2025年1月29日(水)〜31日(金) 東京ビッグサイトにて機能性マテリアルの総合展「新機能性材料展2025」が開催された。
「新機能性材料展」はコーティング剤、添加剤、有機・無機材料、不織布、機能紙といった機能性マテリアルとそれらの関連技術が集結する総合展示会だ。同展の2025年における3日間の来場者数は同時開催展を合わせて 42,089名となった。
基板の窓口では、同展における注目の出展企業を総力取材。出展各担当者によるブースでのインタビュー動画をもとに、各社の最新製品や技術をお届けする。本記事では後編として、全取材動画のうち半分を紹介する。
[公式サイト]
https://www.mfg.cj-exhibition.com/
[次回開催予定]
日時:2026年1月28日(水)〜 30日(金)
場所:東京ビッグサイト
「新機能性材料展 2025」概要
同展は1987年に開催された、CONVERTECH (旧国際コンバーティング機材展) を母体とする。時代と社会の変遷とともに、対象とする分野を拡大し、現在5つの構成展(CONVERTECH・新機能性材料展・GREEN MATERIAL・3DECOtech・WELL-BEING TECHNOLOGY)を擁する、素材系分野を代表する展示会である。
5つの構成展の概要は以下の通りだ
• 新機能性材料展:”新しい”付加価値を創造する機能性マテリアルの総合展
• CONVERTECH:”塗る・貼る・切る” 加工機械/技術の総合展
• GREEN MATERIAL:”ひと・社会・地球”のためのモノづくりを世界に
• 3DECOtech:意匠と機能を融合して新しい価値を生み出す「加飾技術」の専門展
• WELL-BEING TECHNOLOGY:マテリアルと情報技術で拓く豊かな社会
同展は、技術やソリューションのトレンドだけでなく基礎技術にも光を当てることで、ものづくり業界のさらなる活性化と課題解決を実現し、人、技術、企業といったチャネルを通してサステナブルかつ、豊かな社会づくりに貢献することを目指している。
バイオマスプラスチックじゃない成形できる木材原料!木材由来の成形材料「CXP」
https://youtu.be/cLH5HcyNOAI
日曹商事株式会社の扱う素材「CXP」は70%が木材である。残りの成分にもプラスチックが含まれていない点が最大の特徴であり、既存のバイオマスプラスチックとは全く異なる新しい素材といえる。しかも、既存の成形機、金型で成形可能であり、プラスチックの成形工程で木材加工品を作ることができる。
昨今注目されている、脱プラという課題を解決し、木が育つ過程で吸収するCO2も含め、CO2排出量の削減に貢献する。また、原料となる木材は間伐材を利用しているため、環境にも優しい材料である。
国内では現在テストユーザーが増えており、海外では化粧品容器や自動車部品等での採用実績がある。
燃料電池への応用に期待!「ナノ連珠酸化物」
https://youtu.be/simKsrzI3Xg
日本化学産業株式会社が開発するナノ連珠酸化物は、高い結晶性と優れた物性を持つ新素材である。一次粒子の大きさは数ナノメートルで、これらが点ではなく面で化学的に結合し、数マイクロメートルの構造体を形成している点が特徴である。
従来の製法ではアモルファス構造になりやすかったナノ粒子素材に対して、ナノ連珠酸化物は高い結晶性を持ち、高い導電性や優れた熱伝導性など、多様な機能を発現する。
現在の主な応用分野として、燃料電池と水電解装置が想定されている。従来の燃料電池の導電性材料であるカーボンは運転中の劣化が課題であった。同製品はその代替として期待されており、耐久性向上の実績を示している。
さらに、本製品は国のプロジェクトにも採択されており、燃料電池や水電解分野における今後の展開が注目される。
強粘着から再剥離までさまざまな用途のテーブを共同開発
https://youtu.be/sXGq8vQsq4o
リンレイテープ株式会社は、粘着テープの加工を専門とするメーカーである。本展示会では、「お手持ちの基材で粘着シート・テープを作りませんか?」というテーマのもと、共同開発の協力先企業の募集を行った。
ブース内では、これまでに共同開発で立ち上げた製品などを展示し、その技術や活用事例を紹介していた。粘着技術には多様な種類があり、強力な接着力を持つものから、再剥離が可能なものまで幅広く対応可能である。
同社はこれまで、JRやメトロファシリテーションなどの企業と共同開発を行ってきた実績を持つ。
電子材料・化学品の専門商社!
https://youtu.be/QTzKRa9l27M
石井化学産業株式会社は、化学薬品やエレクトロニクス材料、合成樹脂の販売を手掛ける企業である。同社は、単なる材料販売にとどまらず、顧客の用途に合わせたカスタマイズや機能付加の開発支援も行っている。
開発案件に対し、必要な設備を持たない顧客にも対応できるよう、協力会社と連携しながら加工を行っている。
同社の製品は、エレクトロニクス、自動車、塗料などの分野で幅広く活用されており、スマートフォンや自動車の部品といった、身近な製品にも使用されている。
高い絶縁性と耐熱性が必要な用途に好適!ジアリル樹脂「ダイソーダップ/ダイソーイソダップ/RADPAR AD-032」
https://youtu.be/fe_8rsS-wB4
株式会社大阪ソーダのジアリル樹脂(ダイソーダップ、ダイソーイソダップ、RADPAR AD-032)は、絶縁性と耐熱性に優れる熱硬化性樹脂である。
1,000Vの印加電圧でもトラッキング破壊を生じない高い絶縁性を持ち、高温高湿度の環境下でも安定した性能を示す。また、成形性および着色性も良好である。特に、電気自動車や太陽光発電など高電圧化が進む分野で同製品の高い絶縁性が着目されている。
実績の例として、住友ベークライトの高絶縁高耐熱ジアリルフタレート樹脂成形材料 (スミコン® AM-3800)がある。 同製品は、耐トラッキング性が800V以上、ガラス転移温度が235℃と高く、高電圧部品への適用が期待できる。
フッ素ガスでゴムなどの素材に機能を付加「フッ素ガス表面処理の受託加工」
https://youtu.be/W428CRR06qs
高松帝酸株式会社は、フッ素ガス表面処理という独自の表面処理技術を提供している。この技術は、フッ素ガスを製品表面に直接当てることで、ガスが製品に浸透し、化学反応を引き起こすというものである。ガスを用いるため、形状を問わず処理が可能であり、さらに製品の硬度にほとんど影響を与えない点が大きな特徴である。
特にゴム製品に適用した場合、粘着除去効果が得られることが実証されている。ゴムの固着による問題や、摺動性を向上させたいといった要望に対し、フッ素ガス表面処理を活用することで、これらの課題を解決できる。
同技術はすでに市場で実績があり、工場で使用されるパッキンやシートなどのゴム製品に採用されている。さらに、製造工程の簡略化や、部品のグリスレス化の実現にも貢献しており、今後も幅広い分野での応用が期待される。
面取り加工精度・真円度・表面平滑性に優れた巻芯!「ABSコア G」
https://youtu.be/dvbhRIVyIVk
三協紙業株式会社の「ABSコア G」は、環境負荷の低減を目的として開発された新しいABSコアである。従来のABSコアはバージンペレットから製造されていたが、同製品は再生樹脂を活用しており、環境に配慮した製品となっている。
同製品には、50%再生樹脂を含むタイプと、100%再生樹脂を使用したタイプの2種類がある。さらに、本製品はGRS(Global Recycled Standard)認証を取得しており、環境負荷物質調査が可能な点も特長である。
本製品を活用することで、企業のサステナブル材料の使用比率向上や環境負荷低減への貢献が期待される。今後、さまざまな企業への展開を予定しており、持続可能な素材の導入を検討する企業にとって有力な選択肢となるだろう。
超薄膜コーティングで多様な基材と有機膜の密着性を向上「サーフコート® NRシリーズ/EC1000シリーズ」
https://youtu.be/gsU3uCALkXo
日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社は、金属表面処理を専門とする企業である。今回紹介する製品・サービスは、「サーフコート NR-X・NR-Z」および「EC1000シリーズ」というコーティング剤である。
同製品は、アルミニウム表面に塗工することで接着剤やフィルムの密着性を向上させられる。高い密着性が特徴であり、過酷な環境下での試験においても、優れた接着性能を示すことが確認されている。
現在、主にアルミニウムのコーティング剤として実績があるが、ステンレスや鉄材、フィルム材などにも適用可能である。
データ管理とAIで研究開発DXを実現する統合型MIプラットフォーム!マテリアルズ・インフォマティクスプラットフォーム「Polymerize Labs」
https://youtu.be/bhWIo7FcwXI
POLYMERIZE合同会社のクラウドプラットフォーム「Polymerize Labs」は、電子実験ノート・データ管理基盤としての機能とA予測機能の両方を併せ持つオールインワンMI(マテリアルズ・インフォマティクス)のプラットフォームである。データベースとAIエンジンが統合されており、ツール間を移動することなくシームレスにMIワークフローを運用できる。
データマネジメントの機能が充実しており、研究開発に関わる情報を資産化し、知見の属人化リスクを解消できる。
また、同社の高精度なAIエンジンは、ノーコードで簡単にモデルの作成・予測が可能だ。MI導入においては、同社のMIのエキスパートが伴走支援を行うため、安心してMIの導入・活用ができる。
世界的には約80社の顧客企業があり、日本でもマクセル株式会社やArtience株式会社をはじめ、材料メーカー、加工メーカーなどでの採用が広がっている。ある導入先では、開発期間の1/4への削減を達成した実績がある。
ロール to ロール 用オートスプライス用粘着テープ「tesa® EasySplice」
https://youtu.be/K_UIdLtibts
テサテープ株式会社は、ロール to ロール工程向けオートスプライス用テープ「tesa® EasySplice」の展示を行った。同製品は、グラビア印刷やフレキソ印刷、ラミネート工程、コーティング工程など各プロセスで使用可能である。
従来、片面テープや両面テープを組み合わせて使用する必要があったが、同社のスプライステープはこれらを一本化できる点が大きなメリットである。貼り合わせ作業の統一が可能になり、作業効率の向上が期待できる。
また、つなぎミスの削減や準備時間の短縮、テープ厚みの軽減といった課題の解決にも寄与する。既に新聞・製紙会社、フィルム加工会社、大手印刷会社など、多くの導入実績を持つ。