製品の高機能化が進む中で使用環境にも変化が生じ、樹脂材料の選定は重要度が増しています。
本記事では、樹脂毎の特性を比較しながら、SPS樹脂の優位性や代替事例を紹介します。
目次

SPS(シンジオタクチックポリスチレン)は、出光興産独自開発のエンジニアリングプラスチックです。
SPSの特徴は、主に6つあり、ポリスチレンが一般的に持つ、誘電特性、耐加水分解性、軽量性、良成形性に併せて、結晶性が故の、耐熱性、耐薬品性を持ちます。
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【限定資料公開!】エレクトロニクス業界に貢献する樹脂「SPS」の特長を徹底解説
下記に各樹脂の特性を簡易的に比較した表を示します。
SPSと比較して耐熱性が優れている樹脂は軽量化やコストに課題があり、
SPSと比較して軽量化やコストに優れている樹脂は耐熱性に課題があることが読み取れます。
SPSは全ての面で優れている訳ではありませんが、耐熱性・軽量性・コストなどのバランスが全体的に優れていることが特徴です。

SPSは融点が270℃であり、優れた耐熱性を持ちます。GF強化系グレードの荷重たわみ温度は、低荷重で265℃前後、高荷重で245℃であり、短期耐熱性では、スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)群と同等の耐熱性を持ちます。
長期耐熱性は130℃であり、一部市場で競合するPBTやPA66より優れた耐熱性を示します。
また、ハンダ耐熱性も高いことから、鉛フリーのハンダによる局所フローを使うハンダ実装や、スルーホールリフローなどのSMT実装についても十分対応できるため、自動車分野のコネクターでは世界的に実績を上げています。

炭素と水素のみで構造しているため、ポリオレフィン系と同様、誘電率や誘電損失が小さいことが特徴です。
また、周波数依存性が比較的少ないため、低周波から高周波領域で誘電率、誘電損失が低いことも特徴です。これらの特徴に加え、自動車分野では76GHz~82GHz領域のミリ波でも誘電率/誘電損失が低いことからミリ波レーダーカバーに採用されています。
一方日用品分野では、電子レンジのマイクロウェーブを透過させて中のモノだけが温まるため、電子レンジ調理器部品及び電子レンジ食器への採用も広がっています。

SPSは吸水性が低く、下図のように、120℃耐熱水試験によっても物性低下が低く、水による劣化が起こりにくいです。250時間までの低下はレジンとGF界面の濡れ性が低下することによっておこる現象であり、それ以降の物性低下が低いです。

SPSはレジン自体(ニート)の密度が1.01であり、他のエンプラに比べて小さいです。
他のエンプラと比較して20%程度の軽量化に貢献します。

車載コネクタのうち基板コネクタでは、従来のハンダが融点180℃近辺であったのに対して、鉛フリー化によって融点が230℃近辺へ変化したことで、ハンダ耐熱の向上によってSPSの必然性が生じました。
ワイヤーハーネスコネクタでは、一部のコネクタ製品規格がより高い恒温恒湿性のニーズの高まりによりSPSとPA系のアロイ材の採用が増大しています。
また、一部の通信系コネクタではSPSの誘電特性を活かした採用が始まっており、一方でその他の電装系全般では軽量化、電気絶縁性ニーズの高まりによりSPSの採用が始まっています。
食器、樹脂箸などでは、リユース、耐洗浄剤性、耐加水分解性に優れたSPSが現行材から切り替わり、電子レンジ食器ではSPSの優れた電気特性を活かした採用が進んでいます。
また、家電、住設分野では、軽量化、耐加水分解性、恒温恒湿下における寸法安定性など、機能性の付与よりSPSの採用が増大しています。
