本記事は東芝情報システム株式会社が提供する「ディスコンLSI再生サービス」について、同社より記事提供をいただいたものです。
[目次]
■ LSIのディスコン・EOL対応の方法 FPGAで回路設計・開発しない方法とは
■ LSIのEOLが増加している理由
■ LSI が EOL になった場合の、従来の対策方法と問題点
1) FPGA化する
2) 汎用品を利用して、基板自体を作り直す
3) 同じ半導体ベンダーの、新しいプロセスで再ASIC化する
■ LSI の EOL に対応する新しい方法「ディスコンLSI再生サービス」とは
■ 「ディスコンLSI再生サービス」4つの特長
1) 回路(設計)データが残っていなくても再生可能
2) 確実な再生ができる
3) お客さまは、結果の確認のみでOK
4) 生産数量が少なくても再生可能
■ 「ディスコンLSI再生サービス」を利用することによる二大メリット
1) 開発工数の削減
2) 開発コストの削減
■ 開発費回収事例
■ 「ディスコンLSI再生サービス」の利用をおすすめしたいお客さま
1) EOL を通知される前のお客さま
2) EOL を通知されたあと、ラストバイ(最終購入)前のお客さま
3) ラストバイ後のお客さま
■ まとめ
近年、半導体ベンダーの事情により、ASIC、またはカスタムLSI の製造が EOL(EndOf Life : 製造終了)になることが増えています。使用している LSI が EOL になった場合、どう対応すればよいのでしょうか。
対策として考えられるのは、以下の三つです。
しかし、これらの方法には、「設計者がいない」「費用や手間がかかる」など、さまざまな問題があります。
そこで、新しいEOL対策として注目されているのが、当社が提供する「ディスコンLSI再生®サービス」です。本コラムでは、「ディスコンLSI再生サービス」が求められるようになってきた背景や特長・利用のメリットなどをご紹介します。
EOL とは、End Of Life の略語であり、「製造終了」のことです。半導体業界においては、LSI の製造が中止(終了)されることを意味します。ディスコン(Discontinue)と呼ばれることもあります。
近年 EOL が増えている背景には、
などの事情があります。
使用している LSI が EOL になった場合の従来の対策方法は、以下の三つです。
FPGA(Field-Programmable Gate Array)とは、製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路のことです。
FPGA化には、以下のような問題があります。
など
汎用品を利用して基板自体を作り直す方法には、以下のような問題があります。
など
同じ半導体ベンダーによる再ASIC化には、以下のような問題があります。
など
上記のように三通りの EOL対策がありますが、どの方法でも対応できない場合、最終的には製品供給や保守を中止せざるを得なくなる可能性があります。製品供給や保守を中止すると、お客さまからの信頼や将来のビジネスチャンスを失ってしまうことになりかねません。
従来の EOL対策に代わる新しい方法として、当社では「ディスコンLSI再生サービス」をご用意しています。
「ディスコンLSI再生サービス」とは、半導体ベンダーが製造終了したカスタムLSI、ASIC を安定供給できるように作り直して供給するサービスです。作り直す過程で、付加価値をつけることもできます。
別会社のプロセスで作り直すことになりますが、可能な限り同じピンアサイン、ピンピッチで供給いたしますので、基板変更は必要ありません。
「ディスコンLSI再生サービス」の主な特長は、以下の4つです。
「ディスコンLSI再生サービス」では、回路(設計)データが残っている場合には、そのデータを新しいプロセスに変換してLSIを再生いたします。
しかし、多くの企業では、
るというのが実情ではないでしょうか。
そこで、当社は、回路(設計)データが残っていないお客さまにも「ディスコンLSI再生サービス」を利用していただけるように、「LSI解析サービス」もご用意しています。現品のLSIを分解し、特殊なソフトウェアで回路図を抽出することで、回路を再現いたします。
当社の強みは、再現した回路に関して確実な検証ができることです。
これらの検証作業により、これまでデジタル・アナログとも、100%再生に成功したという実績を持っています。
当社は、以下のような、LSI再生に関わるすべての設計・検証作業をご提供いたします。
お客さまは、新たに開発人員をご用意する必要はありません。結果の確認のみで、LSIの再生を行うことができます。
「ディスコンLSI再生サービス」は、少量生産に対応が可能です。1回だけの生産でも、100個程度からでも再生可能です。
「ディスコンLSI再生サービス」を利用することによって得られるメリットは、主に以下の二つです。
「ディスコンLSI再生サービス」を利用した場合と、FPGA化する場合、基板自体を作り直す場合の開発工数を比較してみました。
「ディスコンLSI再生サービス」を利用した場合、ES(エンジニアリングサンプル)の動作確認と実機の動作確認だけで済むため、お客さまの開発工数を大きく削減することができます。
LSI開発の二大コストであるマスク代とロット単価が、古いLSIを開発した当時の価格よりもかなり下落していることが期待できます。つまり、同じプロセスまたは若干細かいプロセスで作り直しても、単価が下がるため、開発費を早期に回収することが可能になるのです。
0.7μmのゲートアレイだった旧製品を別ベンダーの0.5μmのゲートアレイで作り直したところ、購入単価に50円の差額が発生しました。年間1200万円のコストメリットが生まれ、開発費は約13カ月で回収完了しました。
当社では、以下のような事情をお持ちのお客さまに、「ディスコンLSI再生サービス」をおすすめします。
上記のような状況に当てはまる場合には、ぜひ「ディスコンLSI再生サービス」の利用をご検討ください。
近年、半導体ベンダーの事情により、ASIC、またはカスタムLSI の製造が EOLになることが増えています。使用している LSI が EOL になった場合、「FPGA化する」「汎用品を利用する」「再ASIC化する」などの方法で対応する必要がありました。しかし、これらの方法では、「基板の作り直しが必要」「設計者がいない」などの問題があり、再生が難しいのではないでしょうか?
これらの問題を解決するため、当社では、「ディスコンLSI再生サービス」をご提供しています。
ご紹介した「ディスコンLSI再生サービス」は、従来のようにFPGAや汎用品を使うことで基板変更が必要になったり、大量の在庫(ラストバイした旧LSI)を抱えることなくEOL(ディスコン)対策が行えるサービスです。「EOL の通知を受けた」「将来的な EOL が不安」というお客さまは、「ディスコンLSI再生サービス」のご利用を検討してみてはいかがでしょうか。