2024年10月9日(水)〜11日(木) 東京ビッグサイトにて「N-Plus(エヌプラス)」が開催された。
同展は、ものづくりを中心にサステナビリティ分野、空飛ぶクルマ分野を加え、合計14の構成展からなる複合展示会だ。3日間の来場者数は前年を上回る19,437名となった。
基板の窓口では、同展における注目の出展企業を総力取材。出展各担当者によるブースでのインタビュー動画をもとに、各社の最新製品や技術をお届けする。本記事では前編として、全取材動画のうち半分を紹介する。
公式サイト:https://www.n-plus.biz/
「エヌプラス」概要
15回目を数える今回、同展は展示規模を拡大し東京ビッグサイト東ホールでの開催となる。高機能・高付加価値化を提案する「N+ テクノロジー」と環境・社会にやさしく持続可能なものづくりを提案する「N+ サステナビリティ」に、空飛ぶクルマの専門展「フライングカーテクノロジー」が加わり、日本の産業を支える礎である「ものづくり」にかかわる技術・素材・サービス・製品が集結する。
同展は課題解決型の展示会として、来場者が求める課題ごとにキーワードを設け、エリア分けすることで参加企業とのマッチング効率を高めている。今回は新たに「不織布・機能紙展」と「次世代燃料開発技術展」が加わり、合計14のキーワード展から構成される。
次回開催予定
会期:2025年10月15日(水)~17日(金)
会場:東京ビッグサイト 東ホール
車載部品から家電・日用品まで!日本発のエンジニアリングプラスチック「SPS樹脂」
https://youtu.be/2JpgQzfgpd4
出光興産は今回の展示において、同社が開発・販売するSPS樹脂(シンジオタクチックポリスチレン)の特性について紹介した。SPS樹脂は汎用ポリスチレンに結晶性を持たせた高機能樹脂で、ポリスチレン本来の軽量性や電気絶縁性に加え、結晶化により耐熱性や耐薬品性を強化した点が特長である。
特に、自動車部品のコネクタや家電の内部部品などで広く使用されており、製品の軽量化やCO2排出の削減にも貢献する。また、食器やTシャツの繊維などの身近な製品にも使用が広がりつつある。
金属の精密加工品を樹脂化して、コスト削減に貢献!エポキシ樹脂複合材料「エポクラスターJ106S」
https://youtu.be/fZBcxDl1h3M
クラスターテクノロジー独自の樹脂材料エポクラスターJ106Sは、極めて低い成形収縮率と線膨張係数を誇り、市販の樹脂では難しい精密成形品にも対応可能だ。他社材料と比較しても、特に金属やセラミックの樹脂代替を得意としており、部品の軽量化やコストダウンに貢献する。
今までチタンの切削加工で作られていた部品を樹脂化した際は、コストが約1/10に抑えられた事例がある。
離型性に優れたPFASフリーのオリジナルコーティング!金属表面処理技術「InertMask」
https://youtu.be/M_sWBY0wlE0
ジーエルサイエンス独自のコーティング技術であるInretMaskは、金属表面に様々な特性を持たせることを可能にする。CVDという手法でコーティングを行い、細かな隙間にもコーティングができる。また、昨今話題となっている有機フッ素化合物PFASを含まないコーティングである点も特徴だ。
InertMaskは、撥水性の向上、防汚性の向上など、さまざまな特性を持ち、特に樹脂成形品が金型から取り出せない、抜ききらない、といった離型性の改善に効果的だ。そのため、歩留まりの改善や生産効率の向上に貢献する。
医療用の樹脂成形品の金型にInretMaskでコーティングを行った事例では、大幅に離型性の改善がされたと高い評価を得た。
55%以上の高配合率!木質資源を有効活用してCO₂排出を削減!「ウッドプラスチックコンパウンド」
https://youtu.be/zZVuOAaFxnI
マナックが製造するプラスチックコンパウンドは、木粉を55%以上と高濃度で配合し、かつ、従来難しかった射出成形やブロー成形といった加工が可能である。同製品はカトラリーやフックといった日用品から普段目にすることのない分野まで幅広い採用実績が出ている。
石油由来の化学物質の使用量削減が求められる中、このコンパウンドを使用することで、資源消費量を従来の半分以下に抑えることが可能である。
画像解析+インフォマティクスで研究者のルーティンワークを90%削減!画像解析サービス「GeXeL」
https://youtu.be/eOJttSm5rgo
KNiTの「GeXeL」は、研究開発の現場で扱う画像データを、AIを使って自動的に数値化するサービスだ。従来は解析に多くの時間を要していた画像や、人の手では解析が困難だった画像を効率的に処理できるようになる。費用は月額50,000円から提供している。
GeXeLではクラウドに画像をアップロードするだけでAIが解析を行うため、専門的な知識がなくても高精度な解析が可能になる。画像解析にかかる時間を90%以上削減し、研究者の日常業務を効率化する。単調作業を自動化することで、本来の創造的な研究に専念できる環境を提供する。さらに、実験条件と画像解析結果を活用することで、実験プロセスの最適化も可能になる。
同サービスは2024年7月にリリースされ、 現在、大手食品メーカーや化学メーカーをはじめとして、 約60社の利用者がおり、 官能的な評価から脱却し、定量的な評価を迅速に行えるようになったと評価を得ている。
PFAS規制対策に最適!「PFASフリーコーティング」
https://youtu.be/be-CSjnEVO4
PFASフリーコーティングは、その名の通り、有機フッ素化合物を含まないコーティングだ。金属にPEEK、PEKK、PPSなどの高機能樹脂をコーティングすることで、非粘着性、耐薬品性、摺動性、絶縁性などさまざまな特性を金属に付与することができる。
これまで、金属に上記の特性をもたせるためには主にフッ素樹脂コーティングが利用されてきたが、現在PFAS規制の強化により、フッ素樹脂の使用に制限がかかっている。その課題をPFASフリーコーティングが解決する。
楽々メンテ!粘着トラブルはトシコにおまかせ!「トシカルS®コーティング TS-1000」
https://youtu.be/OVP8osF99XQ
トシカル® Sコーティングは粘着を嫌う基材表面に凹凸をつけ、凹部に非粘着性の優れた成分を凹凸形状を残しながら埋め込むというハイブリッド複合構造により他の方法では解決できない接着・粘着障害を解決した技術だ。
同製品は元来、粘着・付着障害対策で幅広く利用されてきたフッ素樹脂コーティングでも解決出来なかった粘着物に対して抜群の非粘着性を発揮する。粘着テープ、接着剤、生ゴムなどの製造または、組立工程での設備や治工具に対して、粘着剤や接着剤が付着することを防止し、作業の自動化、作業効率の向上、不良発生率の低減に貢献する。
同社はタイヤメーカーや半導体製造装置メーカーをはじめとする6000社とのお取引並びに60000件を超える実績を持つ。
クライアントの立場に立ったものづくり・加工の提案に定評!「精密板金加工」
https://youtu.be/0htYJTkunaA
清水精機は精密板金加工一式を請け負う企業だ。特に、溶けやすく、加工が難しいアルミ材の溶接加工を、優れた技術と経験により実現している。
見積もり作成にあたり、なるべく加工工数が掛からない提案を心がけ、クライアントの立場に寄り添った加工方法の見直し、提案、コストを抑えたものづくりを追求しているという。
高い加工精度に定評があり、納品物の組み立てにかかる時間が他社のものと比べて20%向上したという事例がある。
独自のレーザ技術と誘導加熱による金属と樹脂の新しい接合技術「ALTIM®」
https://youtu.be/E7YRtgtzEtw
睦月電機株式会社が紹介する技術は、金属とプラスチックを接着剤を使用せずに接合する革新的な方法である。通常、金属と樹脂を接合する際には、接着剤やビス止めなどが用いられるが、この新技術ではそれらの補助的な素材を使わず、金属と樹脂を直接結びつけることが可能だ。この技術は、軽量化や強度の向上が求められる分野において特に有用であり、今後の応用が期待されている。
技術自体は開発されたばかりであり、まだ多くの実績はないが、年度内には製品化され、市場に向けて正式に紹介できる段階に進展する予定である。
家庭用から工場内での省エネルギー・環境改善まで!「PVAスポンジ製品」
https://youtu.be/i4vGV7Wm7lQ
アイオンは、PVAスポンジを中心とした高品質なスポンジ製品を製造している。これらのスポンジは、優れた吸水性と保水性を備え、工業製品の製造現場から一般家庭に至るまで、吸水や洗浄、拭き取りなどのさまざまな用途で利用されている。
また、半導体製造装置や板ガラス製造メーカーなどにおいても、エネルギー効率の向上や工程の短縮といった面で活用されており、環境改善にも貢献している。