2025年4月9日(水)~4月11日(金)、東京ビッグサイト(東京都江東区)にて、国内最大級の医療機器の製造・設計に関する総合展「Medtec Japan 2025」(主催:インフォーマ マーケッツ ジャパン 株式会社)が開催される。
同時開催の「医療用エレクトロニクス」「医療 ICT・在宅医療」「検査キット 完成品&開発」「メディカルシティ・災害医療・防災安全」の4分野にわたる専門展を含む本展は478社・団体が出展し(共同出展社含む)、18,000名の来場者が見込まれる。
入場は無料。完全来場事前登録制の本展は、Medtec Japan 公式サイトから来場事前登録を行える。
本記事では主催のインフォーマ マーケッツ ジャパン 株式会社へのインタビューをもとに「Medtec Japan 2025」の見どころを中心に紹介する。
目次
■ Medtec Japan 2025の来場事前登録はこちらから
Medtec Japanは今回16回目を迎える医療機器製造・設計の総合展であり、同分野の展示会として国内最級の規模を誇る。近年ますます高度化する医療技術にとって、それらを支えるエレクトロニクスやIT技術は欠くことのできない存在になっている。また社会の高齢化とそれに伴う人手不足についてもロボティクスや通信、AIといったテクノロジーの存在感が増している。
同展ではこれら最先端の技術と医療をつなぐ多様な医療機器業界のサプライヤー・メーカーおよび研究者が一堂に会し、来場者は最新の技術、製品、サービスについて学ぶことができる。
Medtec Japanは4つの専門展から構成される。以下は各展示会の代表的な出展内容だ。
【医療用エレクトロニクス展 / ElectroMED Japan】
医療用電子機器の設計・製造するためのあらゆる製品・技術を集結させた専門展
半導体・IC センサー/レーザー技術/カメラ・レンズ /MEMS 技術/モニター/画像処理/動作制御/ネットワーク機器/超音波技術/X 線・CT・MRI/電池・電源/EMC・ノイズ対策/ヒーター/保管庫・搬送ケース放射線・組込み技術
【医療 ICT・在宅医療展 / Smart Health Japan 】
通信サービスを使用した医療、在宅医療に特化した展示
Society 5.0/通信事業者・通信機器メーカー/健康エンターテイメント/通信事業者向け各種サービス/通信事業者およびエンタープライズ向けシステム/ワイヤレス/ハードウェア/ソフトウェア/予防医療/健康ビッグデータ/AI・ディープラーニング
【検査キット 完成品&開発展 / Test Kit Japan】
血液検査、アレルギー検査キット、試薬等の検査キットの製造・開発技術展
血液検査キット/インフルエンザ検査キット/花粉症検査キット/アレルギー検査キット/性病検査キット/がん検査キット/遺伝子検査キット/試薬等の検査キットの製造・開発技術/材料
【メディカルシティ・災害医療・防災安全展 / MedTechCity】
医療機器設計・製造から視野を広げ、地域医療・防災医療・災害医療の創造技術開発へ
MedTech「メディカル×テクノロジー」City として、地域医療・防災医療・災害医療に関わる全ての MedTech 企業が出展対象
また、2025年展では昨年に引き続き、車両型移動式治療ユニット「モバイルSCOTⓇ」の展示が行われる。本年度はよりリアルさを追求した現実的な運用を体験できるデモンストレーションが企画されている。また昨年よりも大幅に拡大したOEMエリアも見逃せない。
出典:公式サイト|第12回 「Medtec イノベーション大賞」 発表ページより
Medtecイノベーション大賞は、医療機器の設計・製造において革新的な成果を挙げた企業を表彰する目的で、2012年に創設されたアワードである。日本国内の医療機器産業の振興を目的に、特に中堅・中小企業や新規参入企業を対象とし、医療現場の課題解決に寄与する技術や製品を評価する。医療機器や関連技術全般を対象とし、AI、ロボット技術、生体機能検査機器など幅広い分野が含まれる。
今年で13回目を迎える本賞のノミネート企業は下記の通りである。(順不同)
・ゼオンメディカル株式会社
・ASTI株式会社
・栃木精工株式会社
・野村ユニソン株式会社
・カーブジェン株式会社
・ファミリー・サービス・エイコー株式会社
会期初日の4月9日(水) 13:00より、東3ホール Seminar-1M 会場において、これらノミネート企業のプレゼンテーションが行われる。また、審査員による審査を経て、同日15:00よりMedtecイノベーション大賞の授賞式が行われる。プレゼンテーション、授賞式については事前登録不要、無料で観覧可能だ。
なお、昨年度のイノベーション大賞は、株式会社テクノサイエンス「電子駆血帯:月兎(げっと)」と株式会社シマファインプレスの脊椎内視鏡手術支援システム「SYNCHA レトラクターシステム」がダブル受賞した。
会期中の3日間、医療機器業界に関連する識者を招いたセミナーが実施される。毎年高品質な情報が提供され、医療機器業界の将来や最新動向について学べるイベントとして高い評価を得ている。事前登録が必要であり、費用は各日程共に33,000円(税込)、定員は60名である。
【4月9日(水)】医療機器業界の国内外法規制最新動向
北米における医療機器規制の動向を中心に、米国の510(k)等の規制改革の進行状況と今後の展望について解説する。
また、欧州連合(EU)と英国の医療機器規制も取り上げ、世界初のAI 法規制であるEU AI Actを含めたEU MDR/IVDRや英国UKCAマーキング制度、中国における医療機器法規制の最新動向および医療機器管理法の概要や輸入品国産化の動向について講演が行われる。
日本における医療機器規制についての講演では、薬機法改正やプログラム医療機器に関する取り組み、サイバーセキュリティに関連する規制の動向を説明する。
【4月10日(木)】新規参入者必見!医療機器産業の最前線と実例から学ぶ成長戦略
開会の挨拶・オーバービューでは医療機器分野への新規参入の実例を挙げ、成功のためのポイントを解説する。また、医療機器CDMOの実状、国立がん研究センター東病院での産学連携による医療機器開発の取り組みを紹介する。
その他、異業種からの医療機器産業への参入事例、医療機器メーカーが部材供給企業に期待すること、医療機器開発におけるグローバルエコシステム構築に向けた取り組みなどの講演が行われる。また、講演者によるパネルディスカッションも予定されている。
【4月11日(金)】医療機器産業のグローバル展開(米国展開を中心に)
経済産業省による医療機器産業ビジョン2024を基にした国際展開戦略および、日本貿易振興機構(ジェトロ)のヘルスケア産業の海外展開支援について紹介する。
また、日本企業の治療系医療機器分野における活躍促進を目的としたメディカルコンソーシアムの立ち上げや、日本の医療イノベーションのグローバル展開のポイント、国立がん研究センターによる医療機器開発の伴走支援と国際展開支援についても取り上げる。14:40からは講演者に対する合同質疑の時間が設けられている。
Medtec Japan 2025における数多くの企業のなかから、基板の窓口編集部が注目する出展社を以下に紹介する。
□ 株式会社TRINC
株式会社TRINCは、「無風除電®」「空間除電®」という独自の静電気対策技術で製造現場の異物付着、静電破壊、設備誤作動、感電等の問題を解決する。
同社の製品は従来の工場エアを用いた対策と比較して、大幅な性能改善だけでなく省エネルギーも実現する。また、静電気フリー×異物フリーを実現するクリーンベンチやクリーンルーム等の清浄環境構築、静電気で付着した除去困難な微細異物を除去・回収する非接触クリーナを提供する。
□ エプソンテックフオルム株式会社
エプソンテックフオルム株式会社は「小さいものを小さくつくる」をコンセプトに小型射出成形機の製造・販売を行っている。同社の小型成形機は、欲しい時に、欲しい数を、欲しい所で無駄を省いてつくる小型・精密成形に最適化されている。独創的なフラットスクリューテクノロジーによる可塑化、ホットランナーの本体標準搭載により、省スペース、省材料、省エネルギーを実現している。
□ 株式会社プロポックス
株式会社プロポックスは自社設計開発の設備により、特殊合金(コバルト合金、チタン合金、ニッケル基合金ほか)の細径パイプの造管を行うメーカーである。同社のパイプは、求められる硬さの調節が可能な点が特徴だ。弾性があり、非常に折れにくく、非磁性かつ不活性と認知された従来に例を見ないパイプである。また、同製品は先端ニードル加工や内面研磨といった加工にも対応する。
□ 株式会社小松精機工作所
株式会社小松精機工作所は腕時計部品加工で培った製造技術を応用した微細部品の加工技術を得意とする。世界最細クラスの医療用鉗子部品をプレス加工で実現。また、低侵襲な医療のための微細な切削部品の展示も行う。
同社は材料開発も行っており、特殊な技術を用いることで、化学成分を一切変えずに、金属結晶の微細化を達成したステンレス材である「nanoSUS」を展示する。
□ 三和ロボティクス株式会社
三和ロボティクス株式会社は医療業界への新規参入を目指し、自動車塗装機部品、光学機器部品、半導体製造装置部品など金属加工部品の展示を行う。
同社は、材料手配、金属加工、洗浄、表面処理、組立、検査など一貫した工程の提供を強みとしている。そのほか、専用工具・CAD/CAMを駆使したバリレス加工、ヘール加工技術などさまざまな加工プロセスに対応する。
□ ジェーピーシー株式会社
ジェーピーシー株式会社は60年以上の歴史を持つ各種トランスの設計、開発、製造を行うメーカーである。カスタム品の製造を中心として、少量多品種の対応を得意とする。今回展ではIEC60601認証のLANネットワーク絶縁用トランス(100/1000base)や多種多様なスイッチング電源用トランスのサンプル品を展示する。同製品はIEC60601認証の基板実装型トランスとしては日本で唯一の生産メーカーである(※自社調べ)。
全来場者登録制の本展は、公式サイトから来場事前登録を行うことで、当日のスムーズな入場ができる。