本展はCQ出版株式会社 トランジスタ技術編集部が主催し、秋葉原駅前商店街振興組合が後援した展示会である。CQ出版のエレクトロニクス技術専門誌「月刊トランジスタ技術」は2024年10月号で創刊60周年を迎えており、今回のイベントはその節目を記念して開催された。
本展のテーマは「宇宙のエレクトロニクス」に設定された。近年、宇宙開発は通信・パワー・計測・制御・測位・分析・解析など、要素技術を高いレベルでけん引している。会場では、技術交流と最新の宇宙関連電子回路技術の発信、教育・ものづくり普及を目的として、企業・教育機関・技術者らによるハードウエア展示や講演、ワークショップなどが行われた。
準天頂衛星システムが実現する安定測位の未来
https://www.youtube.com/watch?v=LzovIaldYDw
本展では、日本版GPS(全地球測位システム)と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」を紹介した。みちびきは2018年から4機体制でサービスを開始し、今年2月に5機目の衛星を打ち上げた。みちびきは日本の上空を中心に南半球まで到達する8の字軌道を描く衛星として知られる。実際には8の字軌道の衛星に加え、赤道上空の静止軌道にある衛星も組み合わせて運用されている。
準天頂とは、ほぼ真上に上がってくる衛星という意味で、みちびきを使うことで安定した測位が得られるという利点がある。
エッジでAIを実現するローパワー・ハイパフォーマンスボード
https://www.youtube.com/watch?v=JuIpgiCTTKc
本展では、マイコンボード「スプレッセンス」を紹介した。このボードは太陽光パネルや乾電池でも動作可能なほど低消費電力であり、6つのプロセッサーを搭載している。高い計算能力を持つため、エッジ側でAI処理を実行できる。
GPSやHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)カメラ、高感度カメラ、超高精度マルチIMU(慣性計測装置)などの周辺ボードが用意されており、GPS信号が届かないトンネルや地下でもIMUを使って相対位置を取得し、位置情報のタグ付けを行いながらシーンを記録できる。従来はGPSに依存していた場面を置き換える革新的なソリューションとなる。
世界中の最新電子部品を1点からスピーディに
https://www.youtube.com/watch?v=i0H4l9AT474
同社は半導体・電子部品のオンライン正規代理店。半導体・電子部品の品ぞろえは世界最大級を誇る。競合他社にはない部品をそろえ、JAXAで使われるような宇宙用部品も取りそろえる。
日本にはカスタマーサービスとマーケティングの部門がある。カスタマーサービスは日本の顧客による発注をサポートし、マーケティングでは新製品のプロモーションを担当する。
準天頂衛星システムによるセンチメータ級測位―日本発の高精度測位インフラ
https://www.youtube.com/watch?v=o7GFzfMDQsk
本展では、内閣府からの委託を受けた高精度測位システムのプロジェクトに関して紹介した。GNSSの誤差を補正し、センチメートル級の精度を実現する測位技術となる。スマートフォンなどで利用できる測位精度の向上を図る。
エンジニアと学生の“つくる”を支える―Digi-Key Electronics
https://www.youtube.com/watch?v=OIpquuHtpaw
同社は世界中の技術者に電子部品を届けるグローバル企業。本展では宇宙開発で使われる最新の電子部品や同社を活用した開発事例、部品検索が楽になる無料ツールなどを紹介。同社とコラボ動画を制作する人気YouTuberのイチケンさんによる特別講演やコラボグッズのプレゼントも行った。
金属と樹脂の中間領域を担う―静音・高耐久の新型歯車
https://www.youtube.com/watch?v=TtbOdXnZ-ZM
今回は静音・高耐久の新型歯車を紹介した。「歯車の音の低減」をテーマに樹脂と金属の中間的な役割を担う樹脂歯車を作ろうと考えて開発した。ある程度の厚みを金属の表面にコーティングのように加え、その厚みにより歯車の音を低減する。そのため金属歯車のような歯当たり音を大幅に低減できる。
教育から産業まで―自社開発で広がる電子技術の可能性
https://www.youtube.com/watch?v=ZIRxQyBI670
同社は電子部品販売から工作キット・教育用教材の開発までを手がける。農業用データを取得するためのセンサーからデータを送信して解析する仕組みの開発なども行う。
本展では、官公庁向けのオリジナルキット、自社開発の基板などを紹介した。
試作から量産までトータルサポートする設計・製造パートナー
https://www.youtube.com/watch?v=yNIfLdZ_030
同社は回路設計を起点にソフト、ハード、機構、筐体という部分までトータルで製品設計を行う。試作機の製作から製品化までをワンストップで実現させ、顧客や他企業とのオープンイノベーションでの開発も得意とする。
図面がなくてもOK―試作から1個製作まで柔軟対応
https://www.youtube.com/watch?v=_vUS6Py2EGU
同社は主にプレス部品の試作加工を専門に行っている。レーザー、プレス、ワイヤー放電などの加工機と手作り技術を駆使して、複雑形状の高精度部品をオーダーメイドでスピーディーに製作する。
正確な位置情報を支える―国土地理院の測位・観測技術
https://www.youtube.com/watch?v=_wxsJNNlQeo
国土地理院は日本で唯一の国家地図作成機関。現在はVLBI(超長基線電波干渉法)、電子基準点といった宇宙測地技術も用いて日本の正確な位置を管理する。
本展ではウェブ地図である地理院地図、日本の正確な位置を測る電子基準点やVLBIに関して紹介した。
都市部でも高精度測位を実現する新GNSSモジュール
https://www.youtube.com/watch?v=fdw57gFPdlg
本展では、新モジュール「Mose-G5」を展示した。新モジュールは従来品に比べて消費電力が半分、サイズも半分になる。従来モデルでも全衛星の全信号を受信することはできたが、新モジュールではQZSS(準天頂衛星システム)のN6信号を含む全衛星の全信号を同時に受信できる点が特徴となる。
機能を絞ったことで、価格帯を下げた。さらにGNSS(全球測位衛星システム)の微弱な信号をどのように扱うか、例えば電波障害への対策や、街中で多く発生するマルチパスをどのように除去するかといったアルゴリズムが非常に優れている。
セラミックス技術で実現する高耐熱・安全リチウム電池
https://www.youtube.com/watch?v=y_oE3SgJIfA
今回は薄型小型のリチウムイオン電池を展示した。同社は独自のセラミックス技術を電池の材料に用いており、中身がセラミックスでできている。
セラミックス製であるため非常に安全で耐熱性が高く、今回の電池は80℃という高温、100Pa(パスカル)という低圧環境でも動作する。
ラインアップはパウチタイプが3種類、コインタイプが2種類。それぞれに特徴があるが、560mAの出力が得られる高出力タイプ、14分で80%まで充電できる急速充電タイプ、また高温の熱プレス工程に耐えられるタイプなどがある。
導波管からカプラーまで―一貫製造による高周波ソリューション
https://www.youtube.com/watch?v=xrYa-VInXTY
本展では切替スイッチやチャンネルセレクター、導波管関連製品などを紹介した。
同社は主にミリ波関連製品やオプティカルファイバ関連製品を扱っており、近年は電気通信技術の発展と共に取り扱う製品の数も増えている。