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2019.06.07

第32回 長野実装フォーラム ~5G時代の実装技術~

長野実装フォーラム/大西 哲也、千野 満、手塚 佳夫、若林 信一

第32回 長野実装フォーラム ~5G時代の実装技術~

1. はじめに

 

 2019年1月25日(金)の午後、『5G時代の実装技術』をテーマとして、第32回長野実装フォーラムが、(公財)長野県テクノ財団との共同主催、EPTAの協賛によって、ホクト文化ホール(長野県民文化会館)にて開催された。

 長野はまだ雪の少し残る寒い時季であったが、夕方には懇親会も会場施設内にて開催され、参加者の技術交流が遅くまで行われた。

 また2018年11月28日にエレクトロニクス実装学会(JIEP)から受賞した創立20周年記念貢献賞(写真1)とともに、これまでの21年間に106回開催された時の資料など計58冊も一覧展示した(写真2)。

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写真1 エレクトロニクス実装学会JIEP創立20周年記念貢献賞を受けた、長野実装フォーラム

 

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写真2 計58冊に及ぶ、全長野フォーラム&研究会資料一覧展示

 

2. フォーラム開催趣旨

 

 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新しい社会であるソサエティ5.0は、IoTによりすべてのものと人がつながり、情報や知識が共有され、AIやロボット、自動走行車が人間中心の社会を作ることに活用される社会である。

 しかしながら、このソサエティ5.0時代を作り出す中核デバイスは引き続き半導体デバイスであり、実装技術はさらに重要となる。

 この5G時代到来を目前にして、その中核を担う自動運転技術、スマートフォン、医療・ヘルスケア機器などの開発と研究を進めている、第一線講師の講演から、5G時代半導体技術に対応する新しいアイデア創出のため、活発な議論を展開することを開催趣旨とした。

 

3. 第32回実装フォーラム内容

 

 若林信一フォーラム代表理事による開会挨拶のあと(写真3)、表1に示すテーマで4件の講演がなされた。写真4は講演者とフォーラム理事である。

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写真3 フォーラム開会挨拶

 

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表1 長野実装フォーラム プログラム

 

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写真4 講演者とフォーラム理事

 

① 実装技術の現状と課題 ~5G到来を前にして、求められる実装技術~

 NEP Tech. S&S代表・長野実装フォーラム理事:西田秀行氏が、5Gの到来背景、世界の業界動向について概説し、5Gに対応した新しい実装技術の潮流、現状と課題を具体例を示しながら紹介した。

 

② Automotive、ADASの現状と課題

 e-SYNC(株)代表取締役:村松菊男氏から、自動車の名の由来、社会環境の変化、交通事故の現状、ドライバーの周辺認識、人間の視野特性や自動車の運転エラーリスクといった現状分析などからはじまり、自動運転の車両に関する技術基準の国際的な検討体制、モジュールアーキテクチャ、自動車制御の構造、自動車技術の動向、自動運転に必要なもの、自動走行開発/評価手法の取り組み、AI+コネクティッド技術による認識/判断支援(写真5)、品質の作りこみ、通信のセキュリティリスクなどについて、詳細かつ分かりやすい説明がなされた。

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写真5 AI+コネクティッド技術による認識/判断支援

 

③ iPhone XSに観るアンテナ・RF技術と5Gスマホへの推察

 セミコンサルト代表:上田弘孝氏が、お得意のティアダウン手法によるスマートフォンの技術動向(写真6)、特徴的な部品技術とFPC技術について、実事例による詳細な紹介の後、5GスマートフォンにむけてのRF·アンテナ技術、チップセットなどの取り組み状況を説明した。

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写真6 ティアダウン手法によるスマートフォンの技術動向

 

④ メディカルデバイス向けパッケージと実装技術

 オリンパス株式会社 技術開発部門、医療要素開発本部マイクロ実装技術部長の鈴島浩氏から、医療用内視鏡システム概要、観察波長と観察深さの関係や内視鏡の進化といった技術背景、内視鏡システムから撮像パッケージへの要求、チップ再配列WL-CSP技術の概要とパッケージとプロセス設計、チップ再配列WL-CSP技術の諸課題とその改善法、WL-CSPを応用した医療用CAI撮像モジュールとその特性について紹介した。

 

4. 長野実装フォーラムとは

 

 「長野実装フォーラム」は、エレクトロニクス実装技術の発展のための活動を行う団体で、実装技術に関する講演会(フォーラム)の開催、会社見学、技術情報の発行・配布、その他の活動を行っている。

 特に実装技術を中核とする「ものづくり」を目標としたテーマを中心に取り上げている。

 当フォーラムは講演を一方的に聞くだけでなく、質疑時間を長く取り、コーディネータが講演の後に、ポイントの確認や興味のある点をさらに明確にし、参加者の理解を深めるよう運営しており、分かりやすいと評判である。

 フォーラムへは長野県内に留まらず、関東圏や広く全国から多くの参加者があり、毎回のアンケート調査では9割前後の参加者が「講演とディスカッションに満足」と答えている。

 「長野実装フォーラム」は1999年7月に長野県工科短期大学校の半導体・実装技術研究会としてスタートし、2007年からは「長野実装フォーラム」として再スタート。

 2009年からは「よくわかる実装技術講座」も開催し、2015年からは長野県テクノ財団の支援を得て活動している。

 代表理事 は(財)長野県テクノ財団:若林信一、名誉理事:傳田精一、他に実装技術分野では世界的にも実力のある理事計15名が企画、運営などを担当している。

 この長野実装フォーラムは、今後も継続的に開催予定であり、参加者全員で議論を交わしていきたい。

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写真7 フォーラム会場での質疑の様子


<参考WEBサイト>
https://www.nagano-jisso.com/

長野実装フォーラム/大西 哲也、千野 満、手塚 佳夫、若林 信一

国内唯一の実装技術専門誌!『エレクトロニクス 実装技術』から転載。 最新号、雑誌の詳細はこちら

http://www.gicho.co.jp/ept/
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