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その他 2018.03.02

電子回路基板製造の"簡単便利"を追求した、 ものづくりワンストップサービス 『Elefab(エレファブ)』

エレクトロニクス 実装技術 編集部

電子回路基板製造の"簡単便利"を追求した、 ものづくりワンストップサービス  『Elefab(エレファブ)』

1.新しい電子CADの形

 EDA業界初(※当社調べ 2010年4月リリース)のクラウド電子CADシステム『Quadcept(クアッドセプト)』は、「クラウド」「コストパフォーマンス」「ユーザの声で進化」「イノベーション」という4つ(Quad)のコンセプト(Concept)で開発されたソフトウエアである。

 

 従来の電子CADは高額製品が主流であり、初期費用と保守料金が大きな負担となるため、特に中小企業ではCADの導入に二の足を踏むケースも多く見受けられた。

 

 そのため、製品開発の上流工程にも関わらず、プリント基板設計(アートワーク)を外注業者にアウトソーシングすることが一般的となり、弊害として、外注先への設計指示や管理などで予期していない工数や手戻りが発生し、試作納期が延長するだけでなく、基板設計のノウハウが蓄積されないことによる技術力の低下や余分なコスト負担を招くこともある。

 

 その点、Quadceptは月額支払いのサブスクリプション方式を採用しているので、初期費用、保守費用、バージョンアップなどのコスト負担を軽減することができる。

 

 回路設計CADである『Circuit Designer』、基板設計CADの『PCB Designer』をそれぞれ月額で、必要な時だけ契約し、使わない時は解約することができる。

 

 管理者にとっては、無駄なコストを削減するだけでなく、ソフトウエアライセンスを効率的に管理し、運用することができる。また、常に最新版が提供されているため、バージョンアップ費用を支払う必要もない。

 

 また、Quadceptは低価格、ハイエンドなCADの提供だけでなく、設計工程と製造・実装工程の垣根をなくし、手間のないシームレスな連携による短納期を実現するためのものづくりのワンストップサービス『Elefab』をリリース。

 

 Quadceptで設計した回路・PCBの図面に含まれるデータを利用し、電子回路設計の作業中に基板設計、基板製造、部品調達、部品実装の価格と納期をリアルタイムで確認、設計後すぐに発注することができるようになった。

 

 

 

2.電子回路基板製造の価格とスケジュール設定における課題

 

 電子回路基板ができるまでの工程は基板設計、基板製造、部品調達、部品実装の4つの大きなプロセスに分割することができる。

 

 製品試作の段階から、回路設計者は各工程へ見積の手配、受発注処理をする必要があるが、多くの場合、相見積の手配、外注先も複数に渡り、納期もばらばらであるため煩雑な事務処理が多く、ただでさえ忙しい設計者の頭を悩ませるだけでなく、管理コストも膨れ上がっている。

 

 各工程の見積依頼には、部品表(BOM)、設計指示書、製造用データ、外形図など多くの情報が必要となる。一度見積が届いたとしても設計変更が発生する度に、変更後の最新データを送り、再見積と納期の再確認をしなければならない。

 

 一般的に、それらは何度も繰り返される。リアルタイムで価格と納期を把握することは難しいため、工数の遅延やリスケジュール、想定予算のズレなどが発生する。

 

 ものづくりのワンストップサービス『Elefab』は、これらの問題を解決するため、見積価格、納期を簡単に確認できるようになっている(図1)。

 

■各製造会社への見積依頼時に必要な情報

• 部品調達...部品表

• 基板設計...部品表、回路図、設計仕様書、基板外形寸法、

      ネットリスト

• 基板製造...基板外形寸法、製造仕様書、製造用データ、

      NCドリルデータ

• 部品実装...部品表、実装図、実装仕様書

 

図1.png

図1 現状の見積・製造依頼に必要な各データ各種

 

 

 

 

3.オンライン部品サービス大手3社と連携し、データシート、価格、在庫をリアルタイムで確認

 

 『Elefab』から少し離れるが、Quadceptでの部品作成、部品選定、調達の課題と解決方法を以下に紹介する。

 

 設計者は電子開発をする上で、最適な部品を選択しながら、回路作成ができればベストであるが、量産工程に影響しないよう、選定した部品の調達可否、価格も同時に確認しなければならない。万が一、回路図作成後や基板設計、製造中に、部品の廃番(EOL)、調達困難状況などが判明すると、回路図作成への多くの手戻りが発生し、余計なコストも発生する。

 

 そこで、Quadceptは、世界最大級のオンライン電子部品ディストリビュータDigi-key社(デジキー)、RS社(アールエスコンポーネンツ)、国内のチップワンストップ社と業務提携をし、3社の取り扱い部品合計約2000万点の部品情報データベースと連携、回路設計をしながらリアルタイムで部品情報を確認することができるようになった。

 

 Quadceptの回路図上で最新の部品在庫、価格を参照しながら、部品の作成と電子回路設計を行うことができる。部品情報や在庫状況、廃番情報は日々刻々と変化するものであるが、この連携機能により、後工程を考慮した設計を行い、出戻りを防ぐことができる。

 

 また、検索した部品の属性をQuadceptの部品データ項目に登録できるので、部品作成が容易になり、設計時間の大幅な短縮に繋がる(図2)。

 

図2.jpg

図2 部品作成画面から最新のデータシート、価格、納期を確認でき、部品選定、属性登録が簡単

 

 

 回路図作成後は1クリックで部品発注することができる。価格や在庫状況を一画面で比較しながら選定することができるので、ブラウザをたくさん開き、それぞれに部品番号を入れて検索をする必要はなく、相見積も不要。納期と予算の管理が容易になり、注文後は、即日出荷で部品を入手することができる(図3)。

 

 

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図3 部品表から在庫、価格を確認後、各社に一括発注が可能になる

 

 さらに、Quadceptでは部品ライブラリの無償ダウンロードサービス『Share(シェア)』も提供している。クラウドサーバ上に25万点の部品ライブラリを格納し、必要なデータをいつでも必要な時にダウンロードし無償での使用が可能。

 

 このサービスにより、シンボル、フットプリントなど部品作成の手間が軽減されるので、設計時間を大幅に短縮することができる。また、Shareにはあらかじめ各社(Digi-Key/chip1stop/RS)のIDも登録されており、データシート確認、部品選定、

発注も簡単。Shareの部品無償ダウンロードサービスには、今後、国内半導体メーカーの部品が随時追加される予定である。

 

 

 

4.便利! 最安値を自動算出することで相見積を不要に!ものづくりワンストップサービス『Elefab』

 

 上項では電子部品選定、部品作成、調達の面倒を解決し、開発工数の削減を可能とするQuadceptの機能とサービスを紹介した。本項では、基板製造に関わる様々な便利機能をご紹介する。

 

 CADを使って設計した回路図データには、基板設計、基板製造、部品調達、部品実装の見積依頼に必要な情報が含まれている。通常、見積依頼は複数の設計データをファイルから出力し、各工程を担当する外注の会社に依頼することから始まる。同じデータを各社に送り、見積を比較し、それぞれに指示書を作成して送らなければならないことも多く、見積をとるだけでも大きな労力が必要になる。そこで、Quadceptでは回路・基板CADとものづくりのワンストップサービス『Elefab』をシームレスに連携し、WEB上で簡単に見積の依頼、納期の確認、発注、見積・発注履歴の確認ができるようになっている(図4)。

 

図4.png

図4

 

 

 まず、見積作成について説明する。設計・製造・部品実装の見積算出には、一般的に「部品ピン数」「部品点数」「基板外形寸法」「設計指示情報」「部品表」などが必要であるが、回路設計を進めていくなかで、それらの情報はCADデータ上に登録されていく。回路図データ内に保持されない基板外形寸法や製造仕様は、CADにあらかじめ登録しておくことで、見積依頼時に登録した情報を編集、選択することができる。具体的な情報としては、基板材料や層数(両面基板、4層基板など)、シルク色、レジスト色、実装方法などを挙げることができる。基板設計を依頼する際には、回路図データ内の部品やネットにそれぞれ指示コメントを登録できるので、別途指示書を作成しなくても、回路設計者の意図や注意書きなどを基板設計会社の担当者に伝達することができる。このように、製造工程の見積に必要な情報はすべてCADデータ内に登録しながら設計作業を進められるので、回路図作成が完了した段階で、CAD画面上から1クリックで基板設計、製造、実装に掛かる費用と納期を瞬時に確認することができるのである(図5)。

 

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図5 Quadceptから1クリックで製造に必要な項目を転送、見積作成が可能

 

 

 もちろん、基板設計を内製している場合でも、基板設計データから同様の作業が可能。基板設計では基板外形の変更や、部品変更によってピン数が変わることなども頻繁に起こるが、プリント基板設計の画面から『Elefab』ボタンを選択することで、基板の最新情報を更新し、再度、見積と納期情報を取得できる(図6)。

 

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図6 Quadceptでは『Elefab』ボタンにより見積に必要なデータを一括出力可能

 

 

 

5.基板設計プロセス:経験豊富な基板設計者が最短納期で対応!

 

 基板設計は担当技術者の経験値などで工数が揺れる作業である。もちろん工数と比例して見積の価格も変動する。『Elefab』の基板設計見積は、ピン数や部品点数、密度で算出しており、すべて経験豊富な『Elefab』専属の基板設計者が対応している。社内での内製化を目標にされている会社からは、社内の技術者の設計経験が少なく、そのため不安に感じるということがある。『Elefab』の基板設計サービスでは、単純に依頼された業務だけでなく、Quadceptでの操作、設計手法、全体の配置配線の最適化検討など、お客様目線で柔軟にご説明しており、また片面基板から高多層基板、特殊基板などの多種の基板設計に対応しているので、今後内製化される際にお役立ていただくこともできる。

 

 いっぽう、「外部への基板設計を依頼することは簡単だが、社内に技術ノウハウが蓄積されない」という悩みについてもよく聞く。

たとえば、お客様側で基板設計の部品配置(フロアプラン)までを実施し、配線作業から製造用データ出力までを『Elefab』の基板設計サービスに依頼することもできる。

作業を分担することで、コストと納期の両方を圧縮することができるし、社内の設計技術向上に繋げることもできるであろう。

 

『Elefab』スタッフは、設計のお手伝いはもちろんのこと、設計手法の提供などを通して、基板設計、基板製造、部品実装、部品調達のトータルサポートを提供させていただく。

 

 

6.基板製造プロセス:予算、納期による変動価格

 

 『Elefab』では複数の国内製造会社とパートナー提携をしており、回路または基板設計完了後、1クリックで見積・納期が自動で算出される。

 

 図7のように納期によって価格が変動するが、ユーザーの希望予算、スケジュールを考慮した選択が可能である。たとえば基板製造の場合、1日、2日、3日、5日の納期が表示され、それぞれの日数での最安値が表示されている。希望する納期または価格を選択し、発注ボタンを押すだけで発注処理が完了。その際に作成された見積は、マイページに保存することができ、その見積を何度でも参照し、複製や編集を行うことができる。

 

 またマイページからは発注履歴の確認、さらに、その発注履歴からリピート注文ができるなどの便利機能を搭載している。WEB上のマイページからだけではなく、CADデータ内からプロジェクトごとの見積・発注履歴を確認することができるので、従来のように見積書・注文書を紙やPDFで管理する手間が軽減される。

 

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図7 基板製造見積結果画面

 

 

7.部品実装プロセス:部品表の作成は不要! 部品情報の自動抽出で精度の高い実装見積可能!

 

 部品実装は、実装する部品の調達を依頼するか、部品を依頼側から支給することになるが、作成した部品表の中から調達依頼部品と支給部品を選ばなければならない場合、かなりの時間が取られてしまう。

 

 調達しやすい部品もある程度決まっている場合は問題はないかもしれないが、万が一、品薄や廃番などで部品の調達ができない場合、依頼側の会社が部品を支給しなければならず、また部品表への指示も面倒である。この複雑な部品の「調達」と「支給」をQuadceptのCAD側から直接連携し、『Elefab』上で簡単に指定ができるようになった。

 

 Quadceptから1クリックで「部品調達」「実装」に必要な部品表を連携できるので、面倒なファイルの指定や部品表のカスタマイズは必要ない。

 

 図8のようにQuadceptから連携すれば、自動的に部品表が生成される。入力された部品は、非実装指定、実装タイプ(DIP/SOP/QFP/BGAなど)、種別(抵抗、コンデンサ、ダイオード、IC、コネクタ、クリスタルなど)など、CAD側の部品情報から自動で判別される。実装種別の認識がしづらい部品に対しては、視覚的にも分かりやすい赤色で表示されるので、容易に確認、修正ができ、またピン数と部品点数も自動で算出されて見積項目に自動入力されるので、精度の高い実装見積が自動で出力される。

 

図8.png

図8 Quadceptから部品点数と種別を自動で判定

 

 

 

8.個々の部品への『調達』『支給』『代替部品』指示が簡単

 

 部品表画面では部品調達を個別で指示することができ、廃番の可能性や在庫数量が少ないことが予想される場合に『代替部品可』をチェックすることで、『Elefab』側で部品の在庫状況を調査でき、万が一、調達困難な場合は『Elefab』側で代替部品をご提案させていただく。

 

 設計・製造・実装の各見積は瞬時に算出できるが、部品調達を依頼される場合は、廃番や調達困難部品、在庫切れなど、それぞれの状態を確認した後に見積を提示する。

 

 算出完了後は部品調達見積をメールでご案内し、完成した見積はすべてマイページの『見積履歴』に保存される(図9)。

 

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図9 『Elefab』に自動生成された部品表で個別に「調達』「支給』の指示が可能

 

 

9.今後の『Elefab』サービスの展開について

 

 電子回路設計者は、「一日でも早く部品実装された基板を入手し、試作テストをしたい」と思われるであろう。

 

 Quadceptでは、そのようなご要望にお応えするため、CAD側から設計情報をダイレクトで、ものづくりワンストップサービス『Elefab』に連携し、予算と納期の管理を容易に行うことができるようにするだけでなく、最短納期、最安値を自動算出し、ユーザの要望に合わせて実装基板がお手元に届くサービスを提供している。

 

 今後、『Elefab』では、基板設計、製造、実装だけでなく、もっと便利に部品調達ができるオンラインサービス、SI・PI・EMIなどの各種解析のオンラインシミュレーションサービス、無料でダウンロードできる部品ライブラリ、データシートの拡充など、CADのみならず、設計から製造の納期スピードと品質の向上を実現するサービスを順次リリースしていく。

 

WEBサイト

https://www.quadcept.com/store?ad_tag=yksl

 

 

 
 
Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社エレクトロニクス 実装技術 編集部

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