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プリント基板 基板設計 IC・電子部品 広告 2023.11.01

マウザー・エレクトロニクスのBOMツール「Forte」の使い方を解説

基板の窓口編集部

マウザー・エレクトロニクスのBOMツール「Forte」の使い方を解説

各種EDAツールを使用し電子回路のプリント基板を設計する際、設計データから部品表(BOM)を作成してパーツの購入を行う必要がある。
しかし、購入用部品をリストアップし、大量の電子パーツの価格や在庫状況を調査し、手配する作業は大きな負担ともなるだろう。

そこで、本記事では、電子回路設計を行うエンジニアや電子部品調達担当者を対象に、電子部品のディストリビューターであるマウザー・エレクトロニクス(Mouser Electronics・以下マウザー)の部品調達サービスを取り上げる。

世界27ヶ所にカスタマーサービス拠点を構える同社のECサイトでは、設計エンジニア、プロダクトマネージャー、プロトタイピング開発者をはじめとする技術者をメインユーザーに据え、最先端の製品開発に不可欠なリソースを利用することができる。

ストレスフリーでスピーディーな部品調達を叶える同社の特長や、マウザーが提供するBOMツール「Forte」の使い方について解説する。
 

 

目次
1. マウザー・エレクトロニクスの5つの特長
  ①1200を超える電子部品ブランドの正規代理店が誇る豊富な在庫
  ②業界動向を踏まえた最新の電子部品を入手できる
  ③21の言語対応、34の通貨決済可能な徹底したサポート
  ④細かな仕様検索もできるECサイト
  ⑤各拠点からリアルタイムな在庫確認・発注・出荷を実現する物流センター

2. マウザー・エレクトロニクスのサポート体制
  電子部品選定に最適なBOMツール「Forte」
  〈スプレッドシートを読み込ませる使い方〉
  〈テキストをコピー&貼り付けする使い方〉
  〈「Forte」の一括処理が得意とするパーツ〉
  〈参考:KiCADで発注専用BOMを作る場合〉
  EDA用データライブラリは「Library Loader」対応

3. マウザー・エレクトロニクスの電子部品調達であなたの製品開発をサポート!

 

マウザー・エレクトロニクスの5つの特長

 

①1200を超える電子部品ブランドの正規代理店が誇る豊富な在庫

世界中の主要な電子部品メーカーと提携し、1200を超える電子部品ブランドの正規代理店として豊富な在庫を誇る同社。
現在700万種類を超える豊富な電子パーツのラインナップを揃え、最新の製品と豊富な在庫をすばやく入手できる。


②業界動向を踏まえた最新の電子部品を入手できる

最新技術に特化した供給体制を整備し、常に最新の電子部品が入手可能な環境を提供する。
新製品の情報収集およびデータベースへの追加は、常時更新・管理が行われ、エレクトロニクス業界の最新動向をいち早く反映。IoT機器開発に携わる企業の先見性の確保にも貢献する。


③21の言語対応、34の通貨決済可能な徹底したサポート

世界27ヶ所に営業・サポートを行うカスタマーサービス拠点を開設し、高度な技術サポートを提供。
21の言語に対応した専門の技術者が揃い、設計上の課題や選択肢に関するサポートを世界中のユーザーに提供できる。
34種類の通貨による決済にも対応し、世界中どこからでもビジネスチャンスを失うことなく、開発に要するパーツ調達が可能。
また、保守終了(EOL)、販売終了(EOS)といった情報をいち早く入手し、利用者に速やかに提供される体制も整えている。


④細かな仕様検索もできるECサイト

同社では、一般のユーザーを対象に、オンライン上で部品を注文できるECサイトを持つ。
日本語にも対応しており、半導体部品の型番や名称、設計上の仕様などさまざまな条件を細かく指定した検索を行い、購入することができる。
日本の拠点からのサポートもあり、表示速度や使いやすさなども常に改善され、ユーザーファーストな設計となっている。


⑤各拠点からリアルタイムな在庫確認・発注・出荷を実現する物流センター

広大な物流センターを抱え、豊富な在庫を持つ同社。2022年には、取り扱い品目を倍増できるよう施設を拡張し、集中拠点の敷地面積は皇居と同等のキャパシティを誇る広大な敷地を持つ。
全世界の電子部品メーカーが提供するパーツを本センターに集約し、各地の拠点からリアルタイムに在庫状況確認、発注・出荷の手配ができる。

本来集中型の物流拠点は、即応性の点で不利を指摘される。
しかし、同社はあえて集中型をとることで「ECサイト上は在庫があるものの、保管拠点が異なるために出荷に時間がかかる」という問題を解決。その上で強力な配送サービスを整備することで、ユーザーがどこの国から発注した場合も、速やかで信頼性の高い配送サービスを利用する環境を実現した。

ただし、日本からの調達については、受け取りについて注意点がある。

発注したパーツの配送は、国際宅急便サービスもしくは国内の宅配便業者(小規模の場合)を介し発注者の手元に配送される。個人の趣味や学術的な研究試作の規模であれば問題にはならないだろうが、関税の支払いが必要となるパーツや規模の大きな発注の場合、置き配や宅配ボックスなどを利用することができない。

さらに、法人扱い配送かつ平日配送のみに限定される場合があるため、必要に応じて配送業者のカスタマーサポートに問い合わせた上で受け取る必要がある。
 

マウザー・エレクトロニクスのサポート体制

コーポレートサイトには「今日の学生が明日のエンジニアに」というフレーズを掲げ、学校教育を対象としたサービスに注力する同社。

創業者であるジェリー・マウザー (Jerry Mouser)は、当時高校の物理教師として勤務していた学校にて、学生が研究試作用のパーツ調達に苦労する姿を目の当たりにし、その労力をなくし研究に専念してほしいという願いからマウザーを設立。
その願いは、世界各地の教育機関に向けたプロジェクト支援の実績となって表れており、将来のエンジニアを支える豊富なサポート体制を実現している。

特に学校法人での研究利用などにおいて、まとまった電子パーツの調達が必要な場合、ECサイトの利用前にカスタマーサービス拠点への問い合わせを推奨したい。
東京都の国内拠点では、教育機関向けの見積作成のみならず、さまざまな技術情報の入手や使い方のサポートといった技術提供を受けられる可能性がある。

法人ではない個人購入や、サークル単位での利用であっても、Webサイトに記載されているメールアドレスjapan@mouser.com)に問い合わせをすれば、丁寧な回答が返ってくる。


電子部品選定に最適なBOMツール「Forte」

同社での取り扱いの大半を占める電子部品の用途としては、圧倒的にプリント基板を使用した電子回路であることはいうまでもない。

エンジニアや研究を行う学生は、各種のEDAツールを駆使して電子回路のプリント基板を設計し、設計データから部品表(BOM)を作成してパーツの購入を行う必要がある。

しかし、購入用部品をリストアップし、大量の電子パーツの価格や在庫状況を調査し、手配する作業は非常に煩雑になり、手配完了までに費やす時間は大きな負担ともなるだろう。
こうした負担を解消するべく、同社のWebサイト上では、部品選定支援ツール「Forte」が提供されている。下記では、その使い方について解説する。
 

〈スプレッドシートを読み込ませる使い方〉
まず、本ツールの利用にはECサイトの会員登録が必要となる。「Forte」の利用前には、「My Mouser」のアカウント登録を行い、取得したアカウントでログインした状態にしておく。

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▼My Mouserアカウント登録はこちら
https://www.mouser.jp/mymouser/index/

▼「Forte」Webサイトはこちら
https://www.mouser.jp/bomtool/
※利用にはMy Mouserのアカウント登録とログイン必須。
━━━━━━━━━━━━

ユーザー登録とログイン完了後は、「サービス&ツール」のページから「BOMツール」のリンクをクリックし、「Forte」を開始する。Forteを開くと、BOMのインポート方法を選択する画面が表示される。

 


上記キャプチャのBOMのインポート画面より、「スプレッドシートをアップロード」を選択する。
設計に使用したEDAで書き出したBOMリストをもとに編集した部品表をアップロードし、製作に使用する電子パーツを一括検索することができる。

同社が推奨するテンプレートファイルも、同じページからダウンロードすることができる。検索に対応したデータタイプが並ぶ状態のみのファイルではあるが、必要に応じて入手して活用できる。

テンプレートを使用せずとも、MS-OFFICEのExcelファイル(.xls、.xlsx)やcsvファイルで作成されたリストがあれば、Forteツールの利用ができる。読み込ませる部品リストには、最低限の情報として「部品の型式番号」「名称(英語表記)」「仕様」「数量」の記載が必要となる。

また、独自に作成したファイルの場合、リスト内の文字は半角英数のみとする。全角スペースを含めた全角文字は自動処理の段階で誤認識のもととなるため注意したい。
 

 


ファイルの読み込みが完了すると、Webサイトの画面上に読み込み済のリストが表示される。リストの列の上部には、データタイプの表示を選択するボックスが表示されているため、列ごとに選択する。

この際、データが入力されている列のすべてに、データタイプを選択するリストボックスが追加されている。データタイプをすべて選択し終えないと、画面右下の「次へ」ボタンを押すことができない仕様となっていることに注意したい。

また、データタイプを選択する際に「同じデータタイプ」が複数の列に選択されていた場合、「次へ」ボタンを押しても「BOMの列は、単一入力または出力属性にのみマップすることができます」というエラーメッセージが表示され先に進むことができない状態となっている(下記キャプチャ参照)。
 


この場合には、ひとつ前の処理に戻りデータタイプの選択を変更するか、「Forte」に読み込ませるBOMリストから必要な項目以外を削除する方法などで対応できる。

下記のキャプチャの通り、読み込んだリストに対し、マウザーのECサイトで取り扱われている半導体、電子パーツの情報割り当てが完了すると、一覧表として情報が表示される画面に切り替わり、リストごとに見積数量の変更・項目の削除を行うことができる。

この後、不要なリストを削除し見積個数を調整すると、そのまま一括発注に進むことができる。
 


〈テキストをコピー&貼り付けする使い方〉
EDAで部品表ファイルは作成できたものの、表計算ソフトがないため不要なデータの編集が困難なケースでは、ファイルから必要な情報のみをコピーしてリストを作成できるメニューがある。
 

 

上記キャプチャ画面の部品表(BOM)ツールメニューの下段、「コピー&貼付け」のメニューをクリックして開く。

その後、下記キャプチャの画面中央に用意されたテキストボックスに、用意したBOMのデータから発注したい半導体部品の情報をコピーし、テキストボックスに貼りつける(直接キーボードで入力することも可能)。

この際、部品番号と数量の間は、「|(半角縦棒)」又は「(半角スペース)」で区切るようにする。
区切りは2種類が混在していた場合でも問題なく自動で一括処理できるが、どちらか使いやすい方に統一することを推奨する。
 

 

EDAで生成されたBOMファイルがcsvファイルで生成されていた場合、WindowsPCの場合は「メモ帳」ソフトでテキストファイルとして開くことが可能。

開いたBOMの情報から「部品番号(=半導体部品の型番)」と使用する数量をコピーし、「Forte」画面のテキストボックスに貼りつけていく。
 

 

入力後は「データをインポート」ボタンをクリック。

以降の処理では、前述の〈スプレッドシートを読み込ませる使い方〉と同じ手順でBOMを処理すると、候補の半導体部品のリストが作成される。

 

 

〈「Forte」の一括処理が得意とするパーツ〉
「Forte」を使用した自動処理によるBOMリスト生成は、固有の型式が明確に存在する半導体部品やコネクタといった電子パーツにおいて効果を発揮し、スムーズな発注処理を可能にする。

用意する部品表のBOMデータには、ファイル生成の段階でいくつか注意点があるが、設計後の発注手配までのタイムラグを大きく短縮し、半導体部品の一括発注で手配漏れや数量ミスといったリスクを予防できることで、管理コスト低減に貢献する。

ただし、抵抗やコンデンサ、LEDといった「仕様のみ決まっていて互換品が多い」受動部品については、あらかじめベースとなるメーカーと型番を決めておく必要がある。
チップ抵抗であれば YAGEO、Boums、KOAといったメーカーの型番、コンデンサならMurata、TDK、Chemi-Conといったメーカーの型番を基準としたBOMにしておくことで、「Forte」を利用した自動処理が可能となり、受動部品も含めたすべての部品を一度に発注できる。

なお、残念ながら現時点では「Forte」に限らずWeb上の自動処理については、「固有の型式」があることが処理の必須条件となっている。受動部品への対応については、今後のバージョンアップに期待したい。

「Forte」を使用した筆者の私見として、データの読み込み・処理性能の高さを感じた。
マウザーのみならず、近年の電子部品販売業者ECサイトには、同様のデータ読み込みサービスやEDAへのプラグインなどが提供されている。
もちろん「Forte」に適した書式を作りこむことで、最も効率的に部品検索が可能となる。しかし、過去の設計フォルダからBOMファイルのみの利用など、表の書式が異なるファイルであっても多少の操作で自動検索が実行できる汎用性の高さには好感を抱いた。

実際のPCB設計にて、ある程度の規模を超えてくると、部品選定と発注手配はかなりの時間を要する作業となる。
そこで、EDAでBOMを生成した段階で、互換品可能な受動部品と、選定が必要な半導体部品&コネクタなどの規格品にリストを分割することを習慣とすれば、「Forte」を利用しストレスフリーに部品見積作業を行うことができる。

受動部品は別途マウザーのECサイトで検索し追加登録することも可能だが、基板試作を行う業者の多くが在庫を持っているケースが多いため、使い分けをすることで結果として短期間で安価なプリント基板の試作を実現できる。

 

〈KiCADで発注専用BOMを作る場合〉
参考として、フリーEDA「KiCAD」で発注用BOMのもととなるファイル生成を行うケースを解説する。

通常のプリント基板設計では、回路図エディターの情報から生成するBOMファイルを用意する。このファイルには、半導体部品の型番と使用数量のみならず、ネットリストと呼ばれる部品間の接続情報をはじめとする多岐にわたる情報がすべて記載されている。

これは電子回路を設計し、プリント基板を製造するまでのあらゆる工程に必要な情報の集大成となっているが、「Forte」のBOMツール活用には情報量が多すぎるため、不要部分の削除作業に手間と時間がかかってしまう。

そこで、「Forte」に使用する一括発注処理用のBOMリストをKiCADで作成するケースでは、「プリント基板エディター」のメニューから作成できる部品表ファイルの利用を推奨する。
 

 

「プリント基板エディター」メニューから生成されるBOMファイルは、部品のリファレンス番号、半導体等部品の型番、使用数量といった「プリント基板を製作するために調達する部品の情報」に限定された内容となっている。

そのため、「Forte」での「スプレッドシートをアップロード」「コピー&貼付け」のどちらのメニューを利用した際も編集作業がしやすい。
 

EDA用データライブラリは「Library Loader」対応


電子回路を設計するEDA(Electronic Design Automation)に不可欠な最新の電子部品のシンボル、フットプリント、そして最新の3D-CADデータは、日々追加され改良が続けられている。

本データの更新・入手は、最先端の電子回路設計を行うエンジニアにとってひとつの課題となるが、これを解決する方法として、世界的にも有名なデータダウンロードサービスとして「Library Loader」の活用が挙げられる。

「Library Loader」のWebサイト(英語版):https://www.samacsys.com/library-loader/

「Library Loader」は、数多くのEDAに対応したデータを入手することができるため、電子回路設計を行うエンジニアの登録推奨ツールである。
 


マウザーのECサイトにおいても、「Library Loader」に対応しており、検索した部品のページごとに対応データをダウンロードできるウィンドウを開くことが可能。

これらのWebページから入手したデータは、使用しているEDAごとの手順に従ってライブラリに登録し、最新の設計・開発に活用できる。
 

 

マウザー・エレクトロニクスの電子部品調達であなたの製品開発をサポート!

日本のみならず、世界経済で非常に重要な役割を果たしている電子機器産業において、電子回路を設計・開発するエンジニアは中核となる存在である。

新事業やスタートアップ時期の製品開発では、電子部品調達を速やかに調達し、プロジェクトの成功を確実なものにすることは、市場での優位性実現のためには決して疎かすることができない。

また、大学などの研究機関においても、電子デバイスやインフラ制御用の新たな機器の試作や研究が重要視され、これまで以上に積極的な研究試作が行われている。

こうした電子部品調達や、新規分野での試作・研究時において、マウザーは開発パートナーとして最適である。
同社のECサイトは、部品検索から発注にいたるまで、互換性や性能を比較しながら調達を行うことができ、世界規模の電子部品ディストリビューターとして、開発に必要な情報と製品を提供する。

また、同社が提供するBOMツール「Forte」は、購入用電子部品のリストアップ、大量の電子パーツの価格や在庫状況調査、手配といった負担を解消し、スムーズな部品調達を叶える。

同社が誇る豊富な在庫とスムーズな物流、世界各国に展開されているカスタマーサービス拠点による優れた技術サポートは、世界中の技術者や設計エンジニアから高い信頼を集めている。

これまで部品調達に大きなコストを割いていたという方々は、マウザーが提供する各種サービスの利用により、ストレスフリーでスピーディーな電子部品調達を実現し、優れた製品開発の一助としてみてはいかがだろうか。

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▼My Mouserアカウント登録はこちら
https://www.mouser.jp/mymouser/index/

▼「Forte」Webサイトはこちら
https://www.mouser.jp/bomtool/
※利用にはMy Mouserのアカウント登録とログイン必須。
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基板の窓口編集部

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