近年、環境に対する意識の高まりは世界的な流れとなっており、特に温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を“実質ゼロ”に抑える「カーボンニュートラル」は、各国も目標を公表しています。日本政府においても宣言され、各業界へも伝播するなど、企業のカーボンニュートラルへの取組みは環境問題にとどまらず“企業の姿勢”として捉えられています。実装業界では、はんだ付けに活用される熱源としてヒータの消費電力が大きいことからリフロー炉の消費電力量削減と生産性向上を、高いレベルで求められています。
スマートフォンやPCをはじめ、多くの電子機器を製造する上で欠かせないのが表面実装技術です。表面実装とは、ソルダペーストを塗布した基板表面に電子部品を搭載し、全面を加熱することでソルダペーストを溶かし、一括ではんだ付けを行う工法を指します。リフロー炉は表面実装のなかで、はんだ付けを行う加熱炉の総称で、弊社では1982年のリリースより、40年以上の実績があります。
実装技術の進化に合わせ、リフロー炉も技術開発が進んでいますが、熱を伴うはんだ付け工程で発生する酸化は、はんだ付け性を阻害する大きな要因となります。特にリフロー炉内では、実装基板が数分間高温にさらされることで、電子部品・基板へのヌレ広がり性の低下など、酸化の影響が表れます。この対策として、リフロー炉の内部を不活性ガス※1である窒素で充満させ、酸化の影響力を極力少なくできるのが「窒素雰囲気※2リフロー炉」で、業界では通称「N2リフロー炉」と呼ばれています。
※1不活性ガス:化学的に安定かつ他の元素や化合物と反応しにくい気体
※2雰囲気:化学において特定の化学反応を制御するための気体環境
2010年には環境調和型リフロー炉SNR-GTシリーズ(写真1)をリリース。断熱構造の強化や加熱能力に優れた独自開発のクロスノズルの効果と合わせ、窒素使用量:34%削減、立ち上げ時間:54%短縮、消費電力:35%削減(いずれも当社比)を実現し、多くのお客様に導入いただきました。2021年にはさらなる消費電力削減と生産性向上に対する要求の高まりからSNR-GTⅡシリーズ(写真2)をリリースしました。基本開発コンセプトに「更なる省エネを目指して」を据え、安定時消費電力量を約10%削減、窒素使用量を半減(最大50%)しました。また「加熱能力の向上」では炉内雰囲気の循環経路を再検討し、加熱面内のノズル風圧のバラツキを抑え、熱伝達率を約10%改善しました。加えてメンテナンス性向上のポイントとなる「フラックス回収率アップ」では従来比1.2~1.5倍へ回収能力を向上、ソルダペースト使用量を目安に3タイプより選択可能な仕様を用意いたしました(図1)。
SNR-GTⅡ-D (写真3)の開発コンセプトは「メンテナンス時間の短縮」、「多様な生産形態に適応」、「限りあるエネルギーを有効活用」の3点です。各々のコンセプトを実現した内容を以下に記します。
通常リフロー炉の上面カバーは操作面側のみの開閉であり、炉内奥側のメンテナンスが困難です。「SNR-GTⅡ-D」は操作面側・背面側の双方に開閉する機構を有し、両面からのメンテナンスが可能となり、メンテナンス性が格段に向上しています。
装置背面側に設置されているフラックス回収ユニットは、工具を用いることなく分離・分解が可能です。作業スペースが確保しにくい装置背面からフラックス回収ユニットを移動してのメンテナンスを可能とし、作業性の確保やダウンタイムの短縮に効果を発揮します。また当社にて外したフラックス回収ユニットの洗浄受託サービスも行っておりますので併せてご検討ください(図3)。
実装基板にはさまざまなサイズがあり、通常は想定される最大基板サイズに合わせ実装ラインの構成を検討します。しかし、昨今さまざまな基板サイズへ対応出来る装置の要求が増えています。その要求に応えるのが、2列の搬送レーン幅を可変することで、多様な基板サイズに適応する、デュアルレーンタイプのリフロー炉です。同一基板サイズの2列大量生産、異なる基板サイズの混流生産、大型基板の生産まで当機1台で対応が可能です。
1台で2台分の生産能力を有し、エネルギーを効率的に活用(図5)
一般的なシングルレーンタイプのリフロー炉1台当たりの電気容量は30.0kWです。一方デュアルレーンタイプは46.8kWとシングルレーンタイプ2台分より28%少なくて済み、装置を集約することでエネルギー効率を高めることが可能となります。
当社は、常にお客様の視点に立ち、生産性を向上させながらも環境に配慮した技術開発を進め、多様なご要望にお応えできるよう鋭意努力を続けます。また、サポート体制に関しても日本国内はもとより、グローバルに対応し、安心してお使いいただける環境をより充実させてまいります。これからもはんだ付け材料・装置・工法のトータルソリューションを通じて、社会に貢献できるよう日々努めてまいります。