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検査 2026.04.06

材料評価用パワーデバイスと評価試験のご紹介

材料評価の新規提案

株式会社ケミトックス 須藤 正喜

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1. ケミトックスについて

株式会社ケミトックスは、1975年9月に設立された公正・中立をモットーとする、日本国内では数少ない100%独立資本の第三者試験機関です。米国のA2LAという認定機関から試験所の国際品質マネジメント規格であるISO/IEC 17025の認証を受けています。
主な業務としては以下の通りです。

・米国ULをはじめとした海外安全規格の申請
・技術文書・海外規格の翻訳や現地通訳
・プラスチック材料等の性能評価、RoHS/REACH規制対応分析
・プラスチック材料の生分解性試験
・リチウムイオンバッテリー(二次電池)/太陽電池モジュール/パワーデバイス/プリント配線板/電子部品など製品の評価

 

2. パワーデバイスおよび材料の抱える課題

パワーデバイスとは電源回路や電力変換回路の中に組み込み電圧・電流・周波数を自在に変換・制御するための、半導体部品です。その半導体材料として、窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)は、シリコン(Si)の置き換えをしつつ、より大容量・高速動作化かつ、現状と同等もしくはさらなる軽量化小型化が期待されています。

とりわけSiCは、大電力への適用能力の高さ(電力損失の少なさ)と高速動作性能の両方を併せ持つことから省エネおよび製品の小型化が可能になると期待されているパワーデバイスです。加えて耐熱性が高く、従来のSiではなし得なかった高温環境下における動作が可能とされています。
しかしながら、SiC自身は高温に耐えることはできても、パワーデバイスを構成する周辺の実装材料は高温に耐えられないといった課題があります。これは他の次世代パワーデバイスも抱える課題です。

図-1に典型的なケース型およびディスクリートタイプ(TOパッケージ)のパワーデバイスの断面構造模式図を示す。パワーデバイスは半導体チップの他に、ケース・封止材・ワイヤ・リードフレーム・接合材・絶縁基板・ベース基板によって構成されています。SiCパワーデバイスは、現状最高でも175~200℃で動作が可能なため、特に樹脂であるケースや封止材は従来の耐熱温度のままでは高温に耐えきれないとわかります。

また、パワーデバイスはその部品の性質上、オンとオフを絶えず繰り返すことから半導体チップ周辺で発熱→冷却が繰り返されることになります。発熱と冷却が繰り返されるということはこの時に生じる熱応力を緩和する必要があり、半導体チップと接している材料との相互作用を考慮しなければなりません。これは材料単体の物性評価だけでは評価しきれず、パワーデバイスもしくはモジュールの形状に組み上げた状態で評価する必要があります。

図- 1 パワーデバイスの断面構造模式図

 

3. パワーサイクル試験

パワーサイクル試験とは、パワーデバイスの半導体チップを通電発熱させ、外部の冷却機構を以て強制的に放熱冷却させる試験です。パワーデバイス回路の数千回、数万回もの通電オン/オフに伴う、加熱と冷却によるダメージを再現する試験です。

温度サイクル試験、熱衝撃試験とは異なり、半導体チップを熱源として用いる点が特徴です。パワーサイクル試験の厳しさは、加熱時の最高温度(Tjmax)と、冷却時の最低温度(Tjmin)との温度差(ΔTj)で決まり、ΔTjが大きいほど、厳しい評価とされております。
昨今特にパワエレ機器に多く使用されるパワーデバイスにとっては、実運用に近い状態の試験であり、必要不可欠な試験という位置づけですが、材料単体でこの試験は実施不可能で、パワーデバイスもしくはモジュールの形状に組み上げた状態での評価が前提の試験となります。

 

4. 材料評価用パワーデバイスの製作~試験事例

・材料評価用パワーデバイスの製作      
材料の性能評価としてパワーサイクル試験を計画するに当たって、実際に半導体チップが搭載されたパワーデバイスを製作する必要があります。そこで、図-2に示すような材料評価用のパワーデバイスを製作しました(写真は中身が見えるようシリコーンゲル封止のものを撮影)。材料の組み合わせは表-1の通り。発熱源である半導体チップにはSiCを使用しました。
 

図- 2 料評価用パワーデバイス

 

表- 1 材料評価用パワーデバイス構成

接合材

絶縁基板

封止材

Ag焼結材

AlN

エポキシ樹脂

Pbフリーはんだ

AlN

エポキシ樹脂

 

・パワーサイクル試験結果
パワーサイクル試験条件は表-2の通りです。試験温度は、民生機器向けの厳しい条件や車載向けの使用を想定しました。試験結果を表-3および図-3に示します。
同じ半導体チップや基板、封止材を使用していても、一箇所の部材の組み合わせでこのように3倍近く故障までの試験サイクル数が異なる結果が得られており、従来広く使われてきたPbフリーはんだよりも、Ag焼結材のほうがはるかに加熱と冷却によって発生する温度差に対する耐性および耐熱性を有していることがよく分かる結果となりました。
以上より本材料評価用パワーデバイスは、試験条件に対して安定した試験結果を得ることができ、構成次第でパワーデバイス向け材料の性能評価が相対的に可能であると言えます。
 

表- 2 パワーサイクル試験条件

試験温度ΔTj

150℃

(Tjmax=175℃/Tjmin=25℃)

試験モード

電流一定モード

ON/OFF時間

10sec/50sec

試験サイクル数

デバイス損壊まで継続

 

表- 3パワーサイクル試験結果

接合材

絶縁基板

封止材

cycle数

Ag焼結材

AlN

エポキシ樹脂

126,796

Pbフリーはんだ

AlN

エポキシ樹脂

37,339

 

図- 3 パワーサイクル試験結果グラフ

 

5. まとめ

当社ではこのように試験サンプルの製作から試験評価、今回はご紹介していませんが故障解析までワンストップでご提案が可能です。パワーデバイスもしくはその材料評価でお困りでしたらぜひお声がけください。

株式会社ケミトックス 須藤 正喜

ケミトックスは、1975年9月に設立された公正・中立をモットーとする、日本国内では数少ない100%独立資本の第三者試験機関です。
米国のA2LAという認定機関から試験所の国際品質マネジメント規格であるISO/IEC 17025の認証を受けています。
材料から製品までの各種試験評価を行っています。

https://www.chemitox.co.jp/
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