用語集

プリント基板の実装とは

概要

プリント基板実装は、電子部品をプリント基板上に配置し、はんだ付けして電子回路を形成するプロセスです。電子機器の製造において重要な役割を果たすこの技術は、現代の電子産業において欠かせないものとなっています。

プリント基板実装の目的は、電子部品を基板上に正確に配置し、信号の伝達や電力供給を効率的かつ信頼性の高い方法で行うことです。プリント基板は、導電性の素材(通常はFR-4などのガラス繊維強化エポキシ樹脂)で作られており、電子部品をマウントするためのパッドや配線路が形成されています。

プリント基板実装のプロセスは、複数の工程から成り立っています。最初に、基板上に部品が配置される場所を示すデザインファイルが作成されます。このデザインファイルには、部品の配置情報、パッドの位置、配線路などが含まれます。次に、製造工場では、デザインファイルを元に基板の製造が行われます。製造プロセスには、基板の穴あけ、パッドのメッキ、印刷、露光、エッチングなどが含まれます。

基板が製造された後は、電子部品が配置されます。部品の配置は手作業で行われる場合と、自動配置機械を使用する場合があります。部品の配置が終了したら、はんだ付け工程が行われます。はんだ付けには、手動ではんだ付けを行う方法や、はんだ付け機械を使用する方法があります。はんだ付けが完了すると、基板は最終的な検査が行われ、不良品の排除が行われます。

プリント基板実装の重要な要素の一つは、正確な部品の配置とはんだ付けです。部品が正確に配置されておらず、はんだ付けが不適切な場合、信号の遮断や短絡、機能の低下などの問題が生じる可能性があります。そのため、高品質なプリント基板実装を実現するためには、適切な設計と製造プロセスの確立が必要です。

プリント基板実装は、現代の電子機器の小型化、高速化、高信頼性化に不可欠な技術です。新しい製造技術の進歩やデバイスの進化に伴い、より高密度な配置や微細な部品の実装が求められています。

プリント基板実装の工程

プリント基板実装は、複数の工程からなるプロセスであり、正確な部品の配置とはんだ付けが重要です。以下では、一般的なプリント基板実装の工程について説明します。

1. 部品配置計画
プリント基板実装の最初のステップは、部品の配置計画です。デザインファイルを元に、部品の配置位置や向き、接続パターンなどを決定します。部品の配置には、信号の経路や熱の分散、機械的な強度などを考慮する必要があります。

2. 基板の準備
部品を配置する前に、基板の準備が必要です。基板表面の汚れや酸化物を取り除くために、洗浄や表面処理が行われます。また、必要に応じて基板にマスキングや印刷を施すこともあります。

3. 部品の配置
部品の配置は、手作業または自動配置機械によって行われます。手作業の場合、部品がマニュアルで基板上に配置されます。自動配置機械を使用する場合は、部品がフィーダーから供給され、機械が基板上に部品を配置します。配置時には、部品の向きやピッチ、位置の正確さが求められます。

4. はんだ付け
部品の配置が完了したら、はんだ付けが行われます。はんだ付けは、部品を基板に固定し、電気的な接続を確立するための重要な工程です。はんだ付けには、手動はんだ付けとはんだ付け機械の両方が使用されます。手動はんだ付けでは、はんだを部品と基板の接点に適切に供給し、熱を加えてはんだを溶かします。はんだ付け機械では、部品と基板を正確に位置合わせし、自動的にはんだ付けを行います。

5. 検査と修正
はんだ付けが完了した後、基板は検査されます。検査は、はんだの品質や接続の正確さ、部品の位置などを確認するために行われます。不良が見つかった場合は、修正作業が行われ、はんだ付けや部品の再配置が必要な場合があります。

6. 最終検査と製品化
修正作業が完了した後、基板は最終検査にかけられます。最終検査では、基板の機能や信頼性が確認されます。検査に合格した基板は、次の製品化のステップに進みます。

プリント基板実装の工程は、高度な技術と正確な作業を要するものです。各工程において、品質管理や適切な設備、熟練した作業者の役割が重要です。工程全体を通じて、部品の正確な配置とはんだ付けの品質を確保することで、高品質なプリント基板実装が実現されます。

プリント基板実装に必要な機材

プリント基板実装のプロセスには、正確な部品配置とはんだ付けが必要です。これを実現するために、様々な機材が使用されます。以下に、プリント基板実装に必要な主な機材の概要を示します。

1. 自動配置機:
自動配置機は、部品を基板上に正確に配置するための機器です。部品供給ユニットやビジョンシステムを備えており、高速かつ精密な部品配置を実現します。自動配置機は、高密度な基板や大量生産に適しています。

2. はんだ付け機:
はんだ付け機は、部品と基板を正確に位置合わせし、はんだを溶かして接続する機器です。一般的なはんだ付け機には、波はんだ付け機とリフローはんだ付け機の2種類があります。波はんだ付け機は、はんだ付け箇所に基板を通過させ、溶融したはんだの波に接触させることではんだ付けを行います。リフローはんだ付け機は、はんだペーストを塗布した部品と基板を加熱し、はんだを溶かして接続する方式です。

3. リフローオーブン:
リフローオーブンは、はんだ付け後の基板を加熱し、はんだを溶かして接続を確保する機器です。オーブン内の温度プロファイルを制御することで、適切なはんだ付けの品質を確保します。高い加熱制御精度と均一な加熱分布が求められます。

4. ステンシル印刷機:
ステンシル印刷機は、はんだペーストを基板上に均一に塗布するための機器です。ステンシルは、基板上のパッドに対応する穴が開いた薄い板状のフィルムであり、はんだペーストを透過させる部分が設けられています。ステンシル印刷機は、正確な位置合わせと均一なはんだペーストの厚さを確保します。

5. ピックアンドプレース機:
ピックアンドプレース機は、部品の自動配置に使用される機器です。部品供給ユニットとビジョンシステムを組み合わせており、高速かつ正確な部品の取り扱いを可能にします。ピックアンドプレース機は、小型部品や高密度な基板に適しています。

プリント基板実装の今後の展望

プリント基板実装は、電子機器の進化とともに重要性を増しています。今後の展望では、以下のようなトレンドや技術の進化が予測されます。

1. 高密度化とミニチュア化:
電子機器の小型化と高性能化が求められる中、プリント基板実装はより高密度な配置とミニチュア化が進むでしょう。部品のサイズやピッチが縮小し、基板上の部品数が増加することになります。これに伴い、より精密な機械や高度な自動化技術が必要となります。

2. 高周波・高速信号の取り扱い:
ワイヤレス通信や高速データ伝送がますます一般化するにつれ、高周波・高速信号の取り扱いが重要になります。プリント基板実装では、信号の伝達特性やインピーダンスの制御が必要とされます。これに対応するために、高周波設計や高速信号のシミュレーション技術が進化していくことが期待されます。

3. 柔軟基板と可撓性基板の需要拡大:
可撓性や曲げ可能な特性を持つ柔軟基板の需要が増加しています。特に、ウェアラブルデバイスや折りたたみ式デバイスの普及に伴い、柔軟性と耐久性が求められます。プリント基板実装では、これらの柔軟基板や可撓性基板への部品実装やはんだ付け技術の進化が必要となります。

4. 高信頼性と耐環境性の向上:
プリント基板実装の機器は、幅広い環境条件で動作する必要があります。高温・低温、湿度、振動、衝撃などの厳しい環境に耐える信頼性が求められます。今後の展望では、高信頼性を確保するための新たな材料やコーティング技術、はんだ合金の進化などが期待されます。

5. IoTと産業4.0の発展:
IoT (Internet of Things) や産業4.0の普及により、さまざまなデバイスがネットワークに接続されます。これに伴い、プリント基板実装ではセンサー、通信モジュール、組み込みシステムなどの部品が増加することが予想されます。また、高度なデータ処理やAI (Artificial Intelligence) の導入も進展し、基板上の高性能コンポーネントが要求されるでしょう。

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