電子機器やセンサー、精密機器の小型化が進むなか、開発現場では、基板や電子部品そのものだけでなく、その周辺にある治具、固定部品、センサー構造、微細流路などにも高い寸法精度が求められるようになっています。
たとえば、微小部品を保持するためのカスタム治具、検査工程で使用する位置決め部品、小型センサー周辺の微細構造、流体制御や冷却評価に用いる微細流路などは、数量は多くなくても、開発スピードや評価精度に影響します。一方で、こうした部品を従来工法だけで短期間に試作することは、コストや納期の面で難しい場合があります。
こうした課題に対する選択肢の一つが、マイクロスケールに対応した高精度3Dプリント技術です。BMFは、PµSL(Projection Micro Stereolithography)技術を活用したマイクロ3Dプリンター「microArch®」シリーズを展開し、研究開発、精密試作、小ロット生産向けに微細構造の造形ソリューションを提供しています。

図1:BMFのマイクロ3Dプリント技術によるマイクロ流路造形例
電子部品や精密機器の開発では、製品の小型化に伴い、数十µmレベルの構造再現性が必要になるケースが増えています。しかし、開発現場では、主に次のような課題が生じます。
● 課題1:微細精度と複雑な三次元形状の両立
アンダーカット、曲面、格子構造、内部流路などは、微細切削や射出成形では加工方向や工具径、型抜きの制約を受けることがあります。そのため、設計上は必要な形状であっても、試作段階で加工方法の制約を考慮しなければならない場合があります。
● 課題2:頻発する設計変更と「試作スピード」の乖離
開発初期には、形状や寸法、組み付け条件を確認しながら、複数回の設計変更を行うことが一般的です。しかし、外注加工や試作金型を前提とすると、1回ごとの修正に時間と費用がかかり、検証サイクルが長くなりやすくなります。
● 課題3:数cmサイズの中に数十µmを組み込む「クロススケール」の難しさ
単に小さな部品を作るだけでなく、数mmから数cm程度の部品の中に、微細な流路、薄肉構造、微小な突起や凹凸を組み込むニーズが増えています。このようなクロススケールの加工では、微細形状の再現性と部品全体の寸法安定性の両方が重要になります。

図2:BMFのマイクロ3Dプリンター「microArch®」シリーズ
BMFのマイクロ3Dプリント技術は、光造形をベースとしたPµSL技術により、微細構造を高い再現性で造形する技術です。デジタルモデルから直接造形できるため、金型を必要とせず、複雑な微細形状を短期間で試作することが可能です。
BMFの「microArch®」シリーズは、2µmまたは10µmの光学解像度に対応し、用途に応じて±10µmまたは±25µmの加工公差制御を実現します。これにより、従来の汎用3Dプリンターでは難しい微小部品や微細構造の試作にも対応できます。
また、BMFの技術は、単なる小型部品の製作にとどまりません。微細構造、複雑な三次元形状、実用的な造形サイズを組み合わせることで、研究開発段階の設計検証、機能評価、少量生産において、従来工法を補完する新たな製造手段となります。
BMFのマイクロ3Dプリント技術は、プリント基板そのものを製造する技術ではありません。しかし、電子部品・基板周辺技術・精密機器開発において、微細構造を必要とするさまざまな場面で活用できます。

図3:microArch®S240によるRJコネクタ造形例
【主な活用領域】
特に、形状、機能、組み付け性、流体特性、光学特性などを早い段階で確認したい場合、高精度3Dプリントによる試作は有効です。CADデータから直接造形し、評価結果を次の設計にフィードバックすることで、開発初期の検証サイクルを短縮しやすくなります。
また、社内や研究室内で高精度な内製試作(インハウス化)が可能になれば、外注依存による図面説明の手間や仕様調整のタイムラグ、さらには開発中の機密情報の流出リスクを最小限に抑えながら、柔軟に設計検証を進めることができます。
BMFは、求められる精度、造形サイズ、生産性に応じて複数のマイクロ3Dプリンターを展開しています。

図4:microArch® S230による微細構造の造形サンプル

図5:精密コネクタの造形例と造形時間比較
個別サイズ:41.0mm(L) × 4.6mm(W) × 9.7mm(H)、造形数量:12個
電子部品、センサー、医療機器、精密機器の開発では、今後さらに小型化・高機能化・複雑化が進むと考えられます。それに伴い、微細構造を高精度かつ短期間で試作できる技術の重要性は高まっていくでしょう。
BMFのマイクロ3Dプリント技術は、プリント基板製造そのものを置き換えるものではありません。しかし、基板周辺の精密部品、検査・組立用治具、センサー構造、マイクロ流路、光学・医療・研究開発向け部品など、微細構造を必要とする幅広い領域で、従来工法を補完する有効な手段となります。
微細化する製品開発において、「高精度」「短納期」「複雑形状」「小ロット対応」をどのように実現するかは、多くの開発現場に共通する課題です。BMFは、PµSL技術とmicroArch®シリーズを通じて、研究開発・精密試作・小ロット生産における新たな選択肢を提供しています。
微細構造の試作、精密部品の設計検証、特殊治具の製作などで課題をお持ちの方は、BMF Japanまでお気軽にご相談ください。