2024年11月27日(水)〜29日(金) パシフィコ横浜にて「MWE 2024/マイクロウェーブ展2024」が開催された。
同展はマイクロ波技術関連の学術、産業、教育に関する国内最大級の展示会だ。基板の窓口では、同展における注目の出展企業を総力取材。出展各担当者によるブースでのインタビュー動画をもとに、各社の最新製品や技術をお届けする。本記事では後編として、全取材動画のうち半分を紹介する。
公式サイト:https://apmc-mwe.org/mwe2024/index.html
以下はMWE 2025の開催情報だ
期間:2025年11月26日(水)~28日(金)
場所:パシフィコ横浜
MWE/マイクロウェーブ展概要
「MWE/マイクロウェーブ展」はマイクロ波技術関連の展示会として国内最大級の規模を誇る。会場にはワイヤレスモニタリング、ワイヤレス給電、ITS、IoTなどのRF・マイクロ波・ミリ波・光通信システム、医療・環境・エネルギー・セキュリティのための新しいマイクロ波応用技術と、それらを支える各種デバイス、コンポーネント、材料、計測機器、 設計支援用シミュレータなど、マイクロ波技術に関わるあらゆる技術・製品・サービスが集結し、同分野の最先端を概観できる。
また同展では、セミナーによる最先端技術や将来ビジョンの共有のみならず、ワークショップや入門講座などマイクロ波技術に関わる技術者・研究者の人材育成にも力を入れている。
高周波帯の高速信号に対応、パワーモジュールなどの発熱部品の放熱に効果「空洞多層基板/フッ素系樹脂ビルドアップ多層基板/銅インレイ基板 」
https://youtu.be/EncqPDuBSlk
株式会社エイト工業は特殊加工基板を得意としており、多用途に対応可能な基板を提供している。本展示会では「空洞多層基板」「フッ素系樹脂(PTFE)ビルドアップ多層基板」「銅インレイ基板」の3種類を紹介した。
空洞多層基板は、特殊加工技術により基板内部に空洞を施した製品である。フッ素系樹脂(PTFE)ビルドアップ多層基板は、フッ素樹脂コアを積層した製品であり、 ともに高速信号対応を実現する。銅インレイ基板は、丸型や異形の銅コインを基板内に埋め込むことで放熱性能を向上させ、特にパワーモジュールなどの発熱部品に効果的である。
また同社は、FR4やセラミック、ポリイミドなど多種多様な材料を取り扱い、基板の設計から製造、実装、部品調達、組み立てまでを一括で対応可能な体制を整えている。さらにJIS Q 9100の認証を取得しており、高い品質基準をクリアした製品を提供している。
防衛・宇宙・医療・航空分野を中心に約200社のメーカーとの取引実績があり、特殊加工基板の導入で高い効果を上げている。
実験・研究用オープンソース5G基地局のオールインパッケージ「OAIBOX」
https://youtu.be/OSFz-n4OnuE
「OAIBOX」は、オープンソースを活用して5G基地局の開設を可能にするシステムである。オープンソースの技術は本来、誰でもネットワークから無料でダウンロードできるが、実際にシステムを構築するには高度な専門知識が求められる。この課題を解消するため、本製品は完成された形で提供され、購入後すぐに使用可能である点が特徴だ。
さらに、オープンソースにはなかったGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が搭載され、直感的で操作性の高い環境を実現している。特に、商用基地局では制約がある設定変更やカスタマイズを柔軟に行える点が、研究機関や大学、通信機器の検証を行う企業にとって大きな利点となっている。
本製品は2024年4月に販売を開始し、現在は通信機器やネットワークの研究開発、製品検証用途で導入が進んでいる。
5Gミリ波普及に貢献!ミリ波フェーズドアレイ・アンテナ・モジュール「Dragonfly」
https://youtu.be/yGOW8n6SaJE
アナログ・デバイセズ株式会社が開発したミリ波フェーズドアレイ・アンテナ・モジュールは、5Gミリ波の普及を加速させる革新的な製品である。本モジュールは、ビームフォーマー、アップ・ダウンコンバーター、PLL、VCO、電源関連機能を1つの基盤に統合しており、開発の迅速化を可能にする。
この製品の背景には、ミリ波に関わる技術は設計を含めて難易度が高いことから、多くの開発者が直面する課題がある。これらを解決するため、同社は基盤設計や製造においてパートナー企業と協力し、統合されたフェーズドアレイ・アンテナ・モジュールを実現した。同モジュールを評価・導入する企業には、デザインデータを提供し、迅速な製品化を支援している。
使用される半導体製品はすでに量産され、海外の装置メーカーを含む幅広い市場で採用されている。国内の5Gミリ波は普及の途上にあるが、本製品はその成長に貢献が期待される。
10GHzまでの高周波伝送にも対応!「SMARXコンタクト」
https://youtu.be/Bt0hAKjHKh0
株式会社エスマークス コーポレーションは、バネを用いた圧接式電気接続部品を製造している。この部品はインピーダンスを低減する特性を持ち、高周波伝送にも対応可能な製品である。圧接による接続の実現は、高周波環境下でも安定した電気伝送を可能にし、工場での使用時には変形防止や取り扱いやすさを提供する。
特に、工場内での不良発生率の低減効果が評価されており、導入企業から高い評価を得ている。製品の採用から約10年が経過しており、信頼性の高さから長期間にわたる使用が可能である。
空間上の測定ポイントを任意に設定!3次元空間電磁界可視化システム「WM9500」
https://youtu.be/1qvql3xsxTQ
森田テック株式会社は、今回の展示会で、同社が開発した電磁波可視化システムの展示を行った。同システムは最大周波数43.5GHzまで対応し、ミリ波の電磁波を可視化する装置である。また、この高周波の測定に必要な「近磁界プローブ」も独自に開発し、同時に展示している。
このシステムの主な用途は2つある。1つは製品開発時のノイズ対策で、もう1つは基板から発せられる放射パターンの解析である。特に、ミリ波アンテナやモジュールの放射パターンをシミュレーション結果と容易に比較できる点が高く評価されている。国内だけでなく、中国、台湾、ドイツなど海外市場にも展開しており、自動車メーカーや家電メーカーを中心に多数の導入実績がある。
充実した設備と豊富な知見でミリ波・テラヘルツ波の開発を支援「大型6面暗室 測定・評価サービス」
https://youtu.be/FWvls5XenkI
株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所は、主にミリ波やサブテラヘルツ帯に対応した測定設備を貸し出すサービスを提供している。これらは5Gや6Gでの利用が検討される高周波帯に対応しており、高価な設備の導入が難しい企業に対し、時間単位で利用できる低コストのソリューションを提供する点が特徴である。
同サービスは、設備導入の困難さや技術的な知識不足といった課題に対応するため、技術サポートも併せて提供している。経験豊富な技術者が適切な評価方法を提案し、実際に測定・評価を実現可能にしている。これにより、従来の設備では困難だった測定を可能にし、クライアントの課題解決に貢献している。
京都大学が基板から設計!ハイパワーかつ、安定したマイクロ波を発生!「MGT Magnetron Microwave Power Generator/他」
https://youtu.be/wUN_wNc2dI0
power電器株式会社が今回展示した製品は、京都大学が設計を行い、その特許技術を活用して開発されている点が最大の特徴である。高い小型化技術と効率性を備えたこれらの製品は、全てオーダーメイドで提供され、ユーザーのニーズに応じた最適なソリューションを実現している。
同製品の特長は、コストパフォーマンスと高品質の両立にある。京都大学の基盤設計に基づく一流の製品であり、特にマイクロ波分野での利用において大きな有効性を発揮する。また、製造メーカーの努力により、価格面でも他社製品に対して優位性を持つ。
ユーザーのニーズに合わせ、開発から認証までトータルに対応「設計開発サービス」
https://youtu.be/OI3LEISdrLo
株式会社モバイルテクノは、クライアントのニーズに応じた製品の企画、設計、評価、認証を含むトータルサポートを提供している。無線技術分野での課題、例えば消費電力の増大や無線干渉といった問題に対し、調査と解決策の提案を行うことが可能である。
同社は富士通グループに属し、携帯電話や基地局の開発で培った豊富な経験を有している。この実績を活かし、通信キャリアやメーカーのみならず、自動車関連分野や工場など、多様な産業分野でも成果を上げている。
試作から量産まで最高の技術で最高品質の製品をスピーディに供給「誘電体セラミックス」
https://youtu.be/Vy_AFJUyYyQ
大研化学工業株式会社は、誘電体セラミックスの製造を手がける企業であり、主に誘電体共振器、基板、アンテナなどの製品を提供している。近年、誘電体セラミックスを製造する企業が減少しているため、ニーズに対応できる材料や製品を豊富に取り揃えている。
クライアントの求めに応じて、最適な材料や形状を提案し、個別のニーズに応じた製品を提供している。また、これまでの実績として、国内のインフラ分野、特に列車無線や消防無線などの移動局において、同社の誘電体製品が採用されている。
切る・削る・磨く「難削材の精密加工技術」
https://youtu.be/wT1sDtjcwp4
Orbray株式会社は精密宝石加工を専門とする企業で、機械加工技術を基盤に、現在ではレーザー加工などの高度な技術を駆使して、セラミックスやダイヤモンド、サファイアといった難削材の加工を行っている。特に、高信頼性や高精度が求められる用途に対応しており、半導体産業、産業機器、医療機器などでの実績がある。難削材を精密に加工することが同社の強みであり、これにより顧客の課題を解決している。
同社の主力製品の一つに、ダイヤモンド基板があり、特に人工ダイヤモンドの加工に注力している。もともとはサファイアの育成技術を得意としており、LED照明産業における実績が豊富である。この技術を活かし、現在はパワー半導体市場向けにダイヤモンド基板の大口径化に取り組んでおり、研究機関からの引き合いも多い。今後、ダイヤモンドの活用が進む分野として、半導体市場における需要が高まっている。