米国との関税交渉で台湾代表を務める鄭麗君・行政院副院長率いる行政院台美経貿工作小組は米国時間2026年1月15日、米国のハワード・ラトニック商務長官らと相互関税の総括会議を行い、米台双方の窓口機関、駐米国台北経済文化代表処と米国在台協会(AIT)が投資に関する提携覚書(MOU)を署名した。
行政院台美経貿工作小組は米国との関税交渉で、4つの目標を達成したと説明した。具体的には、相互関税率は15%に引き下げられ、既存関税に上乗せしない。米国の主要な貿易赤字国の日本、韓国、欧州連合(EU)と同水準で、工作機械やハンドツールなど従来型産業の競争力が大幅に向上すると説明した。
行政院台美経貿工作小組は、台湾は米国にとって貿易赤字が6番目に大きく、貿易赤字のうち半導体、情報通信技術(ICT)製品、電子部品が90%を占めると説明した。
■半導体生産40%を米国に
また、半導体や自動車部品、木材など通商拡大法232条に基づく分野別関税についての優遇措置が約束された。半導体については、米国で新たに工場を建設する企業に対し、建設期間中は計画する生産能力の最大2.5倍までは関税なしで輸入することができる。割当量を超えた場合、通商拡大法232条による関税を下回る優遇税率が適用される。工場完成後も生産能力の1.5倍まで関税なしで輸入することができる。

出典:工商時報(2026-01-16)
米国は1月15日、米グラフィックスプロセッサー(GPU)大手、米エヌビディアの「H200」など一部のAI向け半導体について、25%の関税を発動した。
ただ、米国のデータセンター向け、米国での研究開発(R&D)、米国での民生用などの用途に対しての関税は免除される。
台湾経済研究院(台経院、TIER)の張建一・院長は、台湾が米国に輸出するAI半導体の多くは米国のデータセンター向けのため、影響は限定的だと分析した。
一方、米国はさらに半導体、半導体製造設備、半導体搭載製品に対し、半導体関税を課す可能性がある。時期は米国と各国の貿易交渉が一段落した2026年4月中旬になるとみられている。行政院台美経貿工作小組は、米国は半導体や半導体搭載製品に対し優遇措置を約束し、さらに台湾企業の米国工場の設置に必要な原材料や設備、部品なども関税免除が約束され、半導体サプライチェーン(供給網)の不確実性が大幅に低減したと説明した。
ラトニック商務長官は1月15日、CNBCのインタビューで、トランプ米大統領は任期中、台湾の半導体生産能力の40%を米国に移管する目標だと説明した。
米国に工場を持っていない台湾のファウンドリーについては、100%の半導体関税が課される可能性があると説明した。
自動車部品、木材などに適用される分野別関税は合計15%以下となる。後発医薬品(ジェネリック医薬品)、後発医薬品の原材料、航空機部品、入手困難な天然資源に対してはゼロ関税が適用される。
行政院台美経貿工作小組は、米国側は、米国で台湾の科学園区(サイエンスパーク)のような産業集積地(クラスター)を構築する「台湾モデル」計画を受け入れたと説明した。台湾企業は米国で、半導体、AI向け電子機器受託製造サービス、エネルギーなど2,500億米ドルを投資する。
台湾政府は最大2,500億米ドルの信用保証を設け、半導体やICT製品のサプライチェーンの投資拡大を支援する。
また、米国は台湾で、(1)半導体、(2)AI、(3)軍需、(4)セキュリティー、(5)次世代通信──の「5大信頼産業」において、投資を拡大すると約束した。
行政院台美経貿工作小組は、米台間は貿易協議について関連する法律を審査しているところで、後日、米国通商代表部(USTR)と協議に署名すると説明した。
2025年8月以降も続いていた米国との関税交渉がやっと決着し、米国が台湾からの輸入品に対する相互関税率を既存税率と合計で15%に引き下げることなどで合意したことに対し、経済団体の中華民国全国工業総会(工総、CNFI)、中華民国全国商業総会(商総)、中華民国工商協進会(CNAIC)は、対米輸出の条件がライバルの日本や韓国と同水準となるなどと評価した。自動車部品や機械などの従来型産業にも、安堵感が広がった。
米国のハワード・ラトニック商務長官が2026年1月15日、トランプ大統領の任期中に台湾の半導体の生産能力の40%を米国に移管する目標だと発言したことについて鄭麗君・行政院副院長は1月16日、米国の半導体の自給率を指しており、台湾だけでなく、米国のIDM(垂直統合型の半導体メーカー)も含まれていると説明した。
龔明鑫・経済部長は、ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場などを除き、台湾と米国だけの5ナノメートル以降の先進製造プロセス生産能力の割合は、2030年時点で台湾が85%、米国が15%、36年時点では台湾が80%、米国が20%になる見通しとの経済部の試算を示した。


(出典:Y's News、工商時報、フォーカス台湾)