同展は、エッジコンピューティング、半導体/デバイス、エッジAI、IoT、5G/ローカル5G、ソフトウェア、ハードウェア、セキュリティなど、インターネットに接続される端末側における技術(エッジテクノロジー)に関わる技術が集結する展示会だ。2024年展における、3日間の来場者数は32,427名となった。
基板の窓口では、同展における注目の出展企業を総力取材。出展各担当者によるブースでのインタビュー動画をもとに、各社の最新製品や技術をお届けする。本記事では前編として、全取材動画のうち半分を紹介する。
出展製品・サービスは、クラウドネイティブ、アジャイル、DevOps 、リスキリング/ソフトウェア人材育成、AI、IoT、オープンソースソフトウェア、組み込みソフト、組み込みハード/半導体デバイス、開発支援、開発環境、セーフティ&セキュリティ、ワイヤレス、SDV、画像認識AI など多岐にわたる。
エッジAIおよびコンピュータビジョンアプリケーション向けのNPUとISPを搭載!「Digi ConnectCore MP2」
https://youtu.be/MFTrs7SS5S0
ディジインターナショナル株式会社は、NXP社及びSTMicro社のプロセッサとグローバル対応の無線通信チップを搭載した基板実装タイプのモジュール(SoM)を提供している。
主要機能を稼働させるためのBSP (Base Software Package)も併せて提供しており、モジュールを入手後、直ちに稼働させることが可能だ。このようなアプローチによって、設計負担であったプロセッサ周辺の回路設計とファームウェア開発を著しく短縮できる。
ConnectCoreモジュールは、産業用途を目指したSoMであり、プロセッサとメモリを選択することで、ユーザーにとって最適なSoMを性能・機能・価格の面で選択可能だ。セキュリティフレームワークを組み込むことができ、世界的にIoT製品に求められる安全性と悪意ある攻撃からの保護を実現する。
ConnectCore製品コンセプトは10年以上前から提供しており、既に国内100案件を超える実績がある。
AI導入を支援「AI開発サービス、物体追跡システム、異常検知システム」
https://youtu.be/7ymnP7RRx10
今回の展示会で、パーソルエクセルHRパートナーズ株式会社は、AI開発の事例として、複数のAIを掛け合わせた物体追跡システムやAIを活用した画像処理による異常検知システムを紹介した。これらのシステムは新製品開発や人手不足の解消などに寄与する。
同社は、ソフトウェアに関連する設計、製造、評価業務の受託開発を行っており、長年、自動車、医療、産業機器向けに信頼性の高い組込みシステム開発を行ってきた。近年では、モデルやCG・シミュレーションを活用した開発環境を構築し、設計業務や評価業務の自動化など、開発業務の効率化を図っている。
同社の特徴は、AI開発をはじめとした最先端技術における、アルゴリズムの検討からPOC、ソフトウェアの実装まで、クライアントの開発ニーズに応じてワンストップで対応できる技術力と提案力にある。
すでに自動車や医療機器などの研究開発や量産開発において、 同社が開発したソフトウェアが使用され、高い評価を得ている。
IoTデバイスのサイバー攻撃被害を未然に防ぐ改善策を提案「IoTデバイスペネトレーションテスト」
https://youtu.be/UAByWDOtbGY
株式会社ラックが提供するIoTデバイスペネトレーションテストは、IoTデバイスに対して擬似サイバー攻撃を実施し、悪意ある攻撃の影響や被害内容を検証するものだ。高い技術力や豊富な知見を活かして、基板からの侵入やファームウェアの解析、通信や関連するアプリに対しても検証を行う。
擬似サイバー攻撃により、問題点の発見と改善案を提案することで、安心安全にIoTデバイスをリリースできる。同サービスは、車載ユニットやネットワーク機器など、様々なIoT機器での利用実績がある。
あらゆるマイクロプロセッサに先進の機能で対応、ユーザーの開発効率向上を支援!「Trace32 PowerDebug LA-3506他」
https://youtu.be/NUxapgOllsw
日本ローターバッハ株式会社は、ドイツに本社を持つマイクロプロセッサ向けデバッガ「Trace32」を開発・提供する専業メーカーである。同社のデバッガは、150を超えるアーキテクチャと10,000以上の製品に対応し、事実上市場のほぼすべてのプロセッサに対応可能という圧倒的な汎用性を持つ。この特性により、ユーザーは新しいデバイスが必要になった場合でも、既存のデバッガを継続して使用でき、トータルコストの削減にも大きく貢献している。
Trace32の特長としては、開発現場のニーズを満たす高度なデバッグ機能が挙げられる。リアルタイムトレース、OS認識デバッグ、ハイパーバイザー認識デバッグ、さらにはマルチコア対応の機能などを備え、複雑化・高度化するマイクロプロセッサのバグ解析を効率的かつ迅速に行うことが可能である。たとえば、内部で複数のOSが異なるコアで動作するような複雑な状況でも、Trace32を活用することで発生した問題の原因を明確にし、解決に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、近年の製品開発現場では、不測の事態や供給不足に対応する柔軟性が求められている。同社のTrace32は、プローブの交換やソフトウェアのアップデートのみで新しいデバイスにも対応可能であるため、災害やサプライチェーンの混乱、製品の突然のEOL(製造終了)宣言といった状況にも迅速に適応することができる。
同社は創業から45年の歴史を持ち、自動車、産業機器、医療機器、航空宇宙機器など、幅広い分野で採用されており、グローバル市場において40%以上のシェアを誇る。
俊敏かつ堅牢、学生が鍛えた侍ロボ「RoboMaster 歩兵ロボット」
https://youtu.be/yxyEBRFdvTE
OOEDO SAMURAIは、学生主体で運営されるロボコンチームで、ロボット競技大会「RoboMaster」に挑戦している。この大会では、自作ロボットを用いて技術力と戦術力を競い合う。チームは回路設計や機械設計、制御ソフトウェアの開発を学生自身で一貫して行い、技術力向上を目指している。
活動は多くのスポンサーからの支援に支えられており、資金援助や部品提供により高い完成度のロボットを製作している。今年8月には中国・深圳で開催された「RoboMaster University Championship」に初出場し、アメリカの強豪チームに勝利する成果を収めた。
競技では、自動照準システムや高強度の軽量設計を活用して勝利を目指しており、SNSや展示会を通じてロボット競技の普及にも貢献している。
カスタムボードにAI機能を実装できる「Altera® FPGA AI Suite」
https://youtu.be/3Gge8dwyGnA
Altera® FPGA AI Suiteは、ユーザーが学習させたデータを基にFPGA内にAI機能を実装するための製品であり、特にカスタムボードへのAI導入を支援する。
デモでは、最新の「Agilex™ 5」FPGAを使用し、ユーザーが構築したネットワークモデルを用いて画像認識の実演が行われている。従来のアルテラ製品では特定のアクセラレーターに限定されていたが、FPGA AIスイートを使用することで柔軟なカスタムAI機能の構築が可能となる。
既に多くのクライアントに評価されており、様々な分野で実績を上げている。
FPGAの開発を強力にサポート!画像処理IP「Sulfurボード Shikino IPソリューション」
https://youtu.be/zvFUkt10N8s
株式会社シキノハイテックは、FPGAに特化した画像処理用IPコアを提供している。今回、同社はパートナー企業であるマクニカの「AX5」を搭載した「Sulfurボード」に独自の画像処理システムを組み込むことで、FPGA利用経験の少ないユーザーや新たに活用を検討するユーザーの早期導入を支援している。これにより、ユーザーの開発期間短縮と効率化に貢献している。
同社のIPコアは、FPGAに特化した設計が特徴であり、小型FPGAへの適応性に優れる点が大きなメリットである。これにより、静止画処理ではモバイル機器やデジタルスチルカメラ(DSC)など国内外の幅広い製品に採用されている。また、FPGA製品においてもMIPI ISPを活用した検査装置やAIの前処理分野での採用実績が豊富である。
エッジAIへの実装を高速に開発「侵入異常検知・接触検知ソリューション」
https://youtu.be/ory5dpFkpzY
同ソリューションは、侵入異常検知や接触異常検知をエッジデバイス上で実現するものである。AI開発の工程を「AIモデルの開発」と「エッジデバイスへの実装」の2つに分け、それぞれを効率化するサポートを提供している。前者についてはNVIDIA社のAI開発プラットフォームを活用し、後者はNXP社のプロセッサーを用いて高速な動作とオフロード化を実現している。
特に、AI開発経験がない、あるいは開発に時間がかかるといったユーザーの課題に対し、AIモデル開発の短縮とエッジデバイス実装の簡便化を提供している。これにより、全体の開発期間を大幅に短縮することが可能となっている。
同ソリューションは今年提供を開始したばかりだが、課題を抱える多くのユーザーに向けてプロモーションを展開し、実用化の支援を進めている。
アナログメーター値・消費電力の見える化で工場生産設備の遠隔監視を実現する IoTセンサーゲートウェイ「SQU-Air」
https://youtu.be/HQSWgheG7JY
「SQU-Air」ゲートウェイは、アナログメーターのデータをデジタル化し無線で転送するソリューションである。従来、工場の隅などに設置されたアナログメーターを人が現場で目視確認していたが、本製品を活用することで、メーターの針の角度を読み取り、デジタルデータとして自動検診が可能になる。
この技術により、これまで1日数回の巡回と記録が必要だった作業を完全自動化し、労力を大幅に削減できる点が特長である。現在、多くの製造現場で採用されており、広大な工場内の点在するアナログメーターの検針業務の効率化に成功している。作業負担軽減と高い実用性により、多くのクライアントから高評価を得ている製品である。
無線やAI、マルチコアなどの高機能化にも対応「リアルタイムOS関連開発サービス」
https://youtu.be/2V9pJnxZLD4
イー・フォース株式会社は、2006年からリアルタイムOSの開発を手掛けており、現在はミドルウェアや無線ソリューション、IoTソリューションなどを提供している。近年、特に注目されているのは、マルチコア製品やWi-Fi、BLEなどのソリューションであり、これらは多くの企業に採用され、満足度の高いサービスを提供している。
同社の製品は、産業機器や医療機器、コンシューマー向けの製品に幅広く利用されており、特にマルチコアソリューションに関しては、LinuxとリアルタイムOSを組み合わせた高度な制御機能を提供する。この技術は、AIやGUIなどの高度な機能を加えることで、産業メーカーのニーズに応えている。
脆弱性管理にかかるコストを大幅に削減!脆弱性管理クラウド「yamory(ヤモリー)」
https://youtu.be/Sxma-LMgHcU
脆弱性管理クラウド「yamory」は、ITシステムの脆弱性を自動的に可視化し、効率的な管理対応を提供するセキュリティソリューションである。従来、脆弱性管理は手作業で行われていたが、「ヤモリ」を活用することで、ITシステムとの連携が実現し、脆弱性の危険度や優先度を自動で把握できるようになる。これにより、管理作業の負担を大幅に削減できる。
現在、ヤモリはエンタープライズ企業や大手企業を中心に導入が進んでおり、特にSBOM(Software Bill of Materials)対応や脆弱性管理のニーズに対応している。
Kria K26 SOMとFMC I/Fの拡張性により 幅広い要望に対応!Kria™ 搭載可能 FMCキャリアボード「RFM-BSK26XCL2GCH1-PE」
株式会社ロッキーが紹介した同製品は、AMD社製Kria K26 SOMを搭載可能な、FMC(HPC)サイトと接続できるキャリアボードである。これによりFMCモジュールと接続してPC等に組み込む環境構築が実現できる。
これまで評価ボード上でKria SOMを使用していたユーザーも、FMCモジュールなどを用いて独自のカスタムI/Oと接続する次のフェーズに向けた提案や課題解決が可能になる。カスタム設計なしでKria SOMの性能評価を実現できる。
株式会社ロッキーはカスタム案件を含めたKriaSOMでの開発実績があり、様々な形での提案が可能だ。 同製品も開発過程において、複数企業での使用実績と製品性能・機能の評価実績がある。