プリント基板(PCB)用語集

エンコーダとは

1.1 エンコーダとは?

エンコーダは、機械的な動きを電気信号に変換する重要なセンサデバイスである。その基本的な役割は、回転や直線運動の位置、速度、方向を正確に検出し、制御システムに情報を提供することにある。

• エンコーダの基本的な役割

エンコーダによって複雑な機械や装置の精密な制御が可能となる。例えば、工作機械の軸の位置決めや、ロボットアームの動きの制御などに不可欠な役割を果たしている。

• 回転角・位置・速度の計測

回転角・位置・速度の計測において、エンコーダは高い精度と信頼性を提供する。回転エンコーダは、軸の回転角度を検出し、その情報をデジタル信号として出力する。これにより、モータの回転速度や位置を正確に把握することができる。一方、リニアエンコーダは直線運動の位置を検出し、精密な位置決めが必要な装置で使用される。

エンコーダの出力信号は、通常デジタルパルスの形で生成される。これらのパルスは、制御システムによって解釈され、位置や速度の情報に変換される。高分解能のエンコーダでは、1回転あたり数千から数百万のパルスを生成することができ、極めて精密な測定が可能となる。

 

1.2 エンコーダの種類と構造

エンコーダは、その用途や要求される性能に応じてさまざまな種類が存在する。大きく分けて、インクリメンタルエンコーダとアブソリュートエンコーダの2種類がある。

• インクリメンタルエンコーダ vs アブソリュートエンコーダ

インクリメンタルエンコーダは、相対的な位置変化を検出するタイプのエンコーダである。回転や移動に伴って一定間隔でパルス信号を出力し、そのパルス数をカウントすることで位置や速度を算出する。構造がシンプルで低コストであるため、広く使用されている。ただし、電源を切ると位置情報がリセットされるため、原点復帰が必要となる。

一方、アブソリュートエンコーダは、絶対位置を直接出力するタイプのエンコーダである。各位置に固有のコードが割り当てられており、電源を切っても位置情報が失われない。そのため、電源投入時に即座に現在位置を知ることができる。高精度な位置制御が必要な用途や、頻繁な電源の入切が行われる環境で使用される。

• 光学式・磁気式・レゾルバの違い

エンコーダの検出方式には、光学式、磁気式、レゾルバなどがある。光学式エンコーダは、光源とフォトセンサを用いて、スリットのついた円盤の回転を検出する。高分解能と高精度が特徴だが、埃や油などの汚れに弱い面がある。磁気式エンコーダは、永久磁石と磁気センサを使用し、磁界の変化を検出する。耐環境性に優れているが、一般に光学式ほどの高分解能は得られない。

レゾルバは、電磁誘導を利用した角度センサである。回転子と固定子のコイル間の相互インダクタンスの変化を利用して角度を検出する。高温や振動など過酷な環境下でも使用可能だが、信号処理が複雑になる傾向がある。

 

1.3 エンコーダの動作原理と信号処理

エンコーダの動作原理は、その種類によって異なるが、基本的にはセンサ部で検出した物理量を電気信号に変換し、それを処理して位置情報を得る仕組みである。

• パルス信号の生成と解析

パルス信号の生成と解析は、エンコーダの中核をなす機能である。インクリメンタルエンコーダでは、通常A相とB相の2つの矩形波信号が90度位相差で出力される。これにより、回転方向の判別が可能となる。さらに、1回転に1回だけ出力されるZ相信号を用いて、原点位置の検出を行う。

これらの信号を適切に処理することで、位置や速度、加速度などの情報を得ることができる。例えば、A相とB相の立ち上がりと立ち下がりをカウントすることで、位置の分解能を4倍に向上させる4逓倍処理が一般的に行われる。

• 分解能と精度の関係

分解能と精度の関係は、エンコーダの性能を評価する上で重要な要素である。分解能は1回転あたりのパルス数で表され、高分解能であるほど細かな角度変化を検出できる。しかし、高分解能が必ずしも高精度を意味するわけではない。精度は、実際の位置と検出された位置の誤差で表され、機械的な精度や信号処理の品質にも依存する。

• フィードバック制御との連携

フィードバック制御との連携において、エンコーダは重要な役割を果たす。モータ制御システムでは、エンコーダからの位置・速度情報を基に、目標値との偏差を算出し、適切な制御信号を生成する。この過程で、PID制御などの制御アルゴリズムが用いられ、システムの応答性や安定性が確保される。

 

1.4 エンコーダの用途と選び方

• 産業機械・FA(ファクトリーオートメーション)

エンコーダは、産業機械やFA(ファクトリーオートメーション)分野で広く使用されている。CNC工作機械では、各軸の位置決めにエンコーダが不可欠である。高精度な加工を実現するため、分解能の高いエンコーダが選択される。また、産業用ロボットのアーム制御にも使用され、複雑な動作の実現に貢献している。

• ロボット・モビリティ分野

ロボットやモビリティ分野でも、エンコーダは重要な役割を果たす。自律移動ロボットの車輪回転検出や、電動車いすの速度制御などに使用される。これらの用途では、小型で耐環境性に優れたエンコーダが求められる。

• 精密測定機器

精密測定機器の分野では、高分解能・高精度なエンコーダが必要とされる。例えば、半導体製造装置や光学機器の位置決めには、ナノメートルオーダーの精度を持つリニアエンコーダが使用される。

エンコーダは用途に応じた適切な選定が必要である。主な選定基準として、分解能、精度、最大回転速度、出力信号形式、耐環境性などが挙げられる。また、インクリメンタル型かアブソリュート型か、光学式か磁気式かなど、システムの要求に合わせて選択する。さらに、取り付けの容易さやコストも考慮に入れる必要がある。

 

1.5 技術革新と今後の展望

• 高精度・小型化の進展

エンコーダ技術は、常に進化を続けている。高精度化・小型化の進展は、その代表的な例である。最新の光学式エンコーダでは、1回転あたり数百万パルスという超高分解能を実現している。また、MEMS技術の進歩により、極めて小型のエンコーダの開 発も進んでいる。

• 無線エンコーダ・IoT対応技術

無線エンコーダやIoT対応技術の発展も注目される。従来の有線接続に代わり、無線通信機能を搭載したエンコーダが登場している。これにより、配線の簡素化や可動部での信号伝送が容易になる。さらに、エンコーダ自体にデータ処理機能や診断機能を持たせることで、予知保全やシステム全体の最適化に貢献することが期待される。

• 耐環境性能の向上

耐環境性能の向上も重要な技術課題である。高温、高湿度、振動、電磁ノイズなど、過酷な環境下でも安定して動作するエンコーダの開発が進んでいる。例えば、光学式エンコーダの弱点である耐汚れ性を向上させる技術や、磁気式エンコーダの分解能を高める技術などが研究されている。

今後は、AIやディープラーニング技術との融合も期待される。エンコーダから得られる大量のデータを解析し、システムの異常検知や性能最適化に活用する取り組みが始まっている。また、自己診断機能や自動調整機能を持つスマートエンコーダの開発も進んでいる。

 

まとめ:

モータと制御を繋ぐものとして、エンコーダや回転角度センサといわれる要素開発は、モーションコントロール分野での肝になる。ドライブ回路による様々な制御を実現させられるレベルもエンコーダの良し悪しで決まると言っても過言ではない。しかしながら汎用化し過ぎると搭載するモータを選ぶことになるし、その都度構造をあわせていかなければならない。その柔軟さがあればこれほど便利なツールは他に無い。

採用する側から見ると、動力源のモータの状態を検知するために入力側にエンコーダを搭載するが、高出力機器の場合は減速機を介して出力することになる。ここに入出力の差異が生じるので、入出力の両方に搭載するデュアルエンコーダも意義のあるシステムと考える。

 

監修:株式会社ジャパンマグネット モーション事業部
   https://jmi-motion.com/
 

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