2023年6月14日(水)〜6月16日(金)、パシフィコ横浜にて「画像センシング展2023」が開催された。
国内外の画像処理機器・センシング技術が一堂に会する本展において、基板の窓口では主催のアドコム・メディア株式会社および、出展企業12社を総力取材。
AI・ディープラーニング/クラウド・5G・6G・通信/IoT・エッジコンピューティング/VR・AR・MR/自動化システム・RPA分野をはじめ、各社が誇る最新の画像処理関連技術をお届けする。
会期:2023年6月14日(水)〜6月16日(金)
会場:パシフィコ横浜
主催:アドコム・メディア株式会社
公式サイト:https://www.adcom-media.co.jp/iss/
・取材企業
キヤノンITソリューションズ株式会社/株式会社リンクス/株式会社レイマック/パシフィックシステム株式会社/美和電気工業株式会社/株式会社アバールデータ/株式会社OPT
・まとめ
主催:アドコム・メディア株式会社 代表取締役 喜多 野乃子氏
https://www.youtube.com/watch?v=rbxaSH02Abw&feature=youtu.be
キヤノンITソリューションズ株式会社は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社の100%子会社であり、キヤノングループにおける情報通信技術の中核を担う会社です。 システムインテグレーション、サービス提供、ビジネス共創などの事業を通じて、お客様の課題解決を実現します。 同社の事業では、画像処理技術を用いてお客様の課題解決のお役に立つ活動を行っています。
スロープや風景変化の大きい環境でも走行可能な次世代Visual SLAM
今年6月7日にプレスリリース発表したばかりの「自己位置推定システムwith Vision-based Navigation Software (VNS)」は、製造現場、物流施設、商業施設、医療施設などの自動化・無人化DXに必要なAGV(自動搬送車)やAMR(自律移動ロボット)などの、眼の役割を果たすVisual SLAM製品です。 AGVやAMRの開発に必要な自己位置推定・地図作成や共有を簡単な操作で実現できます。 他にも、周囲の画像から自己位置がわかることを活かして、フォークリフトなどの有人移動体の効率運用や事故防止など、さまざまな活用が可能な製品です。
詳細:https://www.canon-its.co.jp/products/vns/
同社は1990年に創立。最先端の技術を世界中の誰よりも早く発掘し、技術力と経験をもって製造現場に実装するテクノロジープロバイダです。
制御、画像処理、組み込み等、IIoT(Inudstrial IoT)分野で、世界中の市場から技術革新のタイミングを的確に捉えます。
そして最先端の技術や製品、サービスを国内の顧客に提供しています。
CODESYS搭載、IIoT対応一体型PLC
同社の「TRITON」は、コストパフォーマンスに優れた高性能のハードウェアとチューニング済みのOSに、高機能なCODESYSをパッケージした、小さくても強力なオールインワンPLC。
また、強力なパフォーマンスに加えて、産業用途として充分な保護機能を備えているのが特徴です。
世界標準IEC61131-3準拠のPLC、PLCopen準拠のモーション制御、制御ロジックとシームレスに構築可能なHMI、豊富なフィールドバス対応、OPC-UA標準対応など、あらゆる制御を簡単に実現し、工場の隅々までIIoT化を可能とします。
詳細:https://linx.jp/product/triton/
https://www.youtube.com/watch?v=sOKEkqJg1Ck
https://www.youtube.com/watch?v=7MCacrG-vXA
同社は、1996年から画像処理や検査など産業用途の照明製品を製造しており、LED照明の業界では「老舗」として知られています。
業界の先駆けとして、製品を作り続けてきたため、ラインナップが豊富で業界トップクラスの製品を展開。
また、照明メーカーとして、多くの画像処理に関する知識を持っています。幅広い業界の現場を熟知したスタッフが、お客様とともに課題解決に取り組みます。
PLCなしで制御可能、低価格で始められる簡易検査装置
「卓上型簡易検査装置」は、展示会で初めて展示・デモンストレーションされた製品です。
装置内は、検査機構と画像処理ソフトが一体となっており、専門知識がなくても簡単に使用できます。PCソフトから制御することが可能なので、PLCが不要となり、装置全体の価格を抑えることができます。
そのため、現場での画像処理をお考えの場合、導入が容易でオススメです。
詳細:https://leimac.jp/20230531-desktop-simple-inspection-system/?q=61amQv2UqsfkOAAulKetRRz
https://www.youtube.com/watch?v=o2BeK5IRQh4
同社は、システムインテグレーション、アウトソーシング、ネットワーク構築・運用などシステムの開発・運用・管理などを行っています。
パッケージ製品に加え、お客様の課題に共に向き合い、最適なソリューションを提供します。
AIを用いて、練り混ぜ画像から規格値の予測を行います。
イチオシは今年リリースされたPreSLump AIです。 このAIは画像認識技術を利用して、ミキサ内の生コンクリート練混ぜ画像からスランプ値を予測します。 また、データをクラウド上に蓄積し、AIモデルを定期的に更新することで、さらなる精度向上を目指すことが可能です。
詳細:https://www.pacific-systems.co.jp/solution/preslumpai.html
同社は、マシンビジョン構築ライブラリである「HALCON」を使用して、画像処理ソフトウェアを製作しています。
強みとして、サンプルテストからソフトウェア開発、現地立ち上げまで一貫して対応可能なことが挙げられます。また、カメラやレンズ、照明などの機器構成から装置メーカーとタイアップして装置化の検討、開発までトータルで行うことが可能です。
画像処理エンジン「HALCON」のディープラーニング機能を使用したオブジェクト検出のアプリケーション
同社が各分野の自動化システム構築で培ってきた豊富な経験・実績と世界最高水準の画像処理エンジン「HALCON」のディープラーニング機能を使用したオブジェクト検出のアプリケーションです。
このアプリケーションでは、スナック菓子の種類を学習させ、画面上のどこに何があるかを表示します。また、GUIも弊社で開発しているため、お客様の要望に合わせて設計することが可能です。
詳細:https://www.miwadenki.co.jp/solution/picture/
同社は産業装置に組み込まれる画像ボードや、近赤外領域の撮像が可能なカメラの設計・製造・販売を行っています。国内での設計・製造・販売・販売後のフォローを実施しているため、お客様に寄り添った提案が可能です。
可視光と近赤外の画像を1台で撮像可能
現在開発中の製品であるAMS-003VIR-050Cは、プリズム分光技術を使用して可視光と近赤外線の画像を1つのカメラで撮影することが可能です。
可視光では印字や外観不良などの外観検査を実施することができ、近赤外線では可視では見落としてしまう「かみこみ」などの不具合を検出することができます。1つのカメラで同時に検査ができるため、検査ラインのコンパクト化を実現します。
詳細:https://www.avaldata.co.jp/products/imaging/near-infrared-camera
同社はFA向け画像処理機器の総合メーカーです。総合メーカーでありながら、各カテゴリの専業メーカーに負けないラインナップを持っているのが特徴。特に照明に関しては、標準ラインナップが多いだけでなく、必要に応じてカスタムを受け付けることも可能です。
検出相談から検出可否判断、立ち上げ支援など、窓口を一元化することができます。
省スペース化、高効率化、コスト削減
同社では、一回のスキャンで複数の光学条件の画像を取得できるラインカメラシステムを展示しています。
通常、複数の光学条件の画像を取得するには、各光学条件ごとに検査ステーションが必要です。しかし弊社のシステムでは、ラインカメラの1スキャンごとに高速に照明を切り替えることで、複数の光学条件の画像を一回のスキャンで取得しています。その後、ラインごとに抽出して合成することで、それぞれの光学条件での画像を生成しています。
新型コロナウイルスの5類感染症への移行も追い風となり、来場者数は昨年比108%(10,008人)を記録し、コロナ前の活気を取り戻した「画像センシング展2023」。
本展の反響や今後の展望について、主催のアドコム・メディア株式会社 代表取締役 喜多 野乃子氏に話を聞いた。
高速通信に注力した「デジタルソリューションズゾーン」
特筆すべき本展の見どころとして、今後飛躍的に利用シーンを拡大していく技術と期待される、AI・ディープラーニング/クラウド・5G・6G・通信/IoT・エッジコンピューティング/VR・AR・MR/自動化システム・RPAなどの紹介を行う「デジタルソリューションズゾーン」が挙げられる。
本ゾーンの設置意図について、喜多氏は「デジタル化が進む製造業において、特にAIやディープラーニングの活用にあたってはより高速通信の重要度が増すため、そういった製品や技術を扱う出展社にPRをしていただく場とした」と語った。
立ち上げから2年目を迎える本ゾーンへの出展社は昨年の倍以上に達し、注目度の高さがうかがえた。
生成系AI・面発光レーザーに関するセミナー
本展は画像処理機器・センシング技術をテーマに据え、出展各社による最新製品や技術に関する「イメージセンシングセミナー」では多数の講演が行われた。中でも注目のセミナーとして、喜多氏は下記の2つを挙げた。
1点目は、LINE株式会社 Data Scienceセンター AI Dev室 室長の井尻善久氏による生成系AIに関するセミナーである。「生成系AIの実応用に向けて」というテーマを掲げ、世界中を席巻している生成系AIの活用やその課題について講演を行った。
2点目として、東京工業大学 栄誉教授/元学長、文化功労者の伊賀健一氏による「面発光レーザー:その発明と通信・センシングへの産業発展」と題したセミナーを挙げた。喜多氏は「面発光レーザーは,現在さまざまな場面で活用されている注目の技術でもあり、多くの方々に聴講いただいた」と語った。
「画像センシング展」の展望
本展主催のアドコム・メディア株式会社は、毎年6月に「画像センシング展」、12月にはマシンビジョンをテーマとした「国際画像機器展」を開催している。6月および12月の開催において、今後はさらなるすみ分けを図っていきたい考えである。
喜多氏は「画像センシング展では、『デジタルソリューションズゾーン』に代表されるような、ソフトやアプリケーションなど、ソフト面を突出させていきたい。今後ディープラーニングや生成系AIなどを扱う出展社にも訴求できたら」と展望を語った。