
エレクトロニクス 実装技術 編集部
6月5日(水)~7日(金)の3日間にわたり、電子回路関連技術の総合展示会である『JPCA Show 2019 第49回 国際電子回路産業展』『2019マイクロエレクトロニクスショー 第33 回 最先端実装技術・パッケージング展』『JISSO PROTEC 2019 第21回 実装プロセステクノロジー展』『有機デバイス総合展2019』『WIRE Japan Show 2019 電気・光伝送技術展』『Smart Sensing 2019』が東京ビッグサイトにおいて開催された。
出展者数は508社、小間数は1,372小間、3日間の総来場者数は合わせて44,110名に上った。
パナソニック(株) プロセスオートメーション事業部では、ブースを「オペレーション&メンテナンスソリューション」、「チップダウンサイジング&ローコストソリューション」、「特別展示コーナー」、「モビリティ&コネクティッドソリューション」、「実装前後工程ソリューション」に分けて展示を行っていた。
このうち、「特別展示コーナー」では、デバイス業界で高まっている高密度実装要求に応える性能を実現するモジュラマウンタ『NPM-DX』の新機能、「高精度モードオプション」に関する展示を行っていた。
『NPM-DX』は、高生産性・高品質・省人化をコンセプトとする製品。
今回発表された新機能は、XY軸制振制御と高精度装着を実現する部品認識モードを新開発し、軽量16ノズルヘッドでは装着精度±15μmで最高生産性27000CPHを実現。
軽量8ノズルヘッド、4ノズルヘッドにおいても同様に±15μmの装着精度を同時に実現するものである。
モジュラマウンタ『NPM-DX』に関する展示写
沖電線(株)では、フレキシブル&ストレッチャブルで、部品実装も可能な「伸縮FPC」を紹介していた。
これは基材が伸縮するフレキシブル基板で、導体を載せたベース側の伸縮基材と、絶縁皮膜の伸縮基材を組み合わせた製品構造。
従来のフレキシブル基板同様に部品実装することができることから、伸縮可能なので人体などの複雑な動作にも追従するうえに、曲面や球体などに這わせた配線が可能である。
そのため、用途としては、ウエアラブル機器、医療機器、ヘルスケア機器など幅広い分野が想定され、多くの来場者の注目を集めていた。
「伸縮FPC」に関する展示
ヤマハ発動機(株)では、高品質・高精度な印刷を実現するプレミアム印刷機『YSP10』を紹介していた。
同製品は、駆動系の見直しなどによる基板搬送時間の削減や動的レイアウトの最適化により、マスククリーニング込みのサイクルタイムは同社最適条件で12秒を実現している(通常印刷では10秒)。繰り返し位置精度は6σ:0.01mm。
また、L510×W510mmの大型基板に対応可能(オプションでL610×W510mm)、マスクサイズは最大で750×750mmに対応する。
さらに、段取り替えの全自動化にも対応。
次生産に使用するマスクを印刷機稼働中にプリセットしておき、段取り替え作業を自動で行う「マスク自動交換機能」(オプション)、マスク交換時に使用済みのマスク上に残ったはんだを自動で無駄なくすくい上げて交換後の新しいマスク上に速やかに移動する「ハンダ自動載せ替え機能」(オプション)、基板を下方から支持するバックアップピンを自動で交換する「バックアップピン自動交換機能」(オプション)を用意している。
プレミアム印刷機『YSP10』
ダイナトロン(株)は、キャスタ付きでどこでも加工できる実装治具加工システム『Meister440-AP』を紹介していた。
本製品は、搬送キャリア、フローパレット、バックアッププレート、検査治具、組み立て治具、位置決め治具など、実装工程のあらゆる実装治具作製の内製化を実現する装置。
ABS、アクリル、POM、PEEK、アルミニウム、ユニレート、MCナイロン、ベークライト、ガラスエポキシなど豊富な加工材料に対応。
スライドドアを採用した省スペース設計で、100V電源を採用。
環境にやさしく、安全加工を実現し、ガーバデータから、開口部Vカットの最適化チェックと修正を行う。
実装治具加工システム『Meister440-AP』
トープロテクノサービス(株)では、東大ベンチャーと共同開発した、「AIを使った基板設計」を紹介していた。
これは、AIでアートワーク設計を効率化する、というもので、いつでも高品質な設計が可能で、同時に多くの設計案を作ることができる。
基板の外形、部品(ライブラリ)、ネットを準備すると、それに基づいて、ルールベース型AIによる多数同時設計を実施。AIが部品配置、自動配線を行い、短時間で1000通り以上の設計案を自動生成する。
そして、これであがってきた案の中から、過去の設計データから傾向を抽出/構築した機械学習型の「AI先生」が、設計仕様、製造仕様、ノイズ対策、熱対策などの項目ごとに評価/採点し、高得点のものを選び抜く。
設計者(人)と比べると最大約2/3に時間が短縮されるという。
トープロテクノサービスのブース
大船企業日本(株)では、極小径加工用UVレーザ加工機(JOB SHOP用)『AVIA NX』を紹介していた。
同製品は、波長355nm の高速UV発振器を搭載し、プリント基板、その他材料の極小径加工を、高速高精度で行う装置。
材料、目的別にレーザ源を選択可能で、2軸構成により、同時に2つのワークを高速加工。
10~30μmの極小径加工に対応する。
自社開発CNCにより、快適な操作性を実現している。
極小径加工用UVレーザ加工機(JOB SHOP用)『AVIA NX』
(株)ニソールでは、メニュー通りに進めることで基板設計を簡単に行える、初心者でも使いやすいプロ用のCAD『俺のCAD』を紹介していた。
UIを革新し、基板設計手順ノウハウをメニューとして操作をより簡単に使いやすさを追求した製品で、基板設計工程が16 個のアイコンになっている。
簡単、明解なマウス操作が可能で、電子機器開発の初心者向けの試作開発用としての利用だけでなく、電気のものづくりを目指す全国の学生の学習としての利用も考慮し、CAD操作を極端に簡単にするために両面基板(2 層)に特化して操作性を重視。
また、簡単回路図エディタを搭載しているため、簡単に回路図を作成可能で、ネット情報はそのまま基板設計に引き継がれる。
さらに、従来は様々な手順が必要であった製造データ(ガーバーデータ、NCデータ、マウントデータ)の出力についても、ワンタッチで行うことができる点も大きな特徴となっている。
ニソールのブース
シライ電子工業(株)では、プリント配線板の製造プロセス/リードタイム短縮を実現する高精度シンボル印刷用オンデマンドインクジェットプリンタ『G7070S』を紹介していた。
同製品は、堅牢な筐体を採用しており、印刷時の振動を軽減。
従来工法が苦手としていた、表面の凹凸が大きい製品も参みや文字潰れがなく印字できる。
ガーバデータから直接印刷データを出力可能で、製造コストの削減と製造リードタイム短縮に貢献する。
2 次元コードの印刷にも対応し、個別確認用コードとして使用することで製品のトレーサビリティ向上も実現する。
同社製の水平搬送型装置向け自動化装置『ACSys』と組み合わせることによって、自動投入/排出システムを構築することができる。
『ACSys』はワークサイズ対応の平積み基板投入/取り出し機であり、ティーチング不要でパッド調整のみで品種切り替えが行える製品で、ブースではこの2 製品を連携したデモ展示を行っていた。
シンボル印刷用オンデマンドインクジェットプリンタ『G7070S』と水平搬送型装置向け自動化装置『ACSys』を組み合わせたデモ
(株)FUJIは、電子部品実装機『NXTR』を展示していた。
同製品は、表面実装工程における「3つのゼロ」(実装不良ゼロ、オペレータゼロ、機械停止ゼロ)の実現を目指して開発されたハイエンドの実装機。
大きな特徴の一つとして、スマートローダ―がスケジュールに応じて段取り替えや部品補給を行う機能を有していることが挙げられる。
ブースでは、スマートローダーによるシームレス段取り替えの流れについて紹介していた。
まず、事前準備として、生産中に次生産用フィーダが待機ステージへと移動される。
そして、生産が終わった装置から順に段取り替えが開始され、終わった装置から生産を再開。
不要となったフィーダは待機ステージへ移動され、回収される。
展示された製品の前には多くの来場者が集まり、その説明に熱心に耳を傾けていた。
『NXTR』に関する展示
同展示会の次回開催は、2020年5月27日(水)~29日(金)の3日間、青海展示棟全ホールにて予定されている。