮する。
ある自動車部品を製造しているA社では1日に25回、ロットごとに始まりと終わりの製品の抜き取り寸法検査をしていた。
Amivoice Keyboardを導入して作業時間を測定した所、一回の作業で約50秒短縮する事ができた。結果として、
1日あたり 25回 ×50秒 =1250秒 =20.8分。
1月あたり 20日 ×20.8分 =416.7分 =6.9時間。
1年あたり 12ヶ月 ×6.9時間 =83.3時間 の短縮となる。
その会社では1時間あたりのその作業者の人工賃を5000円と計算していたため、
年間では 83.3時間×5000円 = 約41.7万円の削減を達成した。
Amivoice Keyboardは初期費用が本体、一年目保守込みで併せて24万円。翌年以降の保守費用は4万円/年であるため、上記の会社の場合、導入1年で初期費用はペイし、その後は毎年38万円の利益を上げ続け、導入後6年で累積利益は206万円に達し、その後も増え続ける。

この改善の良い所は、検査自体は人が行い、入力作業を省力化するだけなので、既存のシステムを大きく変える必要がなく初期投資額はごく小さく済み、新商品が増えても対応が非常に簡単である事も付け加えておく。
上記は一例だが、「人が声で機械とコミュニケーションを取る」技術の活用には大きな可能性が秘められていると考える。
広い工場や長大な自動ライン、大きな装置を少人数で稼働させる現代の工場では目的の装置や操作盤まで人が歩いていく時間も馬鹿にならない。離れた所から身に着けたイヤホンマイクを通して、タッチパネルに指示を出し、装置の稼働状況を確認したり、段取り替えを行ったり、始業点検をさせたりする事が出来る。こうして人の労力と工数の削減を積み重ねる事が最小の人数で最大の仕事を行う事につながり「人手不足」を解消する事の一助となる。近い将来、作業者はロボットや操作盤、AGVと会話をしながら作業をする。そんな世界がやってくるかもしれない。声を使って自然に機械とコミュニケーションを取れる時代がもうすぐそこまでやってきている。